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二十一話、休日の終わりに。

けんだま


「ここで何してんのさ?」


振り返った先にはラーメン屋の制服姿の又二郎が立っていた

戸惑いを隠しきれない皆の代わりに、僕が理由を聞いてみる


「バイトだよバイト! この休日フル出勤で、まとまった金作ろうと思ってさ」


「何だ? 何か欲しいもんでもあるのか?」


僕の向かい側に座っていた厚樹も話に加わる


「あぁ。昨日遂に、愛しのバッシュが壊れてしまったんだ・・・」


そう言ってポケットから取り出したのは、磨り減ってぼろぼろになったバスケットッシューズ

・・・ご飯所に汚いもの持ってくるなよ。


そのバッシュを胸に抱き、又二郎は懐かしむように語り始めた


「こいつには・・・いろんな思い出が詰まっているんだけどよぉ―――」


「おぃバイト、なにやってンだ?」


ひょい。


「え?」


と思いきや、又二郎の背後に大男が現れ、抱えていたバッシュを取り上げる


「食卓に糞みいてぇなもん持ってんじゃねぇよ」


「・・・っは!? す、すみません店長!!」


又二郎が勢いよく振り返り、深々と頭を下げた


「とっとと奥に戻れ。この忙しい時に油売ってンな」


又二郎の後ろの大男。もとい店長さんは、奪ったバッシュをゴミ箱に投げ入れる

さらばバッシュ・・・又二郎の思い出の詰まったバスケットシューズは、綺麗な放物線を描き、ゴミ箱の中へと落下していった・・・


又二郎は店長さんにびびりながら厨房に入るも、ゴミ箱の方をちらちと気にしている

店長はめんどくさそうに「悪いな、汚いもん見せて」と言ってから厨房に戻った



「店長すげーな、ヤのつく仕事人みたいなオーラが出てたな・・・まるで秋のオヤジさん」


「う、うん。威圧感がすごかった・・・って僕の馬鹿父上は関係ないでしょ?」


「「・・・?」」


僕達にしか理解できない会話に、さつきと美咲は不思議そうに小首をかしげた・・・


その時、厨房の奥から


「店長! 俺のバッシュへの涙が詰まった塩ラーメン! これ新商品にいかがですか!?」


「しょっぱ! こんなもん食えるか! ・・・ったく、勝手に食材使いやがって。とっとと自分の腹にぶち込め!」


「は、はい! すみません・・・・・・て、店長コレ、マジ不味いっす! しょっぱいっす!」


「食えねぇなら俺が口に流し込んでやらぁ! 動くんじゃねぇぞ!!」


「え、ラーメン流し込むって・・・あっつ! あつい!? ごぼぼっ・・・ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


・・・と、又二郎の断末魔が聞こえてきた

お客さんが逃げてってるぞー?



「あ・・・んで、何買うんだったけ?」


又二郎の断末魔が響く中、厚樹が思い出したように言う


「へ、あぁ水着だよ? 厚樹達も来るでしょ?」


「行くに決まってんだろ! ・・・って、あー、やっぱいいや」


乗り気だった厚樹が、僕の顔を見て考えを改めた



以前、我が姉と水着を買いに行った時のことだった

水着コーナーの店員さんに、派手なビキニを進められた上、無理矢理試着室に押しこまれたのがトラウマになり、僕は水着売り場に近寄れないのだ


それを知っている厚樹は、恐らく僕に気を遣ってくれたのだろう。



「厚樹、ごめんよ・・・」


「いいんだ。俺達、友達、だろ?」


「ザッ〇ス!!」


男にしかわからない理由でひしと抱き合う僕達を、またも不思議そうな表情で見つめるさつきと美咲であった・・・


このままでは『頭のおかしくなった二人』になってしまうので、一応一通り説明した


「た、大変ね、秋・・・それじゃ私たちだけで行きましょうか」


「そ、そだね! うん! じゃー、二人はどっか適当にぶらついててよ」


「すみません!」


二人に深く頭を下げる


「いいんだ! あたし達、マブ達、でしょ!! じゃあね!!」


・・・ザッ○ス!?


