第九十話 やり甲斐
どすこい
ほぼ、同時期 ドドサンコ大陸中部、アサヒンカワ国 陸上自警隊アサヒンカワ駐屯地
夕暮れ時にパーンと音がする。
その周りには多くの人集りが出来ていた。
体と体がぶつかり合う音である。
丸山 岬丸は胸を貸して稽古をつけている所だった。
ジジイ相手に勝てないのが悔しいのか何度もかかって来る者もいたが、何度もぶつかり合う事で自然と尊敬されつつ、目標にもなった。
ここに至る経緯としては、下の通りになる。
ミヤショー、キシモーンを通じて幹部達に紹介をされ、三人で相撲を実演する。
3つの理由により幹部達には概ね良好であった。
特に駐屯地司令、副司令を始めとする一部の幹部から絶賛された。
1.暴力的に見えない事
蹴りや殴るといった行為が無い為である。
2.隊員の錬成訓練に使いやすい事
最低限、円を書けばでき、見た目に分かりやすいルールと体力錬成に直結する。
3.自警隊のイメージアップに使える事
イベント時に導入しやすく、様々な町おこし等の依頼に応えやすい。
そして、何より自警隊初となる伝説者の良き理解者として何とかパイプを繋いでおきたかった。
翌日には武格特別名誉顧問として任命を受けたと同時に上下の体操服と運動靴、帽子が貸与された。
そして、有難い事に駐屯地内の狭いながらも当直室の一部を与えられた。
夜から朝にかけては当直の隊員2名と相部屋になるが時間を見つけては話し掛けてくれるのが楽しかった。
駐屯地内も立ち入り禁止場所以外は行動の制限も受けず、朝昼夕と食事を取らせても貰い、浴場やシャワー、売店の利用も出来た。
ルールに基づき出入りの出来る、入出門許可証も発行してくれた。
何より仲間として受け入れてくれたのが嬉しかった。
平日は朝6時起床、22時消灯と言う規則正しい生活、しかも鍛え放題!
体力錬成訓練時にはミヤショーやキシモーンが作った資料を使い導入教育がされると、実地訓練においては丸山 岬丸は特別講師として指導した。
選抜選手達によるトーナメント方式での武闘大会が開かれる予定であり、広く民間人にも駐屯地を解放して行うとの事である。
アーベン神の再戦の事を考えると最高の環境下であった。
日当は6,500円と安かったが、これ以上無いやり甲斐を感じる。
そもそも、丸山 岬丸は金に固執はして無かった。
おい先、短い命が誰かの為になる事こそが生きた証になるのだと考える丸山 岬丸であった。
参照
陸上自衛隊第2師団
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/
次話は山根舞子です。




