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二十五話、イベント前のひと時。そのに。

毛虫。

「夏休みの課題と・・・バスケットシューズ? 届いて無いぞ?」



ここは職員室。


いくら探しても、課題も靴も見つからず、最後の望みで向かったのは職員室だった

・・・まぁ、その望みはあっさりと切り捨てられたのだが。



「なんだと!? ・・・それじゃぁ、俺のエアー入りのナ○キのバッシュは何処!? エアー入りのなんだよ!」

担任の教師に、自分のバッシュを遠回しに自慢してから「うがぁぁっぁあ!!」頭を抱えた

・・・皆の視線が、痛いのですが。


「落ちつけよ・・・すいません先生、もう一回、教室見て来ます」

そう言うと先生は「あぁ、なんでもいいから、その暑苦しい馬鹿を連れてってくれ」と手を合わせてきた


「すみません・・・すぐ、連れて行きますんで」

「俺のバッシュはどこだあぁぁぁっぁぁぁっぁぁっぁあ!!」


いつまでも騒ぐ馬鹿に、職員一同の冷たい視線が突き刺さっていた・・・







「んで、こうして教室に戻ってきた訳です。が・・・」


教室へと戻ってきたのだが、何もすることが無く、僕は自分の席で突っ伏していた


「ふぅむ・・・こほん」


わざとらしい咳払いに、顔を上げると

又二郎はどこかのお子様探偵っぽく、黒縁メガネと蝶ネクタイを身につけ、腕を組んでいた


「何? 探偵ごっこ?」

「・・・これは、窃盗だ。犯罪だ重罪だ」

探偵っぽいポーズで、探偵っぽくない台詞を吐く馬鹿がいた

こいつは見た目は馬鹿、頭脳は子供な、探偵とは悲しい程に縁遠い存在なのだ。


「犯人は見つけ出さなければならない!!!!」

「・・・ソーデスゥネ」

どうでもよさ気に返事をして、窓の外を眺める


「犯人って言っても、今更だよね。僕たち以外誰も居ないじゃん。無理だって、諦めなよ」



運動場で、塚原利樹が部活をやってる

・・・履いている靴が『エアー入りのナ○キのバッシュ』に見えたが、気のせいだろうな。



「いや、可能だ! 指紋を調べよう!!」

そう言って又二郎がとりだしたのはセロハンテープ

・・・なんと安易な。


「それ、どうするのさ?」

「わかって無いなお前は、いいか! これのテープを俺の机にまんべんなく貼り付ける! そしてはがす! するとどうだ!? あっという間に指紋がとれる!!」


「いつからセロハンテープは、そんな高性能になったんだよ・・・」

「ま、見てるが良い!」


又二郎は、颯爽とベランダへ駆けて行った―――






―――そしてすぐに戻ってくる。


「どうだ又二郎、いい指紋はとれたか?」


「・・・見ればわかる。ホラ」

差し出されたセロハンテープを受け取る

テープのいたる部分に、砂埃や消しゴムのカスなどが張り付いていた


「・・・で、犯人は?」

「こんなもんで犯人がわかれば、少年探○団なんていらんわあああああああああああ!!!」

・・・わかってんじゃん



しかし、いつまでも馬鹿やっている訳にはいかない

夏休みの課題が無ければ、安心してイベント当日を迎えることが出来ないのだ。


「いい加減、ふざけている場合じゃないぞ? お前のバッシュなんて、どうでも良いけど、僕の課題は必要不可欠だ」


「・・・あぁ、わかっている。お前の課題は、これっぽっちも気にしちゃいないが、俺のバッシュは別だ」


ここにきて、ようやく真剣に悩む二人・・・

しばらく沈黙が続いたが、先に打開策を思いついたのは僕だった



「そうだ。予備の課題が、余ってないか先生に聞いて来よう」


そう言って、足取り軽く教室を出ようとした、僕の肩を又二郎が掴む


「待つよろし」

「・・・なんだよ?」


「お前だけ、事件解決なんてずるいぞ」

僕を最後まで付き合わせる気か、こいつは。


「・・・どうしても、通さないと?」

「そう言う事だ。どうしてもって言うのなら―――」


キュッキュッ。と素早いステッップを踏む又二郎

・・・どうやら、殺る気のようだ


「はぁ。結局、お前とは相容れぬ関係だった、ってことか」

こちらも構えて、相手と対峙する


「フッ・・・、課題が欲しければ、俺の屍を越えろ! 秋!!」

「うるせぇ! すぐに沈めてやる!」


二人同時に、飛び掛った


「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「死にさらせぇえええええええええええええ!!!!!」



ブィーンッ、ブィーンッ・・・


「「・・・え?」」


