第二百十話 悪魔の所業
友よ
前回からのつづき
水崎は倉庫街に着く、ヨッシーンとトヨアッキンが水崎とカッスンガーのお祝いにホームパーティーを開いてくれ、楽しいイメージしか無い。
しかし、何故二人は無断欠勤したのだろう?
炭鉱後で迷った?どっかで足止めをくらってる?
二人の住む倉庫に着くと中に入ると、まだ、各種の酒と食べ物の匂いが残っている。
黄昏時の西日が倉庫内に長い影を作る。
ふと見ると鈍く光る物が見える、近付くと刺身包丁が落ちていた。
水崎は嫌な予感がした。
水崎
カッスンガー!カッスンガーどこだ!?
その時、フードを被った小柄な者が現われた。
チーギューン
よう!久しいな、水崎 叡
水崎
ち、チーギューン!
お前が何故・・
まさか、謀ったのか貴様?
チーギューン
さあ?なんの事かな。
〔まだまだ、ゆとりを感じるな、いつでも勝てると言う油断がいいね。〕
チーギューンはニヤつきながら続ける。
水崎 叡、ソファーの横、見て見ろよ!
血みどろのトヨアッキンとヨッシーンが見えた。
水崎は二人の名を叫び、慌てて駆け寄ろうとする。
チーギューン
水崎 叡、まあ、待てよ!
水崎の体が止まる。
水崎
な、なんだ体が勝手に!
どう言う事だ!?
チーギューン
そこの包丁を拾ってジッとしてな!
水崎の体が勝手に動く、落ちていた包丁を拾い上げると体が硬直したかの様に動かない。
チーギューンはトヨアッキンとヨッシーンの様子を見に行く。
チーギューン
なんだ?水崎 叡に止めを刺してもらおうと思ったのだがな。
水崎
え!・・そ、それは、どう言う意味だチーギューン・・
チーギューン
クックック、逝っちまったって事だよ!
アーッハッハッハ!水崎、今、どんな顔してんだ?見せてくれよ!
なあ?コッチ向けよ。
水崎の意志とは関係無くチーギューンの方を向く。
水崎
き、貴様、許さん!
絶対に許しはしない、チーギューン!!
チーギューン
中々の良い顔じゃ無いか!
ん、どうした、どうした?
伝説者様は口だけか?
水崎の髪が逆立ち、血が泡立つ、怒りで身体中の血管が浮き出る。
チーギューン!お前、悪魔に魂を売ったのか!
この外道が・・ぶっ殺してやる!
チーギューン
クックックッ、で、どうやってブッコロなんだ?
北極で手にした新たなこの力、お前には破れないだなあ。
全てはお前のレベルが低いのがいけないのだよ、二人は俺よりレベルが高かったぞ?
だから、指一つ動かせ無いんだよ、能力が高いばかりにレベルアップを怠ったお前が悪いんだよ、二人が死んだのもな!
そう言うと、動けぬ水崎の頬をペシペシ叩きながらニヤニヤが止まらない。
ふー!気持ち良いなあ、なあ水崎?
水崎は瞳孔が開く思いがした。
どうすればいい?どうすればこの悪夢は終わるんだ?
焦れば、焦る程に思考が鈍る。
チーギューンは狂気に満ちた目で更に楽しそうにニヤつくのであった。