「こちこそごめんね、秋」


「二人とも・・・ありんちょす!」


いかん、目頭があつくなってきた!

顔を見られたくない僕は、頭下げたまま二人に感謝の言葉を送った・・・




さて。気が付くと、いつも通りのコンビになっていた


「むさい男二人になったけど、どうしよっか」


「どうするも何も、待ってるしかねーだろ?」


男二人はする事も無く、追加で頼んだラーメンを寂しく食べていた


「ホントにすまぬ、僕のせいで・・・」


「ははは! 気にすんなって! 俺が勝手に残るって言っただけなんだからよ」


「・・・」


うーむ・・・たまにこいつ、良いヤツになるんだよな。普段はただの馬鹿だけど。


「・・・厚樹」


「んあ?」


「ラーメン代、僕が持つよ」


「お! 気前いいな! それじゃ、お言葉に甘えて。又二郎、もう一杯!」


「え、おいっ、あんまり食べるなよ!?」


こうして、また少し絆を深めたのであった・・・



「ちなみに、絆がMAXになると強制的に厚樹ENDだからな?」


「・・・」


「・・・」


ラーメンを運んできた又二郎が何か言っていたが、無視することにした。




日が沈む頃、隣町から再び電車に揺られ、見慣れた田舎に戻ってきた

ファミレスの所まで一緒だったが、この先は別々なのでここで解散することに


「いやぁ、今日は楽しかったよ! ハ○公には感動した!!」


「そりゃよかった、また行こうぜ」


「そだね、夏休みにでも遊びに行こっか! 水着も買ったし!」


「水着!? そりゃいいな! 行こう行こう!」


厚樹と美咲は、まだ少し先の夏休みの事で盛り上がる

・・・部活はどうした? 美咲。


「美咲、夏休みはほとんど部活でつぶれるわよ?」


僕と同じ事を思ったさつきが言う


「あー・・・そうだったねー。それじゃ、やっぱり夏大会の応援とか来てくれると嬉しいよ!」


「夏大会かぁ・・・って美咲も試合出るの?」


「うん! 大活躍間違いなしだ!」


「へぇ、それは楽しみだ」


そういえば姉が、美咲は強いとか何とか言ってたのを思い出す

その実力は、本人もお墨付きらしい。


「じゃ、そろそろ行くわよ美咲」


「わかってるって! じゃあね秋くん、厚樹ー!」


「うん、また明日ー」


「アディオス!」


僕と厚樹が、二人に手を振る


「それじゃ、また明日」


最後にさつきがそう言うと、二人は歩いて行った・・・




「僕達も帰ろうか?」


「だな」


二人の姿が見えなくなったところで、僕達はいつもの帰り道を歩き出した


「そういえばさ、朝つけてたベルトはどうしてたのさ?」


「ベルト・・・? あぁ」


厚樹は「ここだぜ」と言ってアロハシャツを捲った

綺麗に割れた腹筋の上に、今朝見た『神聖なる3本のベルト』が巻き付けてあった


・・・それでよく歩けたな。


次回、学校!






又二郎:駄目だ・・・書き貯めが・・・

秋:はいはい。

厚樹:黙ってろよそこの馬鹿。


又二郎:んな!酷いなお前ら!!

秋:だってもう慣れたし。

厚樹:今日もせっせと頑張れって事だ。頑張れや。


又二郎:っく・・・覚えてろよ馬鹿野郎ぉぉぉ!!!!!


厚樹:あ、そういえばあいつアメブ○始めたんだよな?

秋:うん、小説の宣伝してるんだって。

厚樹:意外と頑張るな・・・


秋:まぁ誰も見に来て無いけどね。

厚樹:可哀想な奴だな・・・無駄な努力だ。


秋:まぁいいじゃん!これからこれからってね!!


厚樹:って事で次回もよろしく!!

秋:ブログも頑張ります!!

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