第九百四十七話 受け継がれた技
二大聖地
前回からの続き
夕食後、コロナビールの影響か少しハイテンションの面々は地下鉄に乗車した。
メキシコシティ地下鉄1号線クワウテモック駅またはメキシコシティ地下鉄3号線バルデラス駅下車するとルチャ・リブレの二大聖地の一つアレナ・メヒコ屋内球技場に到着する。
林田蒼楽がスーパーハイテンションで動画を撮りまくっている。
コアなファン向けの解説をみんなに聞かせながら興奮状態である。
彼女の解説でルチャ・リブレとは「自由な戦い」と言う意味があり、メキシコシティの無形文化遺産であり、男性はルチャドール、女性はルチャドーラと呼ばれ、ベビーフェイスのテクニコ(テクニカ)、ヒールのルード(ルーダ)等に別れて激しく対立しているがわかった。しかも今夜はマノ・ア・マノと呼ばれる、遺恨清算マッチで引退を掛けたコントラ(覆面剥ぎや丸坊主)マッチであり、マスクマン同士の一戦だ。
チャンピオンでスーパースターのエル・アステカイザーJr. VS ベテラン悪役のラ・ナチョの大勝負がある様だ。
大きな金額が動く賭けにもなってる様である。
亜利沙
解説が凄過ぎw
山根
スゲー熱量だな
丸山
うむ、「好きこそ物の上手なれ」じゃな
会場に入ると既に5対5の男女混合変則マッチが行われていた。
最前列では無いが比較的前の席が取れたので席に着く
チュアム
え?ロープって普通の紐っぽいんですけど・・
丸山
リング面がコンクリ?
ここで蒼楽が矢継ぎ早に話し出す。
日本の様にロープに振った攻撃は非常に危険であり、原則関節技や投げ技が中心で不意に飛んで来る。
DDT、パイルドライバー、パワーボム等の頭部を痛打する技は原則禁止でそれを「マルティネーテ」と呼ばれる。
今回のメインイベントは有り有りルールとの事だそうだ。
チュアム
うーん、スープレックスホールド系は仕掛けた方が痛そう
亜利沙
投げ技一つで大ダメージだね、痛そう
試合は進みサブメインのタッグのベルトが掛かった試合が始まった。
その会場裏で受付終了まじかに一人の男がメインイベントのチャンピオン エル・アステカイザーJr. VS ベテラン悪役のラ・ナチョの1.25対16の賭け率で16に全額ぶっ込む姿があった。
夢か希望か紙くずかは神のみぞ知る
辺りの男達がナチョは無いなぁ、一回も勝って無いんだからな。と言ってるのが聞こえるが男はそのまま姿を消す。
そして、メインイベントが始まろうとしていた。
チャンピオンが羨望のまなざしを一身に受けて大歓声の中リングインする。
そして、けたたましい罵声とブーイングの中、悪役レスラーが入場する。
眩しく輝くチャンピオンベルトとチャンプのマスクを下から見上げるとリングインした。
メインイベントが引退と覆面剥ぎマッチとベルトのかかった試合で、「有り有りのガチンコ」であると説明が入り、両者にマイク紹介が入り花束贈呈が終わる。
どちらも相手に引導を渡そうと目を光らせる。
そしてゴングが鳴る。
二人はリング中央で組み合うかと思わせていきなりナチョのスモールパッケージホールド!いきなり固められたチャンプは予想外の攻撃に驚く・・カウント1、2、・・バン!2.95!!
いや、タイトルマッチや引退試合で無ければ決まっていた。
ナチョは悪役レスラーならカウント4くらいで無いと3は入らないのは重々承知していたが、惜しかったとマスクの中の目が語る。
ヒールらしく猛抗議をレフェリーにする。
チャンプはその隙を見逃すほど甘く無い
いきなり遊び無しで決めにきたナチョにチャンプの怒りのヘッドロックからのパンチが数発炸裂する。
ナチョもバックドロップかアトミックドロップ、を仕掛けるべくチャンプを持ち上げるが、その瞬間、体をグイッと入れ替えてボディープレスに持っていきそのまま片足を固めてフォールに入る。
カウントは2でナチョが返し、互いに構え合うと会場は大盛り上がりだ。
組合うとナチョが首投げでチャンプを投げると素早くスリーパーホールドを仕掛けるが体位を入れ替えて一本背負いで投げ返す。
長年の硬い地面での戦いの為か受け身が素晴らしく上手い。
投げられても背中や腰からでは無く、足からだったり、バシンと投げられるのでは無くドロリと言った感じの低い投げられ方が身に付いている。
大歓声の中、伝説者達も感嘆するのだった。
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