二十話、大型デパートおおおお!
ルソーは何にした人だっけ?
僕達が向かったのは、隣町の大型デパート
隣町というのは僕達の住んでいる町から少し離れているため、免許のない僕達は電車で行くことになる
片道20分の電車に揺られ、ようやくたどり着いた隣町は、繁華街や高いビルが立ち並ぶ大都会である。
ド田舎人の僕達にとってこの隣町はデートスポットとして良く使われる。
そして今日の目的地である、大型デパートの中身がどうなっているかというと、
一階はファミレスとかラーメン屋等のお食事所、更に食品売り場
二階は雑貨や書店、CDショップ
三階は服屋にアクセサリーショップ
四階はゲームセンター
最後に五階は四階のスペースを利用した映画館がある、と見事なまでになんでも揃っている。
デパート前には噴水付きの広場があり、そこで遊んでいる家族連れも多い。
そして僕達は今、デパート前の噴水広場のベンチに並んで座っていた
慣れない電車旅で早くも力尽きてしまったのだ・・・田舎人だからなぁ。
「あー、やっと付いた。前から思ってたけど電車って疲れるよね」
美咲が足を延ばしながら言う
「まぁ移動手段が徒歩か自転車の俺達じゃ、電車は刺激が強すぎるな・・・ふぁ」
田舎者らしくない厚樹もお疲れの様子であくびをかみ殺した
「そうそう、電車に揺られるたび、テンションが著しく下がっていったよ・・・」
「その割にはあんた騒いでたじゃない」
美咲の一言に、さつきが思わず口を挟む
「えー? そうだっけ?」
小首をかしげる美咲なのだが、実際のところ電車の中でも彼女のハイテンションは健在だった
隣にいたおばあちゃんと飴の交換をしたり、酔っ払いに絡まれていた美女を助けてお礼にエル○スの皿とマグを貰ったりと、まぁいろいろあったのだが。
「そうよ。子猫じゃあるまいし、もっと落ち着いたりできない訳?」
「え、いやその」
「大体ねー・・・」
「ま、まぁいいじゃんか! ほらほらっ、いつまでもこんなとこ座ってないで、映画でも見に行こうよ!!」
さつきのお説教が始まると悟った美咲は素早く立ち上がり、せっせと走り始めた
「ちょ、待ちなさいよ美咲! ・・・ほら、あんた達もいつまで休んでるのよ!?」
さつきもベンチから腰をあげると、僕と厚樹の頭を叩いて美咲に続く
「痛ってぇな・・・しゃぁね、俺達も行くか」
頭をさすりながらうだる厚樹が、立ち上がって僕を見下ろす
「んじゃ、行こうぜ秋?」
「厚樹。顔、にやけてるぞ?」
「へへ・・・お前だけどな?」
・・・ま、ずっと楽しみにしてたからなぁ。
二人でにやにやしながら、さつきと美咲の二人を追いかけていった
「うえぇえぇぇっぇぇ、いい話だったぁーっ!」
・・・美咲が号泣している。
美咲の「泣ける映画が見たい!!」というリクエストを受けた僕達は、最近Tvでよく見る海外版ハ○公の映画を見ていたのだが。
泣けたね。いやもぉ、ハチィって。
終盤辺りから美咲が鼻をすすり始めて、ラストシーンで号泣。
見事に海外のハ○公は彼女の心を射たようだ
泣きながら「ええ話やなぁ、あたしは感動した」と連呼する美咲から視線をずらし、その隣のさつきへ向けた
・・・さて、クールビューティーさつき様はどんな感じかな?
