第二百三十三話 躱される男
感覚
エリア キューシンズ フクンオカンの地 カマン国
チーギューンは安宿で起床し洗顔等を終え、朝食を一階の食堂で取る。
TKG(卵かけ御飯)と焼き海苔、梅干し、味噌汁、沢庵であった。
チーギューンには、恒例になっている事があった。
宿の従業員や隣席の者に「なんか変わった事は有った?」と聞く。
何の進展も無い。
いつも通りに近くのカフェに向かうとコーヒーを頼み、「なんか変わった事は有った?」と聞くが変わり無い様だ。
チーギューン
どう言う事だ?隣国まではきているはず・・少し足を延ばすか。
街道を小一時間見て、探共に行き職員に「なんか変わった事は有った?」と聞くが無いと言う。
隣国アサクラン方面の依頼が無く、手ぶらで向かう事にする。
黒の女王一行の動向を探るべく、南下を始めた。
チーギューンは変な感覚を受ける。
水崎から情報が流れるには早過ぎるし、気付かれる筈も無く、何だろうな?
街道を歩く、周りに人も居ない・・変な感覚の正体に気付く。
視線を感じた!・・どう言う事だ?付けられている。
振り向かずに街道を外れ、林の中に入る。
変な感覚が消えた・・そしてチーギューンはこの感覚を覚えた。
チーギューン
付いては来ない様だな、さて、どうする。
一方の付けていた方は黒の剣士のジャガー獣人&ノームで有った。
ノーム
気付かれましたね、どうしますか?
ジャガー獣人
いや深追いは禁物だ、引こう。
二人はすぐに引き返した。
暫くチーギューンは林に身を潜めたが、動きが無いので街道に戻る。
北上してくる隊商の一団が見えたが、それ以外には見えない。
チーギューンは南下しながら考えたが、一人旅を狙った物盗りだろうと決め付けていた。
すれ違う隊商の一行に挨拶されると手を上げて返した。
この先、小規模の賊が居るが護衛付きの隊商なら襲われはしないだろうし、知った事では無かった。
・
・
二人の黒の剣士は戻り隊長のサイサイに報告をする。
サイサイ
そうか、チーギューンは南下したか恐らくアサクラン国に向かったな。
亜利沙様が滞在していたのはわかるだろうが、ここで行方を晦まさせてもらおう。
フードの男を監視中に亜利沙一行は一人、一人と対象者の顔を覗きみる。
旧黒色教連合の黒の剣士の内二人がチーギューンを知っていたので有った。
昼食を済ますと亜利沙一向は対策会議をする。
チーギューンについてわかっている事をあげる。
二十代後半の男性で小柄なドワーフで眼鏡を着用
潜入、策謀に長け、潜入先で引っ掻き回して連合が攻め入るといった任務に就いていた。
フクンオカンの地で収監されているはずである。
ここまでであった。
狙いはわからないが、用心に越した事はない
会議後、目立たぬ様に4組に分かれて出発し街道で合流する事となった。
一方、その頃チーギューンはカマン国の南にあるアサクラン国で情報収集をしていた。
既に黒の女王様一向はカマン国に旅立ったと聞く。
流石に気付く
チーギューン
何故かはわからんが、バレてるな。
先程の物盗りと感じたのは女王の手の者か・・クソが!
トンボ帰りをするチーギューンであった。 つづく




