第百九十一話 非常呼集
風雲、急を告げる
前回からの続き
トークシーマンの地にサワット チュアム達が降り立った事で様々な思惑が動き出す。
チュアムとブックシーマンはマツシゲンの部隊で一夜を過ごし、朝食を取って女性用外来宿舎で本日の予定の確認をしていた。
同じ頃、一般外来宿舎でセンガワとツカンヤーマンも本日の予定の再確認をしていると、カキウッチーが飛び込んで来た。
カキウッチー１佐
た、大変です。
亜里沙教団の方々が！
センガワ海将
ウオッ、びっくりした。
何だね、カキウッチー１佐
ツカンヤーマン事務官
おはようございます、カキウッチー１佐
一体、何ですか？
カキウッチー１佐
あっ、おはようございます。
センガワ海将、ツカンヤーマン事務官
ナールトン国のアビィン亜里沙様の教団からチュアム様の引き渡し要求書が届いてます、こちらがそうです！
書面を見る。
勧告文
東の女王様を自警隊が拉致、擁立し、世界中を連れ回している。
この様な悪の所業は世界中の黒色教徒を冒涜し、信仰対象を蔑ろにする行為は許されない。
亜里沙教団側では亜里沙様とチュアム様が姉妹の様な関係であるのは亜里沙様より聞き及んでいる。
早急にチュアム様の引き渡しを要求する。
速やかに要求が受け入れられない場合は全ての自警隊組織的に対して「聖戦」を行うものとする。
アビィン 亜里沙教団
カキウッチー１佐
現在、基地司令命令で非常呼集をかけて、集まり次第ゲートをクローズします。
ツカンヤーマン事務官
なぜ、こんな事に・・
センガワ海将
カキウッチー１佐、これを知るのは？
カキウッチー１佐
この場の三人のみです。
センガワ海将
チュアム教団から連絡が届いているはずなのに・・なぜだ！
何か、情報操作が有るのでは？
この文面にある、自警隊が拉致、擁立、連れまわす。と言う表記には悪意がある。
ツカンヤーマン事務官
カキウッチー１佐、何か、他に情報は無いのですか？
この文章、明らかにおかしいです。
カキウッチー１佐
「私も寝耳に水」状態です、現在、情報収集を行っております。
この問題はすぐにトークシーマンの地にある自警隊組織に伝わる。
自警隊トークシーマン地方協力本部・北トークシーマン分屯地・海上自警隊コマッツシマ航空基地・陸上自警隊トークシーマン駐屯地
この４つの部隊等に対しても亜里沙教団から海上自警隊トークシーマン航空基地への避難文書とチュアム解放を促す様に文書が来る。
北トークシーマン分屯地・自警隊トークシーマン地方協力本部・海上自警隊コマッツシマ航空基地・陸上自警隊トークシーマン駐屯地の４つの部隊から情報を求めて自警官が送りこまれて来る。
同地運用部隊の北トークシーマン分屯地に到っては司令、自らが副官を連れて来ている。
彼らはトークシーマン航空基地へ着くなり、情報の開示を司令部へ求めるが、基地司令のカキウッチー１佐が自らの部隊の司令部にロクな情報を流す暇も無く、センガワ海将らと話しあっている。
トークシーマン航空基地は非常呼集中で尋常ならざる雰囲気である。
ゲートクローズを行い、三十分後に緊急基地朝礼が行われる。
北トークシーマン分屯地司令は埒が明かないと判断し、話し合いの場に乗り込む。
まだ、朝の九時半であった。
既にチュアムとセンガワ、ブックシーマン、ツカンヤーマン、カキウッチー＋北トークシーマン分屯地司令の２佐は膝を突き合わす様に話し有っていた。
カキウッチー１佐
もはや、チュアム様に朝礼時にお話を頂かない事には収集が着きません。
チュアム様、お願いで御座います、教団は黒色教の道を外れたと、仰って下さい。
このまま教団と戦闘状態になっても反撃すら出来ません。
隊員達は民間人と戦うなど出来ません、せめて、大義名分でも無いと！
北トークシーマン分屯地司令
同地運営上、自分も同じ意見です。
センガワ海将
馬鹿な！チュアム様に亜里沙教団の討伐の旗印になれと言うのか！
女王様同士の・・東西の教団同士の争いに発展したらどうするか？
ツカンヤーマン事務官
何とか教団の外交窓口と連絡は取れないのか？
チュアム様がお話しになれば誤解はとけるはずだ。
カキウッチー１佐
既に使者を送っていますが、亜里沙様と教団幹部はキューシンズにおり、外交窓口が無いのです。
今回、教団を動かしているのはナールトン国王で、内政干渉だと突っぱねているのです。
ブックシーマン海将補
カキウッチー１佐、公の場でチュアム様の部隊運用に絡む発言は反対です。
チュアム様は共済組合の主事補であって自警隊の部隊運用権は無いのですよ、下手したらチュアム様を擁立した自警隊内のクーデターになります。
カキウッチー１佐
航空偵察の結果、ナールトンから教団のデモ隊およそ３千人がこちらに向かっているのですよ！
道中、信者が合流して膨れあがり、人数は増えています。
一部は武装しており、着いた時には暴徒と化している可能性も有ります。
北トークシーマン分屯地司令
非常にマズイ、何か良い案は？
そこに北トークシーマン分屯地の副官が「入ります！」と飛び込んで来た。
た、大変です。
地本とコマッツシマ航空基地・トークシーマン駐屯地が教団側に付くと表明しました。
カキウッチー１佐
な、何！
北トークシーマン分屯地司令
我らを捨てたか・・直ぐに戻ってゲートクローズの指示を頼む！
センガワ海将
クーデターと判断したのか？それとも民間人との戦闘を恐れたか・・
チュアム主事補
わかりました、先ずは説明責任を果たすべく、朝礼に向かいましょう。
私達に非がない事を伝え、教団がゲート着いたら、私が話します。
私も隊員です、この基地に害なす事はしたく有りません。
カキウッチー１佐
助かります、チュアム様
これで士気の低下は防げます。
北トークシーマン分屯地司令
有難う御座います。
最低限、隊員達に正当防衛ならと言えます。
状況が大きく変化した。
センガワ、ブックシーマン、ツカンヤーマンの三人はチュアムの決断に反対も賛成も出来ない事に無力を感じ、沈黙した。
既に時間が過ぎていた。
全員で急ぎ朝礼へ向かうのであった。
参照
自衛隊徳島地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/tokushima/
海上自衛隊 徳島航空基地
https://www.mod.go.jp/msdf/tokusima/
陸上自衛隊 北徳島分屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/butaisyoukai/kakubutai/12_avn/index.html
海上自衛隊 小松島航空基地
https://www.mod.go.jp/msdf/22aw/introduction/24fs/top/top.html
陸上自衛隊 徳島駐屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/butaisyoukai/kakubutai/10_e/top/top.html
