第四百一話 宇宙(そら)への第一歩
空へ
R3・5・17(月)1930
南極大陸 エリア 中央部 到達困難極国 王宮の中庭
バンドーン
お集まりの皆さん、面白い物をお見せ致しましょう!
そう言うと長い糸の付いた風船を見せる。
手を離すとスーッと下に落ちる。
アーチャー
・・?
マサオーナー姫
それって面白いの?
タケユディンやシゲルーン、ナギサマ、アズサマも不思議そうな顔である。
バンドーン
ま、順当な反応だ。
まず、この転がっている物は風船と言う。
使われている素材はゴムの一種
然し乍ら、素材に特殊加工を施してあり、この通り!
バンドーンは風船を手に取ると灯り代わりの松明の炎の上で風船を炙る。
アーチャー
ぬ!ゴムなのに割れる事も無ければ、燃えも、溶けもしない。
マサオーナー姫
珍しいけど・・やっぱりもう一度言うわ。
それって面白いの?
バンドーン
ふっ、まあ待て
1分くらい炙ると姫を呼ぶ
マサオーナー姫
何?この糸を持てばいいの?
バンドーン
ああ、そうだ。
そう言うと風船から手を離す。
風船は上に向かって浮き上がる。
マサオーナー姫
えっ、どうなってるのコレ?
面白い!
バンドーン
お判り頂けただろうか?
コレが以前見せた図面の中にあった「熱気球」の原理だ。
素材さえあれば直ぐにでも作れる。
素材は提供致しましょう、どうかな?魔王 アーチャー殿
ほかのみんなも創作意欲が湧いてこないかね?
どうだい?100mの風船、何がどれくらい、どこまで運べて、目立つ分に宣伝にもなる。
タケユディーン
うーん、原理は分かったがやはり不思議だ。
シゲルーン
確かに王家の力を示威するには申し分はないな。
アズサマ
目立つっちゅー事は人を集めやすいんやないかな?
ナギサマ
うん、早過ぎないから沖に大型商船が見えた時みたいな感じかな?
定期航路には良いかも
バンドーン
結果、伸るか反るかは別としてもトライする事自体はいいのでないかね?
アーチャー
確かにその通りだが・・見返りには何を望む?
バンドーン
特にはないさ、新たな技術を研鑽してもらえればそれでいいのだよ。
アーチャー
〔ううむ、北極の意図が読めん〕
マサオーナー姫
父上様、両叔父上様、良いではないですか。
無償の技術供与、南極への寄贈物と見れば無下に断る事もありませんわ!
なんと言っても面白そうですわ!
それにわたくしの知的好奇心がやるべきだと言っていますわ。
バンドーン
ほほう、姫様は学者肌ですな。
識者の素養がお有りで。
アーチャー
うむ、話しに乗ろう。
ならば、マサオーナ姫を責任者とする。
見事に完成させてみよ、タケユディーンとシゲルーンを補佐に付ける。
マサオーナ姫
わかりました、わたくしにお任せください。
バンドーン
〔ふっ、素直なのは良い事だ、大人になると無い裏まで警戒する。〕
姫、私も微力ながらご協力致しましょう。