「まぁ、見て損はしなかったけど・・・」
流石さつき様だ。いつもと変わらぬ美少女っぷりであった。その目じりに光る水滴を除けば。
素直に『感動した』と言えばいいのに・・・
ちなみに僕と厚樹は当然、
「はぁちぃいいいいいいいい!!」
「はぁぁぁぁっぁちぃぃぃぃー!」
男二人、抱き合いながらわんわん泣いていた
周りの視線が痛いのだが、この感動を分かち合った観客がほとんどなので大丈夫だろう。皆わかってくれるはずさ。
そんな僕達の横を小学生くらいの男の子と、その母親らしき人が通りかかった
「ママぁー、なんか変な人達がいるよー?」
「こら、見ちゃいけません!」
ぺしん。
「ごめんよおかあちゃーんっ」
こっちを指差した少年は母親に頭を叩かれ、腕を引っ張られていった
「「・・・」」
「・・・腹減ったな」
「・・・あぁ。そうだね」
感動が吹き飛んだ瞬間だった。
「さぁて、気を取り直して男子諸君! 次はあたし達の買い物に付き合ってもらうよ!!」
ハ○公に打ち砕かれた涙腺もすっかり癒えたところで、小腹が空いてきた僕達は、『世界で一番可愛い~♪』のCMでお馴染みのラーメン屋に来ていた。
とても学生の財布に優しいからね、ここ。
頼んでいたラーメンは既に完食し、次は何をしようかと計画を立てていた所だ。
「よぉし待ってました!! んで、二人はなにが欲しいんだ?」
厚樹がアロハシャツの袖を捲り、気合を入れるジェスチャー
「ふふふ、君達はすっかり忘れていないか?」
「・・・忘れてる? えっと、なんだろ?」
心当たりが無く、首をかしげる
「聞け諸君! 実は、もうすぐそこに夏休みが迫ってきていたのだ!」
おぉー。と僕と厚樹のふたりが沸く
・・・確かに、そんなことすっかり忘れていた。
「夏休みといえば、海! 海といえば・・・厚樹、言ってみろ!」
「サー! 小麦色のギャルです!」
「それもある! だが違う! 次は秋君!」
「えっと・・・」
「・・・水着でしょ」
僕の向かい側で、さつきが一言呟く
「はい正解! 夏を精一杯満喫するためには、水着が必要不可欠! というわけで、今日は水着を買いたいと思います!」
「海って。夏休みはほとんど部活でしょ? そんな暇無いと思うんだけど?」
「さぁさぁ、皆行こうぞ! 水着売り場へ!」
さつきの発言を無視して話を続ける美咲。
うんうん。わかるよ、せっかくの夏休みが部活で潰れるなんて考えたくもないよね。僕には関係ないが。
「はーい先生ー」
「なんだ、秋くん!」
「それって、僕達も水着売り場に行かなくちゃいけないんですかー?」
「当たり前だよ! 秋くんも、かわいい水着を選ばなきゃ!」
「あぁ、なるほど、かわいい水着・・・って、ウォーィ!?」
ちょっと、待てや!
「お客様、他のお客様の迷惑になりますのであまり騒がないでくれたまえよ」
僕の額に青筋が浮かんだ時、テーブルの傍に一人の店員がやってきた
大声でギャーギャー騒いでいた僕達を店員が注意をしに来たのであろう。
確かにマナーが悪かったなぁ・・・反省。
心の中で反省してから振り返る
「す、すみませ・・・ってお前何やってんだよ!?」
ラーメン屋の制服を着た『そいつ』を見て、驚く
「うげ、お前なんで・・・?」
「おぉ! 偶然だね!」
「またうるさいのが増えた・・・」
僕に続いて厚樹、美咲、さつきも『そいつ』の正体に気付く
「ふぅはっはっはっは! 皆が大好き又二郎、ただいま参上だぁあああああああ!!!!!」
僕達の背後に立っていたのは、みんな大好き? 又二郎だった・・・
次回、又二郎合流!?
秋:何さらしとんじゃお前はあああああああああああ!!
厚樹:邪魔しに来るんじゃねぇ!!
又二郎:あっはっはっはー!言っただろう?俺は神だと!!
厚樹:っく、こいつ、ぶッ殺してやる・・・
秋:まぁ待て厚樹、今のこいつには弱点があるんだ。
厚樹:弱点?
秋:あぁ、この一言を言えば又二郎は崩れ落ちる。
又二郎:弱点?なにを馬鹿な、俺は神だぞ?
秋:お気に入り登録者・・・
又二郎:ふごぉ!!
厚樹:あ、そういえば一人消えてしまったよな、お気に入り登録者。
又二郎:うごぁあああ!!
秋:誰かさんがしっかり書かないからさぁー
又二郎:すいません!出直してきますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
秋:な?
厚樹:本当だ、でも本当に減ったんだな。
秋:悲しいけど、これは全てあいつのせいなんだよ・・・僕達は悪くないんだ・・・
厚樹:だな!
秋:と、言う事で次回もよろしく!!
厚樹:ちなみに明日は更新無しだぞ!!
秋:アディオゥス!
厚樹:テゥース!