第七十八話 パンのみに生きるにあらず
空腹
他の依頼を捜しながら空腹を紛らわせていると、男性の狐獣人職員に呼ばれる。
指名の依頼が有るのですが話しを聞いてみますか?
はい、是非、お願い致します。
〔獣人と話すのはパァリィー依頼かな?〕
この前は中華、美味しかったですよ、有難う御座いました。と、礼を言われる。
楽しんで頂けたのなら幸いです。
〔来てたんだ、人数多くて、うろ覚えだなw〕
では、こちらへどうぞと、探共長室へ案内される。
カッスンガーがお茶を二つ、お願い出来ますかと言うと職員がわかりました、失礼しますと部屋を後にする。
ソファーにどうぞと言われ座る。
指名の依頼、何か事件?黒色教連合絡みか?と思案していると、膝の上に彼女が素早く跨がりキスして来た。
えっちょっと、ヤバいよ、職場、職場!
悪戯っぽい笑顔で離れると正面のソファーに座る。
ノックと共に失礼しますと先程とは違う男性のノーム職員がお茶を二つ持ってくる、カッスンガーが有難うと言うと部屋を出て行く。
その際、水崎の口元を見てニコッと笑い出ていく、赤いルージュが付いていたからだ。
危なくない?ギリだったよカッスンガー、職場では控えないとさ。
彼女は立ち上がるとデスクの上の紙袋を取って戻ると、ハーイ、気をつけまーす。と、全く反省していないかの様に真横にピタッと座る。
私ね、今、昼休みだから大丈夫と笑っている。
紙袋からパンが取り出すと一つをハイ、叡にもあげると言って渡される。
食べてないんでしょ?
うん、助かります、マジであざます。
食べようとすると、違う違う、そうじゃ、そうじゃなーい。と彼女はスティックパンを咥えてこちらを向く。
あっ、じゃ、頂きますと端からもぐもぐする。
彼女ももぐもぐする。
何度か、もぐもぐキッスをすると、お茶を飲んだ彼女がヤバいっスイッチ入りそうと甘えてくる。
〔マイ プリンセスは公私混同気味だな〕
そう言えば、指定の依頼が有るとか?
あっ、そうそう、忘れた。
共にお茶で口を潤す、と、彼女が商店街の依頼受けたでしょ?明日の依頼になるんだけど愛鍵じゃなかった合鍵を鍵屋さんで作って来て欲しの。
クロンサキ商店街にあるからお願いね。
明日、家を出たら鍵を渡すからお願いしまーす。
あー、なるほど、確かに指定の依頼としては適任だねと納得した。
抱き合せの依頼だから安いんだけどね。
成功報酬で実費プラス500円です。
依頼じゃ無くてやりますよ、合鍵、必要だしね。
お茶を飲んでご馳走様って言うと、彼女はパンを咥えてこっちを見る。
じゃ、もう一つ頂きます。と、もぐもぐKISSをする。
あっ、じゃー、申請課へ行って合鍵の依頼を受けたって伝えてね、と、言うと何も言わずに上目づかいにこっちを向く。
えー、職場だよと言いつつ口付けが、止まらない二人だった。
ラブ成分補充に満足したカッスンガーから解放されて部屋を出る時に、あっ、18時ね。と確認して探共長室を後にする。
探共長室でお茶を飲んで湯飲みを下げるカッスンガーは両方の湯飲みに口紅の後を見て満足しつつ、後で化粧直しをしよっ!と、上機嫌で給湯室へ向かう。
そして、抱き合せの依頼を受け、水崎のTカードに新たに指名依頼1件と一番下に表示された。
第5章は次で終わりです。




