第五十四話 士気高揚
虎の穴
会場が落ち着き、食事をしながら先ほどの闘いの話しに花が咲いている。
トミーマーリン姫
皆、どうじゃ?
プロレス、やってみとうないかえ?
第一、第二の大隊長が我々も教えて貰えるのですか?、是非、やってみたい!と同時に皆、我も我もと興味を示す。
トミーマーリン姫
うむ、実は希望者には特別に林田蒼楽から享受をと話しをしてあるのじゃが、ここにおる者、全員、特別に教えてもらおうぞ!
皆が試合を出来るように成れば、戦での槍働きも良き物になろう!
皆が口々に「おぉー、良きお考えですぞ」、「素晴らしきお考え!御意に」等等賛同する。
トミーマーリン姫
よし、では、準備が整い次第に各大隊長へ伝達致す、今日は、しっかりと食べて、良く休むのじゃ!
裏方に徹したレスラー二人は別室で会場の声を聞きながら食事を取っていた。
スギココロンは夢中で打撃技、組技、投げ技、固め技、反則技等を聞いた。
林田 蒼楽も楽しくなり、熱が入ってくると、必然的に自らのスタイル、ハポネスルチャやルチャリブレの派手な空中戦や様々なスープレックスホールドを語る。
スギココロン
話しを聞く限りでは場外への空中戦は諸刃の剣ですね。
林田 蒼楽
プロレスにおいて場外への大技は原則、受ける、防御になるんだよ、あくまでも試合であって、死合ではないからね。
それでも大怪我や長い間痛めたりするんだけどね。
スギココロン
では、場外への大技はしない方が良いのでは?
何故、貴女はルチャと言う危険なスタイルを選ぶんですか?
林田 蒼楽
それはね、ルチャは最も花が有り、最も魅せる事が出来て、最も観客を沸かすからだよ。
決まった瞬間の高揚感は半端無いって!
スギココロン
あっ、場外でなくてもフライングボディプレスが決まった時、会場の歓声に後押しされ、高揚感、半端なかったです。
林田 蒼楽
どんな闘いにも危険は付き物だからこそ、しっかりと鍛えて備えるのは、武格の基本だね。
ルチャは覆面レスラーの宿命かな?
スギココロン
「試合は死合では無い」って真理ですね。
林田 蒼楽
試し合うからこそ、最低限の約束事は守らないといけないんだよね。
特に無茶が多く、素手で人を殺しかねないプロレス技はね。
と、言いつつ、頭の中では教える方へシフトしていた。
〔まずはリング作成と受け身、投げ、ブリッジかな?
皆の体力ってどれ位なんだろう、走り込みで探ってみよう!〕
林田 蒼楽
しかし、姫は上手く話しを運ぶねぇ!天賦の才だね。
スギココロンちゃんの司会も上手いし、皆、凄いなぁ!
少し、照れながらスギココロンはニコニコになる。
こうして、異世界三日目の夜が訪れ、養成所の構想がされて行くのであった。
 




