第九百四十九話 デビュー試合
ちゃっかりさん
前回からの続き
試合後の興奮冷めやらぬ中、会場を後にしようとするとチュアムが「ちょっと待ってて」と言う
他一同は「?」となる。
何やら人集りの中に突入して行くと札束を握りしめて戻って来た。
亜利沙
え、賭けてたの?
チュアム
うん、勝っちゃったw
林田蒼楽
え?チャンプに賭けなかったんですか?
チュアム
ヒール役の人って本来は強者じゃないと務まらいから
林田はハズレ券をばら撒きながら「やりますね」と苦笑する。
藤井
これもルチャか・・
ホクホク笑顔のチュアムをチラと見て、藤井も外れ券をばら撒いた。
その日はホテルに戻り就寝となった。
チュアムは深夜に何やら騒がしさで目が覚める。
廊下に出ると窓の外が赤い!
「え!火事?」
そこに丸山や亜利沙、藤井と山根も廊下に出て来る。
離れた場所で火災が発生したようだ
ホテルに被害が及ぶ距離では無いようだ、取り敢えずそのまま全員部屋に引っ込む
翌日、朝食を1Fロビーで取っているとホテルの支配人が辿々(たどたど)しい英語で話しかけて来る。
どうやら、昨日の火災で山の教会が燃えてしまい寄付してやってくれないか?との事だった。
直接渡すのは怖かったのであとで教会に行ってみる。と伝えると支配人は有難うとその場を立ち去った。
亜利沙
うーん、寄付かぁ
どれくらいすれば良いんだろ?
クリスチャンとして亜利沙は寄付をするつもりだ。
チュアム
うーん、仏教徒だけど昨日の勝ち金の半分を出そう!
丸山
半分って所がちゃっかりさんだなw
チュアム
出さないよりはマシでしょ?
丸山
いやいや、素晴らしいです。はい。
[やら ない 善 より する 偽善って言葉もあるしな]
食事も終わり、みんなで燃えた教会を尋ねると運び出されたマリア像以外は全焼で更地とかしていた。
林田
いやあ、これは・・
山根
目も当てらんねぇな
取り敢えず、チュアムの勝ち金半分とみんなが出し合ったお金を連名で渡すと年老いた腰の曲がった神父は感謝を伝えてきたが立て直すにはゼロが一つ足りない様だ。
そして涙にくれるシスター達を宥める神父は大丈夫だと言って笑顔でマスクをポッケから取り出した。
藤井
え?プロレスであの神父さんが稼ぐの?
無茶が過ぎるよ
林田蒼楽が昨日、プロレス会場で見たポスターを思い出す。
飛び込み参加OKの男女混合のバトルロイヤル「10人以上がリング内で戦う試合の事」が近々ある。
参加費用はかなり高額だがその分優勝賞金は総取りだ。
蒼楽はフーッと息を吐くと「ルチャのデビューが決まった」と握り拳を作る。
亜利沙
マジで?
「うん」と頷くのを見て神父さんにゆっくりと英語で伝える。
神父は驚き「男女混合試合」なのは知っているのか?と聞いてくる。
優勝賞金は全額寄付すると伝えると神父さんは困惑する。
「難しいと思うが・・私が出るよりは」
せめてにとマスクを渡された。
このマスクは先代の神父から伝わる物でリングネームはdios guerreroと言うそうだ。
山根
よし、こうなったらみんなで蒼楽に賭けようぜ!
んで、スゲー教会建てようぜ!
チュアム
うん、期待出来るね。
頼みましたよ、ディオス ゲレーロさんw
dios guerrero・・「神の戦士」と言う意味である事には全く気付かない武格者達であった。
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