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武格者(ぶかくもの)   作者: 空銃(からづつ)
第四章 華麗なるルチャとケモナー
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第五十三話 信仰対象

エキシビジョンマッチ


会場に入ると席に着いていた者達が立ち上がる。

姫が会場に入るや否や話しだす。


トミーマーリン姫

皆の者、先だっての戦、大義であった。

旗色の悪い連邦において、唯一、我が国が勝てたのは皆のお陰ぞよ。

本日は慰労を兼ねての夕食(ゆうげ)じゃ、戦時ゆえ、酒は無いがゆるりといたせ。

聞いておる者も居ようが、先の戦で第三中隊長と伝説者(レジェンダー)の戦士、林田(はやしだ) 蒼楽(そら)殿の助力があり、敵中隊長三名を捕虜とし、武勲をあげた。

これが勝敗を分けたが、それまで踏み留まった各大隊の奮戦があってこそである。

第一、第二、第三大隊には報酬として、金十万円を褒美とする。

まずは着席じゃ、冷めぬ内に箸をつけようぞ!


姫が舞台横のテーブル席に座ると、回りも着席し、会食が始まる。

その頃合いを見計らい、スギココロンが話す。


スギココロン

皆、そのままで聞いて頂きたい、本日は慰労と言う事で林田(はやしだ) 蒼楽(そら)殿と私で催し物として、伝説者(レジェンダー)の世での演武をご覧頂く


武者だらけの会場が騒つく、伝説者(レジェンダー)の世界での武格に興味津々である。


スギココロン

〔よし、掴みはばっちりだ〕

さて、紹介するのは、プロレスと言う名の無手で闘う格闘技である。


相手の両肩を地面につけ三拍子固めるか、台の外へ規定の時間出してしまうか、まいったと言わせれば、勝ちである。

ただ、そこに至るまでは相手にダメージを与え、スタミナを奪い、気力を削ぐといった攻撃を加える。

論より証拠、まずは見て貰おう!


審判(レフリー)役の姫のお付きのコボルトが舞台にあがり紹介をする。


会場は演武に何故、審判(レフリー)役がいるのか?不思議がる。


そして、姫がニヤつきながら鐘を鳴らす。

「カーン」


審判(レフリー)

ファイト!


林田 蒼楽(タイガー)とスギココロンが吠えながら組み合う

力勝負である!型通り演武を予想していた者達が驚く!

林田 蒼楽(タイガー)が素早く回りこんでアトミックドロップを仕掛ける!会場から声が上がる。

さらに後方からスライディングからの蟹挟みでうつ伏せに倒す!席の後ろの方は立ち上がって見ている。

そのまま、ボストンクラブをしかけ、林田 蒼楽(タイガー)が、まいったかー!と吠える。

スギココロンは、まだ、まだだ!と、うなる。

会場は仲間のスギココロンが攻め立てられて、声援を送る。

技が解けて立たせた林田 蒼楽(タイガー)が技を掛けようとした瞬間、スギココロンが逆水平をバチーンと打つ、すぐにパッチーンとエルボースマッシュが返ってくる。

会場からは、やはり、伝説者(レジェンダー)には勝てないのか?と諦めムードになった瞬間、スギココロンの反撃のエルボー5連打が炸裂!しかし、林田 蒼楽(タイガー)は踏み留まっている所に回転してのエルボーがドシンと決まり、林田 蒼楽(タイガー)は仰向けに倒れる。

会場は総立ちである!

スギココロンがチェストー!と大声を上げながら高さのあるギロチンドロップを決める。

素早く立ち上がり、距離を取ると走り込むながら大きく飛ぶ!

皆が、おぉー!うぉー!と、声をあげた瞬間、フライングボディプレスが決まる。

レフリーがワン、ツー、スリーと台を叩くと、姫が鐘をカンカンカンカン!と鳴らし、スギココロンの手をあげつつレフリーが勝者、第三大隊長!とコールと共に会場は割れんばかりの歓声に包まれた!


最後にスギココロンと林田 蒼楽(タイガー)が握手をすると惜しみの無い拍手がおこる。


拍手に包まれ、二人のレスラーとレフリーは下がる。


会場の騒つく中、裏手でレフリーが興奮しました、近くだと尚の事です。と言うと、スギココロンが上手くいった!と上機嫌にシッポがピンとなる。


それを見ながら、林田(はやしだ) 蒼楽(そら)はアーベン(しん)の再戦までプロレスを布教しつつ、根付かせ、鍛えるのが天命だと感じた。

この世界にプロレスを!と自分の神様(カールゴッチ)に布教を誓うのだった。

カールゴッチ

1924 〜 2007

千の技を持つ男、プロレスの神様などの二つ名がある。

九割は海に散骨

残り一割の一部を日本へ分骨

東京都荒川区南千住にお墓があります。

分骨ってブッタみたいですね、流石は神様


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