第三百六話 ガチ勢
研ぎ澄まされる技
R3・2・11(木)早朝
オーキナーゼンの地 ウマルチャン国 浜辺
山根舞子は頭を下げて、先生宜しくお願いします。と言う
うん、じゃあ体操から始めようか
先生と呼ばれるこの男はトカキカツンと言う
ヤポーネにおけるボクシング元ライトフライ級の世界チャンプだった男である。
60歳になり、生まれ故郷のオーキナーゼン国で隠居の身であった。
隣国のウマルチャン国に居る魔王が教えを請い、呼ばれたのであった。
つい、数日の前の話しであった。
浜辺で対峙する。
トカキカツンは一目見て、山根の遥かな強さを肌に感じた。
この魔王に何を教えろと?全盛期でもジャブ一発で逝けるぞ。
魔王はトカキカツンの目の前で土下座をし、言った。
「トカキカツン先生、一からボクシングを教えて下さい。」
そこにはただ単に強さを求める者では無く、より高みへ、誰もが見た事の無い究極の場所を目指そうとする者がいた。
魔王に尋ねる。
あんたは強いよ、全盛期の僕より遥かに
いえ、こんな力尽くとスピードで誤魔化した偽物の強さはではダメなんです。
もう一度、基本から見つめ直さなければ・・
どうしても倒さなければならない相手がいるのです。
それは偽魔王っていう奴の事かね?
いえ、偽魔王は今でも倒せると思います。が、アーベン神は倒せないのです。
山根は偽魔王配下の魔人の襲撃で命より大切な物を奪われ、怒りに任せて走り込み、シャドーをした。
そして気付いたので有った、こんなんじゃダメだ!!と・・「真の強さを学ぼう」
そして先生のお噂をお聞きし、教えを請おうと・・
あ、アーベン神って武神だよね?
はい、そうです。
2度ハンディーキャップマッチで戦い、正直、カスるのがやっとでした。
そう、戦ったんだ
〔武神に勝つ為の教えを僕に・・・素材は良いが教える事が・・伝えきる事が出来るだろうか?〕
先生、お願い致します。
僕では力量不足かも知れないよ?
それでも良いの?
お願い致します。
うん、わかった。
出来る限りを教えるよ。
そして数日がたった。
浜辺でのランニングが終わり、軽いシャドーをさせる。
まだ、力任せになってるよ?
もっと鋭く
スピードに頼らない!!
もっと足使って、頭も振って!
ガード下げないよ!
トカキカツンから見ると素晴らしい逸材だった。
砂地が水を吸収する様に覚えていく。
無尽蔵のスタミナ、貪欲な吸収力、圧倒的な向上心、ストイックさ、素直な所
速さの中にも鋭さが出て来る。
うん、そのジャブの感覚、大事よ!
もっと鋭く、打ったら即ガード!
見ているだけで動体視力が試される。
はい、ストップ
1分休憩ね。その後、ランニングね。
〔コレが伝説者か!今すぐにでも全階級制覇出来ちゃうよ!でも、アーベン神・・どうかな?〕
ランニングから戻るとまたシャドーをする。
そこに定食屋さんが出前を持って来てくれた。
今日の日替わり定食、アグー豚の角煮ね、ココ、置いとくよ!!
うん、もうすぐお昼だね。
一緒に手洗いして、うがいして頂きましょう。
トカキカツン先生が手を付けるまでは山根は手を付けなかった。
〔ココまで師として敬意を払われると悪い気はしない。〕
先生、どうぞ!とコーレーグスを渡される。
角煮と味噌汁に振る。
そして、一口食べると、トカキカツンはアーネサンも頂きなさいと伝える。
そこで初めて山根は箸を取る。
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そして午後は軽めに縄跳び、筋トレやストレッチを重点的にする。
夕暮れ近くに最後の締めにシャドーをさせる。
無駄を削ぎ落とし、一発、一発、パンチやテクニックの精度を高めていく
正にガチ勢である。
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それを離れた所で見る集団がいた。
チュアム
ムッツンに帰って良いですか?
シロ
そんな事言わないで下さい、チュアム様
1、2、4号とシロ、シャナタンとチュアム達は山根 舞子が既に冗談やギャグの通じないステージに進んでいる事に声を掛けれずにいた。
チュアム
あっ、こんな所にゲーム機があった!って通じるかな?
いや、通うじないね・・どう話しを切り出そう。
あーマジで無理ゲーじゃん?
みんなで土下座して見る?
いや、キレるというより冷やかな目で一瞥されて、終わりそう。
1号
それはそれでキツいっす。
永遠に信頼を失いそうで・・チュアム様、お願いするっす。
チュアム
するっすって・・
浜辺では夕日に照らされた山根がマシーンの様に1、2、ウェービング、ジャブの連打、ステップワークからのダッキング、ブロッキング、1、2からのフック、アッパーと汗を飛ばす。
チュアム
うわー、ヤバイよ、山根さんマジでガチ勢なんですけど。 つづく
参照
コーレーグス(これをかけると何でも美味しくなる魔法の調味料)
https://ja.wikipedia.org/wiki/コーレーグス




