第二百五十九話 ともし火
母
R2・12・23(水)昼
エリア ドドサンコ アサヒンカワ国 アサヒンカワ駐屯地
空路、喪服のぶち猫獣人の年輩の女性が降り立つ、駐屯地指令のアマンノン陸将が出迎える。
英霊の母親が駐屯地に到着したのだった。
英霊は白人にしか見えなかったがハーフだったらしい、そして英霊の元にご案内する。
やはり、顔を見るまでは、間違えかも知れないと一縷の望みをかける。
年老いた母親は泣き崩れた・・悲痛な鳴き声が響く・・居た堪れない。
英霊の護りについている儀仗隊や横に立つ駐屯地指令も居た堪れなくなる。
暫くしてアマンノン陸将は声を掛けて手を差し伸べる。
お身体の障ります、こちらに・・ご子息は儀仗隊が24時間、お守り致します。
待機室に案内されると、各種書類があり、捺印が必要となる旨を伝える。
厚生班長が書類と朱肉、スタンプ台を用意する。
厚生班長
申し訳有りませんが、捺印をお願い致します。
泣きながら、捺印する。
そして、各種捺印が終わると英霊の出棺となる。
中央道路をほぼ全隊員が挟んで並ぶ、自警官は制帽着帽で敬礼、事務官等は無帽なので45度の敬礼で出棺を送り出す。
棺の後を付いていく母親は幾度も崩れそうになる、その度に司令は起こしながら、「お気をたしかに」等の言葉を掛けていく。
そして英霊と母親は飛び立った、故郷に向かって。
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翌日のR2・12・24(木)夕刻
場所はエリア ヨンコク ナールトン国の亜里沙教団に移る。
アビィン 亜里沙一行は前日、赤に乗り、キューシンズのアラシッポ国とグレートムタ国の中間にてクリスマスに行われる喧嘩祭へ向かった。
そしてこの日にアサヒンカワ駐屯地から特別便がマツシゲン基地へ到着する。
英霊の故郷はナールトン国であったのだった。
亜里沙は一声掛けたがったが時間がそれは許さなかった。
英霊がナールトンに着くと実家で葬式が行われた。
近隣住民や昔からの知人が訪れた。
ざわめきが起きる、サワット チュアム、センガワ海将、ブックシーマン海将補、ツカンヤーマン事務官、マツシゲン基地指令 カキウッチー1等海佐が手を合わせに来たのであった。
黒の女王様 初となる葬儀であった。
母親もびっくりした様だった。
チュアムは母親に声をかける。
東の女王 サワット チュアムです。
英霊となられた御子息様と貴女様に黒の導きを・・と手を合わせる。
今はキューシンズにいる西の女王も後で来ます、何か有れば言ってください。
私も同じ自警隊員です、力になります。
母親
えっ?自警隊員なのですか。
わざわざ黒の女王様が・・ありがとうございます。
母親は少しだけ生気が戻ったようだった。
チュアム
亜里沙ちゃんが戻るまではナールトンにいますのでいつでも声を掛けて下さいね。
母は手を合わせる言葉にならない御礼を述べるのだった。
次話、亜里沙とチーギューンです。




