第六百十一話 クリスマスの無い世界
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苺のショートケーキ
R3.12.25(土)1300
異世界プルスウルトラ ジャスティス王国 都市ジャスティン
久米は焦っていた。
何日も前から探していたのだが苺のショートケーキがこの世界に存在しないのである。
決定的だったのは先程、社食でタアーンと昼食中にオフの王宮料理長と一緒になった時に「苺のショートケーキ」が食べたいのだが見つからないんだと話すと、女神タアーンも王宮料理長も聞いた事も見た事も無いと言われた。
無いと言われたら尚更、食べたくなるモノである。
久米は無理を言って料理人達にスポンジケーキと生クリームを作ってくれと頼むと夕方には!と返事をしてくれた。
そして、現在、苺を求めて都市ジャスティンを歩き回っていると、意外にも簡単に手に入った。
久米
うーん、材料はあるが「苺のショートケーキ」自体が無いだけと言う事か、良し、ならば!
ジャスティン城に大量の苺を持ち帰ると厨房にお邪魔する。
更衣室でマスクをし、コック帽をかぶり、コックコートにズボン、前掛けにコックシューズと着替え、埃落としでゴミを払い、手洗い場で手洗いを肘までしっかりとし、爪ブラシを使う。
自らが日本での衛生観念を持ち込んだシステムであった。
久米
失礼しまーす!
当番コックリーダー
お疲れ様です、総統閣下!
そちらに用意して有ります。
高さ40cm、直径1m位のスポンジケーキと巨大なボールにホイップがドンと置かれていた。
久米
うお、でけー!
有り難う御座います。
これなら、夕食時に一人、一人に社食で振る舞えるな。
当番コックリーダー
みんな何作るのか気になってるんですよ。
見てていいですか?
久米
ええ、いいですよ。
既にほぼ、ほぼ出来てるんで、正確には加工するだけですよ。
出来上がったらみんなにも振舞いますね。
そう言いながら浸漬したザルに苺を着けて洗っていく。
洗った苺のヘタをカットしスライスしていく、ある程度スライスするとスポンジケーキを横に上中下にカットし、別ける。
下のスポンジケーキの上にホイップを塗り、苺スライスを並べて行きまたホイップで塗る、中のスポンジケーキも同じ様に加工する。
下スポンジケーキの上に中のスポンジケーキを乗せ、その上に上のスポンジケーキを乗せ、周りをホイップで塗る固める。
そして、上のスポンジケーキの天井部分をホイップと塗ると搾りでホイップの模様を作り、スライスしていない苺を飾って行く。
久米
完成だ!
厨房の当番コックや給仕当番の執事やメイド達もおおっと軽く拍手してくれた。
当番コックリーダー
これを夕食時に振る舞うんですか?
久米
ああ、目の前でカットしてな。
その前にみんなで検食だ。
夕食前の忙しくなる前に当番コックや給仕当番の執事やメイド達に食べてもらう。
メイドA
うー、危険な美味しさ
太っちゃうよ。
執事B
いやー、これはブラックティーに合いますなぁ。
コックC
ああ、いいっすね甘いの!
渋い緑茶が合うっす。
コックD
いやー、珈琲っしょ!
あ、でも総統閣下が作ってくれたってのが最高です!
検食後、そのまま洗い場に入り、洗い物を手伝い、夕食時にはカットしたケーキを一人、一人皿に乗せて手渡しした。
プルスウルトラの世界にはクリスマスは無かったが十分クリスマス気分を満喫した久米であった。




