二十九話、海という名の楽園。
猫飼いたいなー
「お疲れ様。」
ミネラルウォーターの入ったボトルを砂の上に置いてから、さつきが隣に座る
「・・・あざーっす」
僕は口元のあざをさすりながら答えた・・・
今はお昼時ということもあり、海で遊んでいる人より
ビーチや海の家で昼食をとっている人のほうが多い
美咲や厚樹を中心とした『飯も食わずに遊ぶ組』もいたが、
彼等のテンションに付いていけなかった僕とさつきは二人で昼食をとっていた
「それで? 例のナンパ君達はどこに行ったの?」
さつきが両腕に抱えた焼きそばのパックを差し出しながら言う
「ありがとう」とお礼を言ってからそれを受け取った
「さぁ? クラス長が海に流してたけど。無人島にでも流れついたんじゃない?」
塚原利樹と一緒に例のナンパ君達と戦闘した後
ぐったりと意識を飛ばした彼等をクラス長が「証拠隠滅・・・」と呟きながら一人一人海へと流していた
「そ、そうなんだ。・・・へぇー」
「・・・? さつき?」
割り箸で焼きそばをつついているさつきを見る
彼女は何故かほんのり頬を赤く染め、じっと海のほうを見ていた
早くも日焼けしたのか? と思ったのだが、それは無いな。と僕は確信していた
なぜなら・・・
「ねぇ?」
「何?」
さつきは海を見つめたまま返事をする
「なんでこっち見ないの?」
「・・・」
「まさかさつきも―――」
「さ、さて! 私も遊んでこようかなー!? はいこれ!」
わかりやすく動揺しながら焼きそばを僕に差し出す
「え? ちょっと?」
「ほら私の変わりに食べて! 捨てるのもったいないでしょ!?」
「あ、え? うん?」
さつきは焼きそばのパックを僕に押し付けて、さっさと海の方に走り去っていった
まぁあれだ、厚樹と同じく僕の海パン姿が見れなかったと。そういうことである。
「・・・気に入らない」
そう言って、焼きそばを二つ綺麗に平らげたのだった・・・
「綺麗だね、秋君・・・」
坂部舞は夕日色に染まった海を眺めてそう呟く
「うん。僕もこの景色をクラス長と見れて嬉しいよ」
そう言いながらも真鍋秋は坂部舞の事しか見ていなかった
二人はしばらく見詰め合っていたが、やがて真鍋秋の手が坂部舞の頬に添えられる
「・・・この手は何?」
坂部舞は秋の手にそっと触れた
「・・・僕の、君への想いだよ」
「秋君・・・」
「クラス長・・・」
そして二つだった影は、一つとなった・・・・・・うぇ、寒っ!
「うん、これいい。最高、やばい」
私は海の家から砂浜で焼きそばをがっついている秋君の姿を眺めていた
・・・ちなみにさっきまでの話は全て私の妄想。まぁわかっているとは思うけどね。
「そうよ! 私がこのイベントでやりたいのはこーゆー事なのよ! うんうん」
そう言って買ったばかりタコ焼きを一気に二つ頬張る
あ、あっつ! やけどする!
「あ、あふぃ・・・さ、さて! そのためにはまず秋君と接触しなければ! ・・・お茶、お茶ぁ」
坂部舞はウーロン茶でタコ焼きを一気に流し込むと早速行動を開始した・・・
「あっはっはっは! 待ってくれよ坂部君ー!!」
「ふふふ、私を捕まえられるかしらー?」
そう言って塚原利樹と坂部舞は二人仲良く砂浜を駆け回る
「ほぉら、捕まえた!」
塚原利樹はがっしりとした腕で坂部舞を包み込んだ
「あはは、捕まっちゃった!」
「もう、逃がさないよ・・・」
「塚原君・・・」
「坂部君・・・」
そして、一つの愛が生まれたという・・・
「最高だ坂部くーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!」
興奮しながら叫ぶ塚原利樹をジト目で見つめる人物が一人
「気持ち悪いぞお前?」
頭以外砂に埋まっている状態の又二郎だった。
「・・・なんだと? 貴様にはこの物語の良さがわからないのか?」
塚原利樹はお馴染みのグルグル・・・グリグリ?どっちでもいいけど、とにかくグルグリな眼鏡を押し上げ又二郎を睨む
「わかりたくも無いな。そんなアホみたいな話」
「ほぉ、ならお前はもっといいラブストーリーが作れるとでも?」
そう聞くと又二郎は「いや。」と首を振る
「俺にはそーゆーロマンスがわからない。故に無理だ」
「そうなのか?」
「愛するのは、バスケのみ!」
「なるほどな。だが最近はブザー○ートなるドラマが有名では無いか?」
「あぁあれか。確かにあれはバスケロマンスとも言えるが駄目だな。どうしてもバスケのプレーにしか興味がわかない」
「ふむ・・・」
塚原利樹と萩又二郎。彼等は恋愛が不得手であった・・・
次回、坂部舞の計画、実行!
又二郎:重大発表!今日からテスト期間ですたい!
秋:うるさいよ
又二郎:えぇ!?なんで!?
厚樹:どうせ馬鹿みたいな点数しかとれねーんだから、勉強しないで書き貯め書けよ?
又二郎:やっべぇ!ここにテストの重大さがわかっていない馬鹿がいらっしゃる!!
厚樹:アァ!?
又二郎:・・・スミマセン。
秋:まぁ、とりあえず更新はするんだろ?
又二郎:はい。まぁ・・・
厚樹:はいはい、ってことで、また明日ー!
秋:さよーならー!
又二郎:頑張ってね。くらい言ってくれよぉおぉぉぉおおおおおおおお!!!!!