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武格者(ぶかくもの)   作者: 空銃(からづつ)
第一章 -武格者-
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第五話 最初のバトル

60分一本勝負


真っ先に仕掛けたのは山根(やまね) 舞子(まいこ)だった。


突っ込みながら言う、テメェ、さっきから気に入らねぇんだよー!っと、一気に間合いを縮め、鋭く、素早いジャブを連打しながら更に叫ぶ!

何やってんだ、テメェら、擦りすらしねぇつってんだぞ!ムカつかねぇーのか?

あーしが一気に畳んじまうぞ!


しかしながら、流石は武神(ぶしん)と言うだけの事はある。


アーベン(しん)は軽やかに、ウェービング、ダッキング、スウェーと、軽く躱してゆく。


その途中で急に右側をしっかりと衝撃に耐えられる防御姿勢に入った刹那、林田(はやしだ) 蒼楽(そら)のドロップキックがドーンと放たれた!


アーベン(しん)は完璧にブロックしつつ浮身により威力を殺しつつ、軽やかに飛んだ。


しかし、着地点にJKハーフズが互いにうなづき合い、待ち構えている。


空中のアーベン(しん)の正面を左右から空手の回し蹴りとムエタイの回し蹴りが挟み込む様に放たれる。


が、アーベン(しん)は両膝を立てつつ、蹴りに合わせて膝を広げる事によって威力を殺してしまった。

だが、着地と同時に丸山(まるやま) 岬丸(みさきまる)のぶちかましが炸裂し、素早く得意の右の上手を取るが、アーベン(しん)もしっかりと受けつつ、丸山(まるやま) 岬丸(みさきまる)のベルトを右上手にとり、喧嘩四つの体制になる。


丸山(まるやま) 岬丸(みさきまる)は「このやろっ!」と言った瞬間、後方で飛び蹴りを狙う久米(くめ) 慶人(けいと)に豪快な上手投げで投げつけ、ぶつかった二人は共に転んでしまう。


各個人、自分の能力での闘い方を思案しつつあった。


水崎(みずさき) (えい)

木刀サイズの木の枝を叩き折りつつ、今までの一連の動き見て思案する。

マジつえー、ウザ!素手はムリゲーだなと思いつつ、細枝を千切り軽めの木の棒を仕上げつつあった。

そしてパターンを見るとしっかりとブロックする時が稀にある。

そこに活路を見い出し、静かに間合いを詰めだしつつ、自分に言い聞かせる。

「武器を使い、先の先を読めば、ワンチャン有る」と。


サワット チュアム

先程のダブル回し蹴りの威力の殺し方を見て、自分的には離れれば離れる程に巧さが出ると感じ、超インファイト打撃からの投げにこそ、活路を見いだせるのかな?と思いながらムエタイ特有の両手を高めに挙げ、足を上げ、下げしながらジワジワと距離を詰めつつ、仕掛けるタイミングを見ていた。


山根(やまね) 舞子(まいこ)

ジャブしか打てずにイラだっていた。

クソが牽制になってんのかも怪しいな、だが、マジつえーな、ストレートに繋ぎきれない。

ジャブが擦りもしねぇ、コッチに注意を向けさせて、誰かの攻撃を待つだけかよ!情けねぇー、クソがスタミナが続く限り打つしかねぇーな


アビィン 亜里沙(ありさ)

ボクサースタイルの山根(やまね) 舞子(まいこ)のジャブを躱すのを見て、亜里沙(ありさ)的には接近戦ではチョット無理かなー?と感じていた。

少し離れ気味からの素早い、一撃、ニ撃の離脱が支援位にはなるかな?と感じ、ぴょんぴょんと、跳ねる独特のステップで仕掛け様としていた。


丸山(まるやま) 岬丸(みさきまる)は投げの打ち合いでは部が悪いと直感した。

得意の右の上手を取っていたにも関わらず、何も出来ずに投げられたからである。

日本刀でもありゃ、話しは別だが、無い物ねだりだしなぁ

うーん、張り手、突っ張り、かち上げ、蹴手繰り、ぶちかまし、頭突きの喧嘩相撲しかねぇな。

得意のダーティーファイトってヤツだな!と、自分の腰をパァーンと叩いて気合いを入れた。


林田(はやしだ) 蒼楽(そら)

彼女は最初からブレは無かった。

バトルロイヤルの様な乱戦時には遠距離からの空中殺法で虚をつく!

隙を見て、スープレックスホールド等で沈める!

