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十八話、出発の朝。学生達の日常!!

スライディング!

「やっと、この日が来たんだ。やっと、な……」


 日曜の朝。西山厚樹は輝く朝日を眺めながら呟き、この日のために用意した私服を身に纏った。





「っく、足元が……歪んで見える」


 待ちに待った休日の朝。

 いつも通りに睡魔と闘いながら、ふらふらとおぼつか無い足取りでダイニングへと向う。


「あら、今日は早いのね?」


 ダイニングに顔を出した僕に、姉が意外そうな顔を向けてきた。

 まぁ普段はこんな時間に起きないからね。珍しいのもわかる。


「今日はちょっと用事があってさー、ふぁ……」


 あくびをかましつつ、姉の向かい側の椅子にかける。


「用事ー? どうせ厚樹君の家でぐーたら過ごすんじゃないの?」

「失礼な。僕は日々青春を謳歌する高校一年生。休日はムフフな予定がいっぱいなのさ」


 ……そう。僕は青春を謳歌するのが義務の高校生。

 厚樹の家でぐーたら過ごすなんて、その義務に反する行為なんですよ姉さん。いや普段は盛大に義務に反してますけどね。


「ムフフって」


 姉が訝しげな視線を向けてくるが、今の僕はそんなもの気にもならない。


「あら? おはよう秋ちゃん、今日は早いのねー?」


 僕の声を聞きつけ、キッチンから母上が顔を出す。


「おはよう母上」

「パン焼けてるけど食べるー?」


 母上が焼きたてのパンを片手に訪ねてくる。

「いただきます」と言って母上からパンを受け取った僕は、出かける準備をするために少し急ぎ気味にパンを齧り始めた。


 ……と、その時。




「うおおおおぉぉぉーっ!! 行くぜ買い物ぉ!!」




「な、なに……?」


 突如、玄関の方から何者かの叫び声が響き渡った。

 向かいでコーヒーを飲んでいた姉が、驚いて辺りをきょろきょろしている。


「きっと、休日に浮かれてる馬鹿がいるんだよ」


 その雄たけびは聞き慣れた声だったので、僕はあまり気にすること無くパンを齧った。





―――厚樹視点。


 俺は今、秋の家の前で坐禅を行じている。

 これに一体何の意味があるのか。それは、今日のデートのために気合いを溜めているのである。


「っふ……今日のために完徹で学んだデート知識を尽くし、美咲ちゃんを惚れさせちゃる!」


 更に精神を統一すると、頭の中に浮かんでくるのは、昨日読んだ雑誌の内容だけである。

 ……完璧だ! 雑誌の内容を完璧に暗記出来ている! どうしてこの努力が、勉学に向けられないのか謎であるくらいになぁ!


 うぉおし! 大丈夫だ、ぬかりはねぇ!

 美咲ちゃんとのファーストコンタクト時の台詞から、食事中の仕草、お別れの言葉まで全てが脳に刻まれているぜ!

 今から、例の雑誌の1ページから100ページまで語れと言われても、俺には可能だ!! 実際、さっきまでオヤジに向かって語り尽くしていたら、ぶん殴られて家を追い出されたしな!! ハハハッ、俺の記憶力に嫉妬しやがってべらんぼぉ!!



「うおおおおぉぉぉーっ!! 行くぜ買い物ぉ!!」





―――さつき視点。


「んー……」


 駄目だ、これも駄目だ……。

 私は今、今日買い物に着ていく服を選んでいる最中。


 しかし、なかなかどうして着ていく服が決まらないのよ。


「どうしよう」


 普段ならタンスをあけた時、一番手前に置いてある服を着ればいいのだが今日は違う。

 ……今日は男子とデート。


 しかもその男子の中に、無駄にファッションにうるさそうなチャラ男がいるので、迂闊な選択は許されないのよ。

 もし適当に選んだ服を着て行ったとして、あの糞チャラ男の前に立った時。一体どんなことを言われるのか……想像したくも無いわ。


「こ、これは女の意地!! 何としてもあの糞チャラ男に甘く見られないよう、きちんと選ばなければならない!!」


 ……し、しかし秋の方はどうだろう。

 元々他人のセンスにいちゃもんを付けるような人じゃないし、大丈夫だと思うんだけど。



 もし、秋がファッションとかにうるさい人だったら――――



「おーい! こっちだよさつきー!」


 待ち合わせ場所のファミレスの前。

 秋が大きく手を振っているのが見えた私は急いでそちら駆け寄る。


「ご、ごめん待った!?」

「ううん! 全然待ってないから! ほら、他の皆もまだだしさ!」


 顔の前で手の合わせる私に、秋はいつも通りの可愛い笑顔を見せてくれた。

 こ、この野郎ーっ! あんたの顔はめちゃくちゃ可愛いんだから、こっち向けるんじゃないわよ! 鼻血が出たらどうすんの!?


