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十五話、俺はバスケと共にあり!!!

木枯らし

「今日は助かったわ、ありがとね」


 バレー部の練習も終わり、僕達が家に帰る準備をしていた最中。姉がお礼を言いに来た。


「いいって事っすよ、夏さん!」


 一番に反応したのは美少女大好きでお馴染みの西山厚樹である。

 雑務中ずっと至福のひとときを味わっていたこいつは、またやりたいとか思っているに違いない。


「元はといえば僕達が悪かったんだし、別に良いんだけどさ」

「うっうっ。バスケの練習がぁ」


 僕の隣で一人浮かない顔をしている馬鹿がいるが、誰も気にしちゃいない。

 そう。元はといえば、全てこいつが悪いのだから。


「それにしても、雑用係三人で随分変わるものね。お陰でいつもより練習に打ち込めたわ、また頼もうかしら?」

「いや、それは勘弁っす」

「お断りします」


 笑顔で提案してくる姉に、僕と厚樹は苦笑しながら答えた。

 姉は「冗談よ」と笑い飛ばしたが。いやぁよかった、またやれとか言われたら泣いてたよ。


「厚樹は結構楽しんでたろ? もっかいやればいいのに?」

「やだね。結局誰からも話しかけられなかったんだ。進展しない色恋沙汰はいらないね、俺が求めるのはまさに昼ドラ! 甘く苦く、濃厚な!」


 いや知らねーよ。もぉ平日学校サボって昼ドラでも見てろ。


「うおぉおおおおぉぉおおおぉぉぉっ! 今からバスケの練習だぁあああああ!!」


 いつの間にかバスケットボールを腕に抱えていた又二郎が、反対側のコートで叫んでいた。

 あの元気はどこから沸いてくるのか……ま、いいか。さっさと帰る準備でもしよう。





「いやぁ、やっと終わったなー」

「流石に今日はまっすぐ帰ろっか」


 随分と遅れてしまったが、僕達は帰宅部の活動を開始することにした。


「おーい、二人ともー!」


 体育館を出て行こうとしたところで僕達は呼び止められた。

 厚樹と一緒に振り返ってみると、ジャージから制服に着替えたさつきと美咲の二人が小走りに駆け寄ってくるところだった。


「一緒に帰ろうって、誘いに来たのよ」

「せっかく同じ場所に居るんだから、一緒に帰って損は無いさ!」


 どうやら一緒に帰ろうと誘いに来てくれたらしい。


「おぉ! 流石美咲ちゃん、冴えてるねぇ!」

「へっへっへ、ぬかりありませんぜ? 厚樹の旦那?」


 特に断る理由も無いというか、彼女達の提案はこっちからお願いしたいくらいのものだ。

 ……しかし、先ほどの休憩時間の事が頭をよぎり、返事に躊躇してしまった。


「……あっ」


 美咲の方を見ると、ばっちり目が合ってしまった。


「あ、あははーっ」


 やっぱり美咲の方も気にしていたらしい。


「え、えーっと」


 僕が何を言おうか悩んでいると、美咲の方から声をかけてきた。


「秋くん! 君のような可憐な少女が一人で帰るのは、とても危険だ。このあたしが送って行こうではないか!」


 おどけたように言って、ウインクを一つ。

 あまり気にするな。美咲の表情が、そう言っている様な気がした。


「いやいや、少女じゃないから!」


 そうだな。とりあえずあの一件は、胸の内にしまっておこう。

 美咲の悪ノリに答えながら、少し気持ちの整理を済ませたのであった。



「おし! 決まりだな! ……ところで、お前はどうするんだ?」


 厚樹が足元でいじけている又二郎を発見する。

 ……皆にハブられたのが、そんなに嫌だったのか?


「ふふふ……」


 皆の視線が集まる中、又二郎は不敵に笑いながらゆっくりと立ち上がる。


「俺は、バスケと共にあり!!!」


 そう言い残し、全力疾走で体育館に駆け込んでいった。


「いじけてるんじゃなくて、シューズの紐結んでただけかよ」

「ホントにバスケ馬鹿だねー!」

「アホなだけよ」

「同感だね」


 僕達4人は、そんな馬鹿の背中を見送ってやった。





 大分暗くなった路地を4人で歩く。


「あー、そういや明後日は休みだよなー」


 厚樹がいきなりそんなことを言い出した。

 その話題に僕と厚樹の前を歩いていた美咲が食いつく。


「そうだよ! もうすぐ日曜日! 皆で遊びに行こう!!」


「いいだろー?」と美咲は隣を歩いていたさつきに擦り寄っていく。


「そうねー、私は何にも予定は無いけど。あんた達は?」


さつきは僕達のほうに振り返った。


「僕は無いけど?」

「俺も無い! バッリバリ暇だ! 暇ing!」


 我ながら暇人だなぁとは思うが、僕の休日は毎週、隣の厚樹の家でごろごろしてるとかだ。

 てか暇ingやめろ。


「じゃー、決定! 楽しみだなぁさつき! しっかり御洒落して来いよー?」

「はいはい。その言葉、そのまま返すわ」

「なにを言う! あたしはいつでもお洒落だよ!」


 日曜日に向けて、女の子会議を始めるさつきと美咲。

 そんな二人を見て、厚樹が嬉しそうに僕の肩をゆすってくる。


「やったぜ秋っ、休日に女の子と買い物だってよ! 非モテ脱出の日も近いな!」

「そうだね、せっかくだし美咲に何か買ってあげれば?」

「んな!? ななななに言ってんだっ!? いやそうか、それもいいかもしれないな」


 厚樹の慌てる姿を見て、なんだか微妙な心境になる。

 ……頑張れよ厚樹! とんでもないライバルがいるけど、僕は応援している!


 そんなこんなでいろいろあった、本日の放課後であった。



次回、休日前日!





又二郎:いや、少し冷静になって考えてみたんだけどさ

厚樹:何だいきなり、今回は戦うんじゃなかったのか?


又二郎:ノノノ、争いは良くないのだ。俺は平和主義者だから!

秋:あっそ、んでなんで戦う気無くしたんだよ?


又二郎:いやね?いくら俺が神でもさ、作者は主人公に喧嘩で勝てないという法則があるんだよ。

厚樹:・・・意味がわからんが。

又二郎:いやいや大人の事情だよ、俺が勝ったら読者減っちゃうんだよ。


秋:そりゃ困る。

厚樹;まぁ執事がSPに勝てないのも法則の一つだからな。


又二郎:そそ、疾風の如く!!!!!ってやつさ。

厚樹:じゃあ今回は喧嘩は無しだな。

秋:それではまた次回会おう!!


厚樹:アデュ!

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