第百八十九話 パワー オブ ピース
ハロー、マッスル
亜里沙教団はクマモーン城の陥落を確認するとそのまま見聞を広める為にキューシンズを北上していた。
出発時に3千近くいた兵の内ナールトンへ家族を連れて移住する者が半数、ナールトンへ向かった。
亜里沙の考えとして難民等を集め、自立支援を行いつつ産業を活性化させ、都市機能を拡大したいと考えていた。
亜里沙教団では「難民都構想」と銘打った一大プロジェクトであった。
その下準備として、1,500の世帯がナールトンへ向かう、それが上の半数である。
そして、千名はサツマアゲン連邦下、兵士として地元で奉公する道を選ぶ。
残り500名中、486名は農民や商人や職人、探究者として次の人生を歩むのだが、この486の人とサツマアゲン連邦下の千名は亜里沙に拾われた恩を感じ、亜里沙ネットワークとして情報収集の忍びの様な形として働くそうだ。
亜里沙一行は14名の私兵と教団幹部となる、マサッカネン、ヒーデキン、タカショタと亜里沙の総勢18名になった。
私兵の中にはヨンコク大陸のヤハンタンハマー国で仲間になった旧黒色連合の女性幹部のサイサイもいた。(参照 第百一話、百二話)
彼女は黒の女王直属の部隊「黒の剣士」を任されていた。
黒の剣士 サイサイは亜里沙の付けた、このネーミングを気にいっていた。
あえて言うがキリトと言う名の者は居ない。
「黒の剣士」は亜里沙が直々に稽古をつけてくれていた。
何故か、二刀流を定められており、その為、腕力を始めパワーアップ系のトレーニングは日課になっていた。
亜里沙樣曰く、斬撃をクロスや右の背刀で、しっかり受けて、左の脇差で刺すと言う事であった。
やはり、力が必要な為、トレーニングが必須になり、皆、シックスパックになっていた。
サイサイは腹筋がシックスパックになるのは初体験であり、新鮮だった。
それは亜里沙一行にも言える事で有ったが、皆、知らず知らずの間に自らの育て上げたマッスルをうっとりと見る者が増えてきていた、そして、いつからか、あの人の上腕二頭筋がとか、あの人の大臀筋キレてるよねや肩に小山が乗ってるよ!等、本人ではなく、肉体を褒める事が美徳となっていた。
また独特なギャグが流行りだす。
「見てなさい、さい、サイドチェストー!」みんなでやると病み付きである。
「見てなさい、さい、モストマスキュラー!」ドッカーン!w、一文字も有って無いw
一緒になって笑う亜里沙はこれで良いのだ!と感じる。
元々は敗残兵、聖戦と参加した戦いが嘘であり、真逆の事を行っていた。
下手したら精神を病むかも知れない。
なら、「健全な肉体に健全なる魂宿る」であり、「笑うかどには福きたる」である。
下手に考えるより、身体を鍛えて笑おう!が、亜里沙ゼーションである。
先行していた黒に剣士から連絡が入る。
どうやら、この先に山賊が巣食っており、近隣の町や村から略奪を繰り返しているらしい。
サイサイ
亜里沙様、悪です。
マサッカネン
いけませんねー、懲らしめないと。
何故か亜里沙、マサッカネン、ヒーデキン、タカショタ、サイサイはじゃんけんを始める。
ヒーデキン
っしゃー!勝った!Bで!
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山賊の根城に五名の黒の剣士を連れたタカショタがいた。
ヒーデキン
余は亜里沙教団の三大幹部の一人、ヒーデキンである。
リーダー
ヒーデキン様、どういった御用向きで御座いますか?
ヒーデキン
近隣住民からの話しによれば、山賊に苦しめられているとの事、噂ではその方が先導しているのでは無いか?と言う者もおる。
リーダー
滅相も御座いません!
我らは自警団として山賊達からの侵略を阻止しております。
ヒーデキン
なんと、違うと申すか!
リーダー
恐らくは山賊達の計略かと・・
ヒーデキン
計略であったか、それは済まぬ事をした。
ならば、山賊はどこに?
リーダー
私共の情報では北のフクンオカンの地へ移動したとの事で御座います。
ヒーデキン
そうであったか、ならば我らは北へ向かわねば、なるまい。
そちはこれからも自警団として頑張ってくだされ、その善行、亜里沙様のお耳にも入れておこう。
そしてヒーデキンは北へ向かった。
リーダー
ふっふっふ、あっはっはー
黒の女王様の一行もチョロイな。
明日には善行とやらを行わせてもらうよ!
翌日、近隣の村に押し込むと天狗の面をした者の抵抗を受ける。
リーダー
なんだ?連邦のはぐれ兵か?
天狗の面を外しながら、リーダーに問い掛ける。
「余の顔、見忘れたか?」
リーダー
余、だと?
あっ、北に向かったんじゃ!
ヒーデキン
既に根城は抑えた!観念しろ!
回りを「黒の剣士」達が囲むとリーダーと山賊達は縛に着いた。
ヒーデキン
引っ立てい!
隠れて見ていた亜里沙達が拍手をしながら出てくる。
亜里沙
反撃、なかったね。
ヒーデキン
ま、しょうがないです。
と、こんな感じで世直しツアーをしつつ、ナールトン国を目指す亜里沙達であった。
次話、チュアムです。




