第三百十五話 ネット
乾物
R３・２・２０（土）朝
南極大陸 南極半島 パーマー国とロゼラ国中間地点
ここまで数カ所の集落を訪れた結果、魚の干物が完売した。
１万円分の魚が少し手を加えて加工した事と少し海から遠い所に運んだ事で十倍の十万円に化けた。
アズサマとナギサマとバッシーリッカは大喜びである。
水崎はホッとしたと言った所であった。
バンドーン
流石じゃないか、やるね。
水崎
いや、攻め切れなかったよ、消極的な結果が一万円分の加工で道中で売り切れ。
閉まらないね。
〔脳裏に浮かぶ妖艶な白狐獣人の女性の声が聞こえる、「ヘタレが、あかんやっちゃの！」〕
バンドーン
まあ、初手で商人が一人も居ないパーティーにしては上出来じゃ無いか？
アズサマ
うん、ホンマ上出来やん。
水崎はん、求め過ぎやろ。
ナギサマ
うん、そうだよ。十倍なんだよ？
水崎
まあ、そうなんだけど・・
〔G９の商人と一緒に居たせいか、どうも彼女と比べてしまうな。〕
バッシーリッカ
まあ、ロゼラ国までは手持ち無沙汰にはなるけどね。
着いたら海藻って何を買うの？
水崎
うーん、相場次第だが昆布と若布を買って干すって考えているのだけども・・
思い切って干し網を購入しようかと思ってる。
バッシーリッカ
干し網って何？
水崎
いや、あの魚を干すやつ、干し籠って言うのかな？
何と、全員知らない。
この世界には無いようだ。
アレって昔からあるものじゃ無いのか？・・・あっ、昔はざる干しか。
これは網の専門業者に作ってもらおう、内陸部では干し芋や干し柿や切り干し大根にも使える。
すまないが、ロゼラに着いたら暫くは滞在する事になる。
網を扱ってる所で作ってもらいたい物があるんだ。
その間に干し昆布や灰干し若布を作ろう。
バンドーン
ほう、新たな物か！楽しみだ。
〔コッチから誘導しなくても技術が大陸に流入しそうだな。これも魔王との取引材料にはなるだろう。〕
すまないが、灰干し若布とは？
ああ、若布を藁や芒とかの灰と干すと、色合いや風味が長持ちするんだ。
まあ、作った事は無いのでぶっつけ本番にはなるが、やらまいかだよ。
バッシーリッカ
切り干し大根ってのも初めて聞くのけど？
水崎
無いのか？・・・うーん大根干しってないのか？
アズサマ
大根干しは見た事があるよ。
ナギサマ
沢庵漬とかの漬物の材料になるんだよね。
水崎
それの切ったバージョンで主に煮込み料理等に使うんだ。
今度、実食してみよう。
バンドーン
それは楽しみだ！
やはり伝説者だな、色々と知っている、感心するよ。
水崎以外は大根の煮物と言われ、おでんやブリ大根しか出で来ない。
甘辛いと聞いて未知の味に期待する四人であった。
