第二百九十一話 おでん
久しいな
エリア トウカイン シーズニングオカーンの地 ヤヤイヅ国
港に大型の商船が寄港していた。
何か商売になる物はないか?と補給がてらに二人の商売人が立ち寄ったのである。
漁師の一人が網のメンテナンスを行っていたので、何か面白い物はないか?と尋ねる。
漁師は答える、商人なら阪本大権現様にお参りしときな!と
阪本大権現様ですか?
ああ、商売に漁、海運に開運、料理に恋愛、学問に歌、なんでもござれの神様だよ!
なんてったって現猫神様で実際にお目にかかれるんだ。
ヤヤイズの景気を数ヶ月で良くしてくれたし、魚の加工品で漁師達も潤ってんだよ。
悪い事は言わないから祠に参っときな!!
ほう!これも何かの縁、参らせてもらおうやないか、ええ話し聞けた、漁師さん、おおきにな
二人の商人とはケイジーンとミィードリであった。
ムッツンからの戻りでテイトンに立ち寄った後の寄港であった。
ミィードリ
正月からずっとツキが付いて回っとるな!
ケイジーン
ああ、ほんまやな
怖いくらいやで
祠に着くと黒猫がジッと見ている。
ケイジーン
阪本大権現様?
ミィードリ
黒猫がどうやって景気を上げたんや?
なんや、眉唾もんやない?
ケイジーン
阿保!神前で何をぬかしとんのや!
黒の女王様の後の黒猫様やぞ!有難たい事、この上無いやないか!!
阪本(久米)
その通りだ!有り難く思え
ミィードリ
うわっ、喋った!!
ケイジーンは腰を抜かしかけている。
ケイジーン
すんません、ウチの妹が阿保なばっかりに・・ミィードリ!謝らんかい!!
ミィードリ
す、すんません・・ほんま
阪本(久米)
さてと、賽銭は幾ら行くのかね?
〔一万円の金の大判、行くか?さっきミィードリって・・確かクノールン商会の長兄とチュアムちゃんの所へ〕
ケイジーン
えっ・・それは・・
〔そんなん、目の前で言われたら・・〕
社務所で10万円の大判の束が奉納される。
阪本(久米)
ほう!流石はクノールン商会の長兄だけの事はある!
ケイジーン、やるな。
ケイジーン
えっ・・私を、クノールン商会をご存知なんでっか?
阪本(久米)
ミィードリもエイッチャーもツートンもパージメンもオケール一家、アホの水崎も知っているぞ!
ミィードリ
うわあ!ホンマもんや、この神様ほんまモンや!!
阪本(久米)
なんか商売品を探しに寄ったのか?
ケイジーン
はい、おっしゃる通りで御座います。
阪本(久米)
10万円の仕事だな、うーん、カンサインに運ぶとして・・
この地の特産品は蜜柑、お茶、かつを節って所だな。
保冷出来るなら黒はんぺん、カツオのたたき
煮込みながら運ぶのだったら静岡おでんだな。
ナゴヤン国辺りに運んで捌いたら、そこからは八丁味噌を使った味噌煮込みおでんをカンサインで捌いて、着いたらカンサイン風の出汁の聞いたおでんでどうだ?
ナゴヤンの外郎にお茶が合うはずだから売れるぞ、当然、外郎を買い付けてお茶とセットでカンサインで捌け
ナゴヤン国ではトヨハッシン国の竹輪が手に入ったらおでんに入れろ。
カンサインでは乾麺をおでんに合わせて食べさすのも面白いんじゃないか?
キョウノミヤコーンのお茶や和菓子を買い付けておけよ?
ケイジーン
えっ、えっ、ちょっと待ってください。
今、書き取るんで!
ミィードリ
ホンマにほんまもんや!
阪本(久米)
なんなら、「おでんとお茶と和菓子で巡る船旅 阪本大権現ツアー」の専属ツーリスト契約やヤヤイヅ商店との口利きをしてやってもいいぞ?
10万円の買い物としてかなりの勉強をしたぞ、どうだ?
ケイジーン
ホンマにええ買い物や!有難や、有難や。
ミィードリ
ホンマにツキ過ぎて怖いわ。
阪本(久米)
〔確か、オケールの死の前に出港してるのだったな〕
帰ったら悪い知らせが待っている。
まあ、直接の影響は無いが、パージメンは落ち込んでいる筈だ。
ケイジーン
えっ?悪い知らせですか?
阪本(久米)
ああ、そうだ
その前に社務所で町会や商店街の長を紹介しておこう。
今日はココに泊まっていきな。
〔郷土色の豊かなおでんもいつの間にか、コンビニおでんに押しやられたな・・昔はアキバに自販機まであったのにな〕
次話は水崎で新章です。




