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三十五話、戦いの後に、朝日が昇る。

多分パイロット云々は嘘です!

明け方

かつてないくらいの早起きをした僕は、ゆっくりと辺りを見渡す


赤い絨毯の敷かれた、広い廊下

どうにも寝心地が悪いと思ったら、こんなところで寝ていたのか。


さらによく見ると、絨毯の上には何人もの男達の身体が横たわっていた

いつの間に戦場に来たんだろ。と思ったが、そこでようやく、昨日の出来事を思い出した

・・・あぁ、確か昨日、女の子の部屋を巡って醜い争いをしたんだったな。



「い、いたた・・・」


立ち上がろうとすると、身体中が痛んだ

昨日の傷がまだ癒えていないらしい。温泉にでも入って、とっとと治そう。


壁に手を付きながら、ようやく立ち上がると

辺りに転がっている男達に声をかけた


「お、おはよう皆・・・」



「・・・んぁ? どこだここ・・・? っ、いてて・・・」

「思い出せよ、昨日ここで気絶したんだろ?」



廊下に横たわっていた健全男子達は

秋を初めに次々と起き上がり始め、皆口々に挨拶を交わす

昨晩は敵同士だったが、今は共に戦った同士として、皆が心を通わせていた

・・・ある男にだけは、揃って復讐心を燃やしていたが。



「よぉ、秋・・・痛ぇ、頭が割れそうだ」

「昨日はすごかったな。まさか俺達が、塚原利樹一人に殲滅されるとは・・・」

厚樹と亮も起き上がり、声をかけてくる

二人も昨日の傷が痛むようで、普段の元気が無いように見える


「全くだね、流石は少林サッカー部。筋力も伊達じゃないってことだね」

言いながら、昨日利樹に殴られた頭を撫でる

・・・たんこぶできてるぞ。



「俺だって運動部なんだけどな―――」




「動け、俺の足ぃいいいいいいいいいいいいいい!!!」

「―――な、なんだ!?」


亮が呟いたと同時に、物凄い音量の叫び声が響いた


「うるせーな、誰だよ?」

厚樹が耳を押さえながら辺りを見渡す

皆も驚きながら辺りを見渡すと、顔面血だらけになった又二郎が、身体を引きずりながらこちらに向かって這って来ていた

・・・ゾンビ映画のワンシーンみたいだな。ていうか、大丈夫なのかあいつ。



「どうしたのその怪我?」

僕が尋ねると、

「いや、それが良く覚えていないんだ。浅田未来と服部有紀の部屋に忍び込もうとしたところまでは覚えているんだが・・・はて、歳か?」

「・・・そんな訳無いでしょ」


頭でも強く打ったのか、こいつは・・・








朝食は団体様専用の大広間に集まり、皆でがやがやと楽しくいただく事に

やはり朝食も、とても高級そうな朝食だった。



「美味い! 流石、スーパーに売ってる刺身とは一味違うな!!」

向かい側に座っている武田修が、ずいぶんとご機嫌な様子で刺身を頬張っている


「「・・・」」

そんな修を、冷たい視線で見つめる僕と厚樹

昨日こいつに殺されかけたと思うと、怒りが込み上げてくるのは当然だ。


しかし修は、昨日の出来事を綺麗さっぱり忘れていたのだ

部屋で亮と、女子の部屋に行く計画をたてていたが、気がつくと旅館の屋上で倒れていたという

・・・あのとき助けてくれた人が、何かヤバイことでもやったのだろうか。


「ま、先にSMGで半殺しにしたのは俺達だし、別にいいんだけどな・・・」

「そうだね、うん」

そう言って厚樹は味噌汁をすすった

覚えてないなら、仕方が無い。この件はお相子ということにしよう。




「さ、坂部君!? 何をそんなに怒っているんだ!?」

僕達が朝食を食べ進めていると、すぐ隣から利樹の声が聞こえてきた

珍しくクラス長がご立腹になっているらしい。


「・・・別に」

クラス長はそっけない返事を返し、ご飯をもくもくと食べ進めている

確かに、あれは怒ってるなぁ。間違いなく。



「どうしたんだろうね、クラス長?」

厚樹もクラス長達のことを見ていたので、尋ねてみると

「はぁ、お前には一生わかんねーよ」と、なんだかそっけない返事が返って来た

・・・え? 何?


わかっているとは思うが、坂部舞が怒っている理由は

昨晩、塚原利樹が秋の頭にたんこぶを作ったことに対してである

当然、鈍感な秋には一生わからない話だ。



「謎だなぁ・・・」

わけがわからず小首をかしげていると、厚樹が違う話題を振ってきた


「それはいいとして。後で又二郎の様子でも見に行かねーか?」

「又二郎?」


そういえば又二郎はあの後、血が足りなくなってぶっ倒れてしまったのだ

どうしようかと悩んでいると、この旅館の女将が「怪我の治療をしておきます」と言って旅館の地下室へ連れて行った

「朝食後に様子を見に来てください」とのことだから、ちょうどいい。あの馬鹿の様子でも見に行ってやるか。


特に断る理由も無いわけで「いいよ」と首を縦に振ったのだった。




「何だか知らんが悪かった! 坂部君!!」

「・・・あら、このお刺し身。美味しいわ」

「ぼ、僕の分も食べてくれ! 坂部君!!」


その後、利樹とクラス長のやりとりを聞きながら、朝食は楽しく過ぎ去っていった・・・

ちなみに利樹のおかずは、ほとんどクラス長のお腹に収まったという。

次回、又二郎!







秋:今日はテスト最終日・・・

又二郎:燃え尽きてくるぜ!

厚樹:んじゃ、今日は悪いけどあとがきはこれまで!!


秋:次回もよろしく!!

又二郎:さらば!!

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