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二話、始まりはファミレスで

イカ焼きが食べたい・・・

「……まだ?」

「まだ」

「早く食ってよ」


 オムそばをちまちまと口に運ぶ厚樹を眺めながら四杯目のコーヒーに口をつける。

 ……おかわり無料でよかった。


「僕これ飲んだら帰ろうと思うんだ」

「勝手にせい、俺は構わん」

「……なに怒ってんのさ?」

「イヤァ、オムそばうめぇなぁー その豆を絞った汁より500倍はうまいなぁー」

「……はぁ?」


 あぁ、さっき顔殴ったこと怒ってるのね。

 しかしあれは僕をからかった厚樹が悪いのであり僕にはなんの汚点も無い訳だが。


 それでも厚樹は「あー痛かったなー オムそばはうまいなー」とわざとらしく呟きながら、オムそばをちまちまと(以下略。

……うぜぇなおぃ。


 オムぞばを食ってる厚樹を見ていると僕も何か食べたくなったが、いかんせん。こいつは僕が何か頼んだら速攻でオムそばを平らげ、僕の頼んだ料理を奪い去るに違いない。

 こいつの意地汚さは昔からよく知っている。


「お前、わざと遅く食ってない?」


 いい加減にしてほしいので早く食べるよう促すと。


「食ってる」


 おい! さっさと食え! もうコーヒー無くなったっつの!!





「ごっそーさん!」


 オムそばを綺麗に平らげた厚樹がからっぽになった皿の前で手を合わせる。

 ……律儀なやつ。


「やっと食べたか、じゃあさっさと―――」

「おぉ! 見ろよ秋! 店の入り口にAAランク級の美女が!!」

「はぁ?」


 僕が立ちあがったのと同時に厚樹がファミレスの入り口を指差した。

 AAランク級て。


 指し示されたほうに顔を向けると、確かにファミレスの入り口付近に三人の女の子達がたむろしていた。

 多分その三人の中に厚樹好みの子が居たんだろう。どうするつもりか知らんが僕には関係ないや。


「じゃ、帰ろうか」

「何でだよ! 声掛けようぜ!」

「そのまま返すよ。何でだよ」

「そこに美女がいるからだ!!」


 ワケワカンネ。


「なに躊躇してんだよ勿体ねぇだろー!?」


 言いながら、興奮気味の厚樹が勢いよく肩をゆすってくる。

 やめろやめろ……コーヒーが腹の中で揺れるからぁああ……


「う、うぇ。おい、やめろっての! 一人でやっとれ! 僕は帰って寝る!」


 半ばキレ気味に、肩に置かれた手を叩き落とす。すると。


「……あぁーあ。とんだ弱腰野郎だな? お前がそんな事言ってるから、いつまで経っても俺達は『非モテ組』なんだよ!」

「は? 誰が弱腰だって?」


 ヤツの一言によって僕の額に青筋が浮き上がる。


 『弱腰』『非モテ組』。それは数少ない僕達のNGワードなのだ。

 ……いや、ただ図星なのが悔しいだけなんだけどさ。


「お前だよ秋……思い出せ。その弱腰のせいで、俺達はどんな人生を送ってきた?」

「どんなって……」

「例えば去年のクリスマスだ! 聖なる夜に、男二人で商店街をぶらついた日のことを覚えているか!?」

「ぐ、ぐはっ!?」


 嫌な思い出が蘇る。


 聖なる夜。クリスマス。

 どこを見てもカップルだらけな商店街を二人で歩いていると、アクセサリーショップの店員に僕が女の子だと勘違され、厚樹が無理矢理ペアリングを買わされ。

 ……その後、ソレをお互い指に付け、聖なる夜を泣きながら過ごしたという過去最悪と言ってもいい思い出である。



「あの時誓ったろ、秋?」


 そうだ、そうだった。


「早く彼女を作ろう、だったな? 厚樹?」

「あぁ! その通りだ!」


 僕の一言に、厚樹は満足気に笑う。

 そう、僕達はあのクリスマスに誓ったんだ。『早く彼女を作ろう』と。


「思い出したよ厚樹!」


 言いながら厚樹に向かって手を差し出す。


「僕達は男二人でファミレスに来る訳にはいかないんだって!」

「そうだ! 俺達だって春を迎えんだ! ビバ、夢の青春ライフ!」


 僕の手を厚樹が掴み、そして僕達は固い握手を交わす。


「行こうぜ秋、全国の女の子達が俺達を待ってるんだ」

「あぁ、そうだね」


 僕達は例の女の子達の方へ、歩み寄っていった。


次回、いつもの朝の風景!


秋:さて、聞かせてもらおうか。

厚樹:例の秘策ってやつな

又二郎:あぁ、聞かせてやろうじゃないか!


秋:これで何も無かったら半殺しな。

厚樹:んで俺も半殺しだからな。合計してお前は死ぬんだからな。


又二郎:そんな怖い事言わないで!ちゃんとあるからっ、秘策ちゃんとあるから!

厚樹:早く言えよ。

秋:そうだ早く言え。


又二郎:フ、聞いて驚け!!じつはこの小説はなあ!

厚樹:この小説は?

又二郎:もう40話まで書いてあるんだよおおおおおおおおののいもこおおおおお!!


秋:ちなみに、その文章はいずこ?

又二郎:・・・脳内では、そこまで書きあがっている!


秋:厚樹さんや・・・ さぁ、やっておしまいなさい!

厚樹:結局・・・何も無かったと。ホントにしょぉもないヤツだ


秋 厚樹:約束通り、半殺しだからな?


又二郎:え、ちょっとま・・・


又二郎:ノオオオオオオオオオォォォォォォォォオオォォォ!!


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