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武格者(ぶかくもの)   作者: 空銃(からづつ)
第十章 負の連鎖
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第二百十三話 カッスンガーよ、永遠(とわ)に

現行犯



前回からのつづき


水崎はカッスンガーに泣きすがっていると、怒声が響く。


警官α

動くな!このサイコパス野郎め!


警官β

殺しておいて泣き縋るとはな、変質者が!


水崎

えっ、いや違うんだ!

そうじゃないんだ。


警官β

血塗ちまみれで何が違うんだ!

裸の女を縛って刺し殺して抱きついてんだぞ!


警官達はハンドボーガンで狙いを定めながら近付いてくる。


水崎

違うんだ、俺の意志じゃ無いんだ。


水崎は思わず裏口に走った。

矢が傍を掠める。

抜刀した警官が追ってくる。


既に暗くなっていた倉庫街を転がる様に闇雲に逃げ出す。

パージメンとエイッチャーは水崎が来るのを待っていたが、痺れを切らしていた。


パージメン

見に来るうて、あのアホ、んや無いか!


エイッチャー

あーあ、晩飯、御相伴に預かろうと思っとたのに、宛てが外れたな。

なんか食べに行こや、姐さん。


その時だった、パージメンは路地裏から血塗れの水崎が出て来て、悲鳴をあげる。


パージメン

ひゃー!どないしたんや!血だらけやないの!


背後を気にする水崎を見て、G9 読みのパージメンがピンと来る。


パージメン

エイッチャー、係留を解いて出航や!よ、よ。


エイッチャーは係留を解くと、船に飛び乗る。


水崎はパージメンに手を引かれ、転がる様に船に載せられる。


船は暗い海へと滑りこんで行く。


事情を聴きたかったが、水崎は震え、目は焦点を失っている。

尋常では無いと言う事だけがわかった。


エイッチャー

取り敢えず姐さん、予定通りにシモンズセッキーへ向かいまっせ。

なんも無かったら明日の早朝には着くと思うで。


パージメン

明朝に出る筈やったけど、しゃーない。

落ち着いたら話し、聞かなあかんな。

しかし、なん血塗まみれ何やろな?


エイッチャー

怪我は無い様やけど、返り血みたいやな、一体、誰の血や?

しかし、ただ事とちゃうで!

あんだけ強い水崎はんが震えてもうとる。


沖に出ると色々有り過ぎた水崎は死んだ様に眠るのだった。

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