第五百三話 父の愛
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キングオブ異世界
R3・9・8(水)0545
南極大陸 ヴォストークン国の町外れ
久米は魔人の男の子リックマン5歳に転生した翌朝、夜明け前に朝食の時間を迎える。
どうやら清貧が故にランプや蝋燭を使うのを控えているらしい。
かったい黒パンと薄い味噌汁のモヤシ入りでリックマンにだけ味噌汁にポーチドエッグが入っていた。
父
では頂こう!
二人で頂きますをし、味気無いが愛を感じる朝食を摂る。
リックマン(久米)は父親を観察する。
リックマンと同じ白い肌にプラチナブロンド、リックマンはシルバーと赤の虹彩異色症だったが父は両目がシルバーアイだった、山羊のツノの様に黒いツノがオールバックに生えていた。
非常に痩せ細っていて眼鏡を掛け無精髭が生えているが、いつも薄っすらとだが笑顔を絶やさない30才前後といった感じであった。
農林水産業の力仕事には向いていない様に見える。
父親に仕事に付いて行っていいかと聞くと目の届く所にいて危険なことはしないと約束の上でOKが出た。
夜明け直前に大八車に様々な道具を乗せ、父親と共に出発した。
先ずは10分程歩き、貯水池の以上の有無を調べる終わると養殖の魚の状態、水流や水温、水量を細く手帳に書き込んでいる様だ。
魚の種類を聞くと鯉、虹鱒、山女、雨子、岩魚、鈍甲と教えられたが鯉と鈍甲以外は同じに見えた。
そこから貯水池と川を繋ぐ用水路のチェックをしながら川を目指す。
川に着くと生簀が有り、中を見ると鮎が数匹泳いでいた。
川の中から紐が出ているのを父親は引っ張りあげていく。
父
おっ、居るぞ!
紐の先には筒が付いていた。
網の中に逆さにすると鰻が出てきた。
父親はそれを魚籠に入れると生簀の中に着けた。
父親はガッツポーズをしながら「夕飯は鰻だな!」と笑顔を見せた。
貯水池とは違う方向に向かうと果樹園があった。
柵で囲まれた中に蜜柑、林檎、柿、金柑、檸檬に栗の木があった。
聞けば栗以外は収穫が期待出来るとの事だった。
父親曰く、栗はあと2、3年しないと実が付かないそうだ。
聞くとリックマンが生まれた時に苗木を植えた様だ。
「家の西側に有る桜や東側の南天もそうなんだよ」と教えてくれた。
葡萄も二種類栽培していて、ブルーベリーや野苺もあった。
父親はそろそろ時間だと言うと、家に戻りながら森の中でキノコを採取する。
家に戻ると乾麺を湯がきあげるとキノコと炒めて食べた。
家の前に有るプランター内のスイートバジルを刻んで振りかける。
やはり、リックマンの方がキノコが多かった。
午後は畑の方に行くと柵の中に様々な種類の物が栽培されていた。
薩摩芋、馬鈴薯、メークイン、大根、茄子、胡瓜、苦瓜、西瓜、紫蘇、玉葱に青葱、唐辛子に獅子唐とこれだけの種類をよく管理出来る物だと関心する。
作物の状況、水やり、土のチェック、柵の保全と忙しなく動いている。
そして、家の近くの小屋で品種改良や研究をする。
どうやらこれが父親の毎日のルーティーンの様だ。
父親に疑問をぶつけてみた。
リックマン(久米)
お父さん、あの、お母さんって・・
父のペンが止まる。
父
お母さんかい?その内、戻って来るよ。
だから良い子にして待っておきなさいと辛そうな笑顔を浮かべるとまたペンを走らせる。
リックマン(久米)は悟った。
母親は戻って来ない、父と子の二人で頑張って行くしかないと。
たった二日だが父親の愛は感じた、達観した第三者目線であったが、この父と子を何とか助けたいと思う久米であった。
参照
虹鱒
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニジマス
山女
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマメ
雨子
https://www.zukan-bouz.com/syu/アマゴ
岩魚
http://www.forest-akita.jp/data/iwana/iwana.html
鈍甲
https://fishingjapan.jp/fishing/8280
馬鈴薯
https://www.calbee.co.jp/diary/archives/1156
メークイン
https://www.jrt.gr.jp/var/mayqueen.html




