第四百六十五話 工場のサイレン
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工場地帯
R3・7・28(水)11:50
エリア カンサイン ヒョウゴオンの地 アマガサキン国
工場が多く目に付く、最初に感じたのはそれだった。
ヤヤイヅ国から流れ流れてアシオンはここまで来ていた。
アシオン
確か八月八日辺りでナールトン国の武格大会でコンサートやるんだったな。
ここを逃すとツアーの場所が分からねえ、早めにエリア ヨンコクに入れそうで良かったぜ!
その時、正午のサイレンが鳴る。
12時になった様だ、作業服姿の多くの人が食堂やレストランに吸い込まれて行く、アシオンは混雑時は避ける様にしていた。
アシオン
俺の様な風来坊は人の少ない時間に行けば良い。
真っ当に働いてる人々の邪魔はしちゃならねえ、自由とは不自由も含めてのモノだしな。
小さい公園にあったベンチに座るとギターを鳴らす。
穏やかな昼下がりに合わせたスローな曲だった。
一人の初老の白人男性が近付いてくる。
作業着姿に深いシワが刻まれた顔だ。
済まんな、金ないねん。
ゴツゴツした手でミントガムを一枚出しながら、コレで何か弾いたってや。
アシオン
ああ、何でも弾くぜ!
リクエストはあるかい?
男は考え込むと答えた。
済まんな、曲とか分からへんわ。
景気のええ曲頼むわ。
アシオン
景気の良い曲・・激しい曲でいいかい?
男
ああ、それでええで。
なんか、ガム一枚で悪いな、兄ちゃん。
アシオン
気にする必要はないぜ、丁度、ガムが食べたい所だったんだ!
行くぜ!
持ち歌からINVOKE-インヴォーク-をチョイスする。
激しい曲に激しいボイスが人集りを作る。
若い男
あれ、アシオンちゃう?
ミクミン歌劇団の!
事務員風の男
うわ、ホンマやアシオンや!
去年の年末にエリア カンサイン ツアーをしたので知ってる人もいる様だった。
歌い終わると大きな歓声と拍手に包まれる。
ガムの男
ええ歌や!おっちゃん感動したで!
兄ちゃん、有名人やったんやな。
アシオン
有難う、ああ、少しだけな。
若い男
やっぱりナールトン国へ行く途中です?
アシオン
流しながらな。
色んな土地での人々との触れ合いが面白いんだぜ!
事務員風の男が若い男に聞く「ナールトン国でなんかあるんか?」
違う男が答える。
何や、知らんのかい?
西の黒の女王様の教団主催
第1回 天下一武格大会やん、あっちこっちにチラシ貼ってあるやないか。
8月6日(金)から7日(土)、8日(日)の三日や
中日の土曜日にミクミン歌劇団の野外コンサートがあんねん、俺も友達と見に行くから楽しみにしてんねん!
アシオン
みんな、良かったら観光を兼ねて聴きに来てくれよな!
〔7日の土曜か!あぶねえ、最終日かと思ってたぜ。〕
ガムの男
お盆やし、観光半分で行かせてもらうわ!
昼休みも終わりかけの為、後ろ髪引かれながらも皆、職場に戻って行く。
アシオン
よし、俺も行くとするか!
みんな、どこかで会ったら気軽に声をかけてくれよ!
〔ストリートライブはやっぱり良いモンだな。〕
暑い炎天下の日、キツい仕事に向かう者達は満面の笑みで手を振ってくれた。
アシオンはギターを掲げて「頑張ろうぜ!」と声を返すのであった。
参照
INVOKE-インヴォーク-
https://www.youtube.com/watch?v=jr9kO9Jlx7c
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