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三十話、坂部舞絶好調!

夏の思い出!!!!

「ねぇねぇ秋君ー」

「あ、クラス長。どうかしたの?」


綺麗に焼きそばを平らげた後、僕の元にクラス長がやってきた

彼女はやけににやけ顔で僕の身体を見回す


「ぐ、ぐへへ・・・海パン・・・っは!? いけない、いけない!」

すぐに表情を引き締め何事も無かったように続ける

「あ、秋君一人だけど、もしかして今暇なの―――」


「ありがとうクラス長ー!」


ぎゅむっ。


僕はころころと表情を変える彼女の手をとった

そのままその手をぶんぶんと上下に揺らす


「え? ・・・え? うぎょぉぉぉぉおおおおおお!!!?」

『うぎょぉ』て。


一方的に握手を交わしてからその手を離す

「ありがとう! クラス長は僕をまっすぐに見てくれたっ!!」


海に来て初めて僕のことを普通? に見てもらえたのでつい興奮してしまった

変な悲鳴上げてたし多分迷惑だったんだな、と後悔したが嬉しかったことに変わりは無い。


クラス長を見ると、彼女は顔を真っ赤にしてパクパクと口を開けたり閉めたりしている



「握手? あくしゅ・・・はっ!? ああああき君!? どうしたのいきなり!?」

うおっしゃー! なんか知らないけど、いきなり好感触だぁ!! ・・・坂部舞の心境より。



「ごめんね、いきなり握手なんかしちゃって」

「あ、いや! 全然いいから!」


「実はこの格好になってから、誰も僕に視線合わせようとしなかったからさ・・・つい感動しちゃって」

「そ、そうなんだ。それは災難だったのね・・・」

「全くだよ。あ、それでクラス長は何しに来たの?」


ある程度興奮が冷めたところで話を戻す


「あ、それでね? もし秋君が暇ならさ、私に泳ぎ方とか教えてくれないかなーって言いにきたの!」

言いながら顔を真っ赤にするクラス長。


「泳ぎを? ・・・僕そこまで得意じゃないけど?」

「いやいやいや! 私は秋君がいいんだから! ・・・って、何言ってんだ私はぁああああ!!!!??」

「ちょっ! どうしたのクラス長!?」


な、なんだ? クラス長が急に叫びだした!

まさかさっきの握手がそんなに嫌だったとか!?




普通の人ならここで「あー、こいつ自分に気があるんだなー」くらいは自惚れるもの

しかしこの真鍋秋にかかれば、そんな彼女の態度も・・・


・・・そうか! クラス長は叫び出すぐらいに泳げないことが恥ずかしかったのか!?


と言う勘違いをしたわけで。


「いいよ! 僕でよければ付き合うから!」

「じゃ、じゃあお願いするね! おほほのほー!」


僕の返事を聞いたクラス長は弾ける笑顔で海へと飛び出して行った・・・そんなに泳ぎたかったのか・・・






「いいの? 秋くん連れていかれちゃったよ?」

「・・・どーゆー意味?」

さつきは不機嫌そうに美咲を睨む


「いーや別にー? 舞ちゃんに取られても知らないぞーって言いたかっただけ」

「・・・何よそれ。」

彼女はため息をつき、坂部舞の後を追いかける秋の姿を見つめていた。







「うん・・・その調子その調子って、手強く握り過ぎじゃない?」

僕は今、腰まで水につかれる位置でクラス長の両手を引っ張っているんだが

・・・正直痛い。強く握られ過ぎている。


「ご、ごめん秋君・・・っ、でも、ここでしっかり感触を確かめておかないと、後で後悔すっ―――げっほげほげほげほ!!!」

彼女は泳ぎながら喋り過ぎて口の中に海水が入ったらしく激しくせき込んだ


「ちょ、クラス長!? 大丈夫!?」

慌てて背中をさすろうとするが、いかんせん僕は男の子。

気安く女の子の柔肌を触ったりでもしたら後で何を言われるか・・・考えたくもないな。


ということで見守る事しかできなかったのだが、クラス長はすぐに気を取り直し腰を屈める

「ふぅ。ごめんね秋君! 気を取り直してもう一回!!」

そして僕の手をとり、水に沈んだ


さっきの握手では変な悲鳴を上げてたけど、今はそんなこともなく普通に手を繋いでいた

・・・よかった。さっきのあれは、いきなり握ったことに驚いていただけだったんだな。


「よし! 頑張ってクラス長!」

彼女のやる気が移ったのか、僕のほうも気合を入れて泳ぎの練習を再開した







あぁ、秋君の生手・・・最高!


私は秋君に手を引いてもらうという至福のひと時を満喫していた。


いやぁ、考える前に行動とは言ったものよね

この日のためにわざわざミナ○シティにいる『わすれオヤジ』を訪ねた甲斐があったわ・・・

水泳が得意だった私がまさかこんな水泳素人に戻れるとは・・・流石わすれオヤジ!



「秋君。」

「ん?」

私の手を引いていた秋君が「どうしたの?」と首をかしげる


「・・・私、絶対泳げるようになるから!」

「え?」

うまく泳げようになったら、次は・・・


「うん、頑張ろう! クラス長!!」

「う・・・っ」


ばしゃんっ!


彼の満面の笑顔が見ていられなくなった私は、赤くなった顔を海水に沈めた


・・・次は、恋のほうもうまくいくように。なんてね。








「坂部君・・・彼女は泳げなかったのか・・・!」

そんな二人の泳ぎレッスンを遠くで見守っている人物がいた

塚原利樹は今朝運転してきたバスを洗車しながら坂部舞と真鍋秋の姿を眺めていた


「知らなかったのか?」

同じく又二郎も自分の乗ってきたバスを洗車していた

「あぁ、全く知らなかった。不覚だ・・・」

水が噴き出すホースを片手に塚原利樹は頭を抱える


「まぁそんなに落ち込むなって。好きな人の知らない事の一つや二つ、誰にだってあるもんだぞ?」

「・・・そうだな。それに真鍋君なら大丈夫だろう! 他の男子と違って不埒な真似はしないだろうからな」

「ほぉ。その根拠は?」

「・・・真鍋君は、女の子に興味はないと思うのだ。なぜなら―――」

「おっとそれ以上は危険だ!」


「・・・そうか、そうだな。」


そう言って塚原利樹は二人から目を逸らし、バスを洗いはじめた・・・


次回、美咲と厚樹!





厚樹:おぉ!ついに俺のイベントの話か!!?

又二郎:ふははっは!俺は嘘をつかないぞ!!

厚樹:おおおおおおおお!!!!


秋:うるさいよチミ達。

厚樹:っへ、いいじゃねーか今くらい暴れさせろって!

又二郎:そうだそうだ!いいではないか!!


秋:てかお前テスト勉強は?

又二郎:・・・それは行っちゃいけないぜ?お兄さん?

秋:しっかりやれよ・・・


又二郎:は、はは・・・それじゃ次回会おう!!!!!

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