元々のスタイルがルチャ・リブレの枝別れ的なハポネスルチャで有り、ルチャドーラとしての戦い方がそうで有り、何の疑問も無く、フィニッシュには当然、自分の技が絡み、最強で有るプロレスなら当たり前だと疑ってもいなかった。

あと、少し近づけば行ける!と目が光る!


久米(くめ) 慶人(けいと)

気配を殺して背後を取ったにも関わらず、完璧に攻撃を阻止され、ベテランの自分とジジイを同時に封じられて、慎重になっていた。


神様、手を出さないとは言ってないし、反撃してきたらと思うと手が出ない。

終了回避とは言え、みんな、よくガンガン行くなぁー、スゲー。

相手の脅威が分かり過ぎての慎重差が出てしまったと言う所である。

蹴りで牽制しつつ、ボクサーと連携していくしかないな、と、ボクサーの左斜め横に移動する。


そして一時間近くたった。

現状としてはこういった形で攻めている。


アーベン(しん)の正面でボクサースタイルの山根(やまね) 舞子(まいこ)が肩で息をしながら、しぶとくジャブを連打


左の斜め横から空手キッカー久米(くめ) 慶人(けいと)がゼイゼイと言いながら、四股立ちから逆風足刀蹴りや後ろ回し蹴りを連発


間隙を縫って林田(はやしだ) 蒼楽(そら)が遠方より飛距離のあるジャンピングニーパットやフライングクロスチョップ、フライングショルダータックルを繰り出す。


右斜め横にぴょんぴょんと、息も切れ切れで素早い一撃、ニ撃離脱を繰り返すアビィン 亜里沙(ありさ)


右の真横にはぁ、はぁと大息の丸山(まるやま) 岬丸(みさきまる)が至近距離で突っ張り、張り手等を仕掛ける。


左手の真横からサワット チュアムが掴めそうな距離でティーソーク、チァランボで連打しつつ、投げのチャンスを伺うが、投げに繋げずにいる。


水崎(みずさき) (えい)は忍者の様に気配を殺している。


驚くべき事はアーベン(しん)が全て相手の間合いで、避け、捌き、躱し、流し、時々ブロックと言った動きで完璧に防いでみせる事である。


しかし、そんな中、チャンスが生まれる。


猛攻によるものか、はたまた、たまたまかは分からないが、少しづつだが、アーベン(しん)が滑り台の方へと近づく


その時、滑り台の上にいつの間にか人影が!


滑り台の上の手摺(コーナーポスト)から、林田(はやしだ) 蒼楽(そら)が好機とばかりに捨て身の大技のラ・ケブラーダを仕掛けた!


この瞬間を待って、忍んでいた水崎(みずさき) (えい)が棒を持って走り込む


アーベン(しん)林田(はやしだ) 蒼楽(そら)のラ・ケブラーダをブロックしようと両手を挙げた瞬間

ソレを狙う水崎(みずさき) (えい)が棒を振り上げながら踏み込み吠える「こてぇー!」


両手でブロックする為に挙げた手と身体を捻りながら小手を回避し水崎(みずさき) (えい)の体を流した所に林田(はやしだ) 蒼楽(そら)が飛んで来るが、またもや、ブロックしながら流される。


両手を挙げて体が流れたその隙にサワット チュアムがバインとアーベン(しん)に抱き付く事に成功した。


サワット チュアム

捕まえた!と、会心の高速の剃り投げ(フロントスープレックス)が炸裂!


決まったかと思いきや、両手を地面に付けて前転で躱す。


その瞬間、目の前にいた久米(くめ) 慶人(けいと)が奇声と共に飛び蹴りを放つが受けられる。


同時に死角から山根(やまね) 舞子(まいこ)が滑り込みながらのローキック!


避けたかに見えたが、カスっとアーベン(しん)の足にかする。


山根(やまね) 舞子(まいこ)が唸りを上げるように「とったぞ、アーベン(しん)」っと言う。


全員がヨッシャー!ヤッター!ザマァ!ウッキー!ヒャッハー!っと大声で沸く。


アビィン 亜里沙(ありさ)

日本終了は無しって事で良いですよね?ねっ!ねー!っと聞く。


アーベン(しん)がシワシワのマスク外した。


そして、渋い顔で、ハッキリとくっきりと言った。


「今のは無し!」


全員

えっ?・・


公園内の時間が止まった気がした。

R2.6.12(金)一部、加筆、修正しました。

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