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武格者(ぶかくもの)   作者: 空銃(からづつ)
第九章 カルチャー
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第百八十五話 油断大敵

冬前場所



同じ頃のR2・10・11(日)正午

ドドサンコ大陸 アサヒンカワ国 陸上自警隊アサヒンカワ駐屯地



かねてから計画されていた通り、駐屯地の一部を解放しての相撲大会が行われていた。

今回のメインは自警隊の取り組みを見せるよりも、その後の行事がポイントである。

十名限定で丸山まるやま 岬丸みさきまるが胸を貸すのであった。


自警隊は陸海空と満遍なく、人手不足が否めない。

そこで、力自慢や若者に自警隊に対して興味を持ってもらうべく、自警隊地方協力本部とアサヒンカワ駐屯地が協賛タッグで相撲大会 秋場所を開催したのだった。


探共や各役所や近隣部隊等、自警隊に良きご理解を頂いた方々の家の壁や店先に宣伝チラシを添付させて頂き、人の出としては日曜日と言う事で上々で有り、模擬売店や資料館も賑わっていた。

カミヤンリョや餅太郎達も協力を申し出てくれ、道の港 カミ太郎の各施設の目立つ所に掲示させて頂いた。


伝説者レジェンダーが胸を貸すのと、ヤポーネに存在しない相撲が、謎の武格として話題を呼んだらしく、探究者等、腕に憶えの有りそうな者や武格好きが集まっていた。


昼から取り組みが始まると観客達は大いに沸いた。

所謂、枡席には自警隊の良き理解者達を招いていた、その中にカミヤンリョと餅太郎の姿もあった。


そして、東西の大関をミヤショー、キシモーンが務め、最後に横綱の丸山が連戦で立ち会う、丸山が連続で押し切ると会場は歓声が上がる。


観戦をしていた駐屯地司令 アマンノン陸将と地本部長も思わず力が入り、取り組み後、互いに熱の入った声を掛け合う。


予定通り、ここで、司会進行役のコボルト女性自警官が話しだす。


コボルト女性自警官

はい、ここまででアサヒンカワ地区自警隊秋場所の取り組みは終了となります。

ここで、先ほどの横綱の丸山が先着10名様に限り、胸を貸してくれるそうです。

我こそはと言う方がおられたら、挙手を!

ズボンの上から廻しを付けさせて頂きます。

ルールは簡単、足の裏以外に土が付くか、円から出すだけです。


パラパラと手が挙がる、が、十人目の手が挙がらないようだ。

それも見かねたある者が手を挙げる。


餅太郎

最後に胸をお借りするでしゅ!


丸山

えっ!?

〔はあ?餅太郎!お前は反則じゃろ、あやつは本気で来るぞ〕

最後が餅太郎か・・


丸山は胸を貸す、皆、土俵際まで丸山を押すが、クルッと回されて出される。

九人目のゴブリンと対峙するが丸山は次の餅太郎戦に意識が行っていた。

間隙を縫ってゴブリンが懐に入り込むと内無双を仕掛けて来た!


丸山

ぬ、内無双!?速いぞ、こいつ。

〔危なかったぞ、相撲は無いが内無双はレスリングでも使われる技!油断をしたぞ、こやつ、手を組んで来て離さん、相撲をさせんつもりじゃな!〕


八人目までは賑やかし程度だったが九人目は勝ちにきていた。


丸山

仕掛けるか!

強く押すと、一気に引きながら離れた手で頭を抑える。

引き落としを仕掛ける、ゴブリンの体が流れると、そのまま、空いた手で上手を取って捻るとクルッと回りながら尻餅を付く。

〔やりおる、うちの大関といい勝負するかも?〕


ゴブリン

ああ、負けちゃった!


よく見ると若い女性だった。


丸山

〔ほう、驚いたぞ、女性とはな!・・いやいや性別で判断はしない方がいい、油断大敵じゃ〕

なかなかじゃったな。


そして餅太郎が土俵に上がる。


丸山

本気で来ても構わんぞ。

〔デカイのう!そう言えば、こやつも女性だったな、恐らく一気に来るな〕


餅太郎

遠慮せずに全力で行くでしゅ


立会いから、ハッケヨイ、残ったがかかると2m超えの餅太郎が一気に突っ込んでくる。

丸山は軽く肩透かしで躱し、背中をドンと押す!すると、あっ、と言いながら餅太郎は土俵を割る。


丸山

突っ込み過ぎじゃ、はっはっはっ!


餅太郎は触れる事無く負けてガーンとなっている。


そして大歓声の中、本日の取り組みはここまでとなった。


餅太郎以外の九名は入隊の意思を示して頂き、作戦成功ミッションコンプリートと相成った。そして、相撲を見た有力者が街おこしや祭りの余興にと依頼が数件舞い込んだ


上々の成果にアマンノン陸将と地本部長は満面の笑みが自然と零れるのだった。


つづく

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