お互いの拳が眼前に迫った瞬間、

タイミング良く・・・悪く? 携帯のバイブ音が鳴り響く


―――ぴたり。

思わず、二人の動きが止まる



「・・・あ、僕の携帯だ」

「な、何!?」


「えと、出ていい?」

「あ、ぁぁ・・・まぁ・・・」



二人気まずくなりつつも、ポケットから携帯を取り出す

ディスプレイに表示されていた名前は『坂部舞』。クラス長からだった


「クラス長? どうしたんだろ・・・」

小首をかしげながら、通話ボタンをプッシュ



「もしもし、クラス長?」

『あ! ・・・あ、あ、あ、ああ秋君ですかっ!?』


なにやら、物凄く慌てている様子だ

・・・緊急の用事かなぁ?


「そうだよ? それにしても、クラス長から電話なんて珍しいね?」

『は、初めてだよね・・・うん。確かに、珍しいかも・・・』


「だね。それで? 何か緊急な用事?」


挨拶を交わし、とりあえず本題に移る


『あ、あのさ、もしかして秋君。夏休みの課題、教室に置き忘れてたり・・・するかな?』

「え? なんで知ってるの?」

思いもよらぬ無いように、驚く。


『やっ、いやいや! それは、クラス長の仕事で、忘れ物の管理を・・・その・・・』


あぁ、なるほど。クラス長って、そんなことまでやってるんだ

大変なんだなぁ・・・


「じゃあ、僕の課題ってクラス長が持ってるの?」

『うん、そうなの。それで、秋君が困って無いかなって思って・・・』


「いや、大丈夫。困っては・・・無いかな」


『良かった・・・それじゃ、この課題『D組サマーイベント』の時に、渡せばいいかな?』


イベント前に、少しでも課題を終わらせておきたかったので、少し悩んだが

まぁ、今回は課題が見つかっただけで、良しとしておくか。


それにしても、クラス長って面倒見がいいんだなぁ・・・


「ありがと、クラス長。それじゃ、お願いしようかな」

『うん。わかった・・・じゃ、じゃあ』


「あぁ、うん。わざわざごめんね? またイベントの時に会おう!」

『わかった! うん、じゃあ・・・』


「うん」


『じゃ、じゃぁ・・・』


「うん?」

中々切らないなぁ、どうしたんだろう

・・・自分から切れない人なのかな?


『それじゃ、また・・・』


ブツッ―――

4度目の正直で、ようやく電話を切った

・・・いい人だなぁ、クラス長。


心底感心しながら、携帯をポケットに押し込んだ






「さて・・・来るが良い! 秋!!」

「・・・」


・・・あぁー・・・めんどくさ。


振り返ると、「待ちくたびれたぞ!」とでも言いたげな様子の又二郎が、

キュッキュッ、とステップを以下略。


「まだ、続ける気?」

「続けるも何も、まだ始まってすらいないぞ!?」


「いや・・・そうだけども・・・」

正直、疲れたんだよなぁ

・・・あ、そうだ。



「ところで、又二郎さんや」

思い出したように、ポンと手を打つ

一言で、コイツを退ける台詞を、僕は持っているのだ・・・


「なんだ!?」

「お前のバッシュ、塚原が履いてるぞ?」


そう言うと、又二郎は「そんな馬鹿な」とベランダへ出て行く


そして・・・




「塚原ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああぁぁっぁぁっぁあ!!!!!!!!!」


雄たけびを上げて、教室を飛び出て行った・・・




「さて、帰りますかねー」

結局、何も収穫の無いまま、教室を後にした・・・


次回、坂部舞?






秋:いやぁ、今週は大変だったな。

厚樹:書き貯めほぼゼロの状態だったからな。

又二郎:まぁ俺の努力のおかげだな。


厚樹:ほぉ、努力のお陰ねぇ・・・

又二郎:あぁ!努力の・・・

厚樹:俺が全く出てきてねぇじゃねぇか!!!!!!


秋:確かに。

厚樹:何ちゃっかりお前だけ活躍してんだよ!!

又二郎:いやいや、俺にだって出番は必要かと・・・


秋:まぁいいじゃん、厚樹には『D組サマーイベント』の時、何かが起こるんだから・・・

厚樹:え?まじ?聞いて無いぞ、そんなの・・・

又二郎:まぁ、そーゆー事だ。イベント当日を楽しみにしているがよい。


厚樹:お、おう!!


秋:・・・うん。

又二郎:・・・厚樹の出番増やさなきゃな。

秋:ね、僕等調子乗り過ぎたね。


厚樹:じゃぁ皆!また次回!!

秋:お気に入り登録ありがとう!

又二郎:さらば!!

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