「そ、そう? ……なら、よかった」


 秋の笑顔から視線をそらしつつ、安堵の息を漏らす。


「……でも、さ。さつき」

「え? どうしたの?」


 突然の秋の声色の変化に、驚いて視線を戻すと。


「遅れてくるくらいなら、もっとマシな服着てこいよな。だいたい今時の女の子が、そんな適当な服を……くどくどくどくど……――――」

「そ、そんな……っ! いやっ、やめてよ秋ぃー!」

「こんな適当な服を着てくるような奴と、買い物なんてしたくねーなぁ」


 秋は長々と文句を言った後、私に背を向けてしまう。


「ま、待って秋!!」

「ま。今度からは服装にも十分気を遣うんだな」


 そのまま歩き出した秋は、振り返ることなくどんどん私から遠ざかっていく。


「待ってよ秋ー!!」


 あぁ、秋がこんなにファッションにうるさかったなんて!

 こんなことなら、もっとしっかりした服を着てこればよかった……!



 ―――そこで、私の妄想は終わった。



「なんて事になるんじゃないのかな!? うがあぁあああー!」


 最悪の展開を妄想してしまった私は、頭を抱えて床に崩れ落ちた。

 ……っていうか、私の妄想上の秋はなんであんなに冷たかったのだろうか。まるで別人だったじゃない。


「お、おしまいよ。こんな女は」


 そんな感じで、美少女バレー部員、三谷さつきの苦悩は続くのであった……





―――美咲視点。


「んーっ! いやぁ良く寝たあー!」


 夢から覚めたあたしはベットから飛び起き、寝間着のスウェットを脱ぎ捨てタンスを開く。

 そして、ゆっくりと瞼を下ろした。


 あ、別に二度寝しようとかじゃなくて。


 あたしは只今、気を集中させているのだ。

 ほぅら。見えるだろうか、あたしの周りで空気が渦を巻いているのが。


「っ! これだ!!」


 かっ! と目を開き、素早く服とスカートをタンスから抜き取った。

 ……これは毎週休日に行われる儀式で、自分自身の勘を頼りに、適当にタンスから服を抜き出す行為である!! by美咲。


「よぉし! 着替え完了!! ……ちょっとスカート短すぎたかな? まぁいいか、見られて減るもんじゃないし!」


 へ? あたしにファッションセンス? はははっ、ねぇですよそんなの!

 あたしの前じゃ、人気ファッション誌もただの紙切れ同然さ!





 以上。個性豊かな学生達の、朝の風景でありましたとさ。



次回、集合!




秋:いやぁ遂にこの日が来ちゃったね。

厚樹:そうだな!俺は楽しみで仕方無いんだ!


又二郎:・・・へぇ


秋:映画とかも見るのかな?

厚樹:さぁ?買い物って言っても何すんのかわかんねーもんな!!


又二郎:・・・そっすか、楽しそうだね。


秋:それじゃ、お気に入り登録してくれた人達本当に感謝!

厚樹:これからもよろしく!!


秋:それではみなさんまた次回・・・

又二郎:まてやごらあああああああああああああああああああああああああ!!!!


厚樹:・・・

秋:・・・


厚樹:なんだ。

又二郎:てめぇらだけ美味しすぎんじゃねーの!!?えぇ!!!


秋:んな事無いって、ははは

厚樹:そうだそうだ、お前はバスケでもやってろ。

又二郎:っく、この野郎・・・


秋:ボールが恋人なんだろ?

又二郎:うっさいわボケえええぇぇぇっぇぇええええ!!!!


厚樹:・・・見えた!!

ごっ!!


又二郎:がはぁ!!


秋:おぉ、何という音速パンチ・・・

厚樹:ではまた会おう!!

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