第三百五十三話 喫煙所が無い
猫キック
ポンシンユ大陸 エリア トウカイン シーズニングオカーンの地 ヤヤイヅ国
前回からの続き
引率者のエイッチャーが黄色い小旗を振りながら境内に入って来る。
えー、こちらが猫神さんの祠になります。
15分の自由行動です。
団体客がバラけると社務所の横のベンチに座るとタバコを吸い出す。
目の前の立札には「境内禁煙」と書かれている。
流石にケイジーンが激怒しながら社務所から出て来る。
ケイジーン
コラッ!エイッチャー、目の前の立札に禁煙、書いてるやないか!!
エイッチャー
うわっ、ビックリした!
一服くらいええやんか、吸う所無いし。
阪本(久米)は観光客にちょっとすいません、すぐ戻るんでとエイッチャーの所へ走る。
観光客
喋りおったで!猫神さんホンマもんや!
阪本(久米)はそのまま、走り込んでエイッチャーの顔面に蹴りを入れる。
阪本(久米)
何晒しとんじゃい、ドアホ!
禁煙見えんのか!
ケイジーン
阪本様、どうか、どうかお怒りをお鎮め下さいませ。
エイッチャー!お前、謝らんかい!!
エイッチャー
すんません、すんません。
いや、猫神さんってホンマに喋りはるんや・・
阪本(久米)
アホ!
客の前で引率者が規則破りおって!
全然大事にしとらん神様を誰が有り難るんじゃ!
ケイジーン!観光はこれで、もう終わりや!
やりたい放題やりやがって
ケイジーン
ま、持って下さい、阪本様
今一度、お考えを!
何卒、何卒ご再考を
阪本大権現様!
先の予約も秋まで入っております、このままではキャンセル料でクノールン商会は潰れてしまいます。
信用を失った商人など、詐欺師以下で御座います。
どうかご慈悲を!
阪本(久米)
うーん、秋まで予約が入っているのか・・
エイッチャー
阪本様、いや、阪本大権現様
自分に出来る事なら何でもやります、いや、やらせて頂きます。
平に、平に御容赦下さい。
〔商会が潰れる?えらい事になってもうた・・〕
阪本(久米)
うーん、信心深いケイジーンの願いなら叶えるのも吝かでは無い。
が、エイッチャー何でもやれるのか?
エイッチャー
はい、何でもやらせてください。
阪本(久米)
よし、ならば機会を与えよう。
予約の入っている秋までの間、エイッチャーを阪本大権現の預かりとする。
ケイジーン
あ、有難う御座います。
必ずや、エイッチャーは期待に答える筈です。
エイッチャー、良かったな?
折角の機会や、商売の神様、阪本大権現様から教えを乞うんやで、ええな?
エイッチャー
有難う御座います。
何でもやらせて頂きます。
ケイジーンは阪本(久米)にアイコンタクトを送る。
出来レースであった、商いに熱が入らず、どこでも直ぐにタバコを吸う様になったエイッチャーに喝を入れる為である。
そして、ヤヤイヅとクノールン商会双方にとっても儲かる事を阪本(久米)は始めようとしていた。
その手足としてエイッチャーを使いつつ、商いのいろはを一から叩きこんでもらう。
これがケイジーンの真の願いであった。
阪本(久米)
引率はケイジーン、頼むぞ。
さてと、まずはエイッチャー、敷地内の掃き掃除からやってもらおうか!
エイッチャーはホウキを持って掃き掃除を始める。
観光客達はガンガン喋るアクティブな猫神にエキサイトした。
阪本(久米)
よし、御守りも売れてる、売れてる。
この調子で頼むぞ。w




