夢の果て2
やはり僕の言葉に答える者は誰もいない。
少し前まで一緒に笑っていたみんなの顔はもうこの建物の壁と同じかそれ以上に白く、表情は絶望に染まっている。
子供も大人も、男も女も歳も性も関係なく全員がこの絶望を湛えた目で僕のことを見ている。
こんなはずじゃなかった…
いやだ、こんな結末は誰も望んじゃないない
みんな殺されて、殺して、そして誰もいなくなった
僕以外みんないなくなってしまった
「全部終わったんだ」
「これで良いんですか」
横でフラットな声がした
「…」
「言っていたではありませんか、理不尽に人が死ななくていい、誰かの都合で人が殺されるなんて嫌だと、平和が欲しいと、誰も泣かなくていいようにしたいと、せめて周りの人だけは泣かなくていい世界にしたい、と」
「言ったさ、出来ることもしたさ、そしてもう叶えた、これでもう誰も理不尽に殺される事なんてないんだ、そうだろう?」「だってその為に殺して殺して殺してたくさん殺して悪い奴らもそうでない人達もみんな居なくなったんだから、僕とみんなで頑張ってここまで来たんだ…」
「あなたが望んだのはこんな結末ですか、彼らが望んだ結末ですか、人間をみんな1人残らず殺して残ったのは自分だけ、その自分でさえも最後に殺してしまいそうな表情をしている結末を…彼らが…私が望んでいると思っているんですか」
「ならどうしろって言うんだ、過去は変えられないじゃないか、みんなが死んだことは…変えられないじゃないか」
「考えましょう、一緒に夢の結末の変え方を。時間ならあるじゃないですか。あなたにはもう寿命はない、私にもない、ならいくらでも時間はあるじゃないですか」
「でも…」
「もし…それでもだめだった時は…私があなたを殺してさしあげます」
「わかった…これからも頼む」
「もちろんです、魔王様」