第二百十三話 カッスンガーよ、永遠(とわ)に
現行犯
前回からのつづき
水崎はカッスンガーに泣き縋っていると、怒声が響く。
警官α
動くな!このサイコパス野郎め!
警官β
殺しておいて泣き縋るとはな、変質者が!
水崎
えっ、いや違うんだ!
そうじゃないんだ。
警官β
血塗れで何が違うんだ!
裸の女を縛って刺し殺して抱きついてんだぞ!
警官達はハンドボーガンで狙いを定めながら近付いてくる。
水崎
違うんだ、俺の意志じゃ無いんだ。
水崎は思わず裏口に走った。
矢が傍を掠める。
抜刀した警官が追ってくる。
既に暗くなっていた倉庫街を転がる様に闇雲に逃げ出す。
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パージメンとエイッチャーは水崎が来るのを待っていたが、痺れを切らしていた。
パージメン
見に来る言うて、あのアホ、来んや無いか!
エイッチャー
あーあ、晩飯、御相伴に預かろうと思っとたのに、宛てが外れたな。
なんか食べに行こや、姐さん。
その時だった、パージメンは路地裏から血塗れの水崎が出て来て、悲鳴をあげる。
パージメン
ひゃー!どないしたんや!血だらけやないの!
背後を気にする水崎を見て、G9 読みのパージメンがピンと来る。
パージメン
エイッチャー、係留を解いて出航や!早よ、早よ。
エイッチャーは係留を解くと、船に飛び乗る。
水崎はパージメンに手を引かれ、転がる様に船に載せられる。
船は暗い海へと滑りこんで行く。
事情を聴きたかったが、水崎は震え、目は焦点を失っている。
尋常では無いと言う事だけがわかった。
エイッチャー
取り敢えず姐さん、予定通りにシモンズセッキーへ向かいまっせ。
何も無かったら明日の早朝には着くと思うで。
パージメン
明朝に出る筈やったけど、しゃーない。
落ち着いたら話し、聞かなあかんな。
しかし、何で血塗れ何やろな?
エイッチャー
怪我は無い様やけど、返り血みたいやな、一体、誰の血や?
しかし、ただ事とちゃうで!
あんだけ強い水崎はんが震えてもうとる。
沖に出ると色々有り過ぎた水崎は死んだ様に眠るのだった。




