第百六十六話 あったか御飯に
クノールン商会の人物像
長兄 ケイジーン 冷静沈着、職人気質、手堅い商い
長女 カオルーン 対話重視、職人気質、手堅い商い
次女 パージメン イケイケ、計算高い、手広い商い
次男 エイッチャー イケイケ、職人気質、手堅い商い
三女 ミィードリ ボチボチ、のんびり、小さい商い
末っ子 ツートン 冷静沈着、理論派、細やかな商い
次女がイケイケで行くと、弟の次男も釣られてイケイケになり、周りの兄弟姉妹を巻き込むパターンです。
艦隊戦
エリア チューゴクゴク ヤーマングッチの地 シモンズセッキー国
ヤーマングッチの地はエルフが多く住む場所で様々なエルフの国が存在した、互いに争ったり、手を結んだりと平和からは、かけ離れた環境であった。
そして、休戦中ではあったがエルフ達と長年敵対するドワーフの国が多く存在する北部キューシンズ大陸への攻撃が始まった。
エルフの諸国連合によるキューシンズ大陸攻撃の為、足留め中の様々な人々の中に異彩を放つ存在がいた。
パージメンを筆頭とするクノールン商会と水崎 叡である。
波止場で壺を並べると営業が始まった。
クノールン商会は壺を売っている訳では無かった。
第二、第三のエルフの諸国連合艦隊の兵士や足留め者や住人相手に中身を売っていた。
エルフ兵
その沢庵を1本くれないか?
パージメン
毎度、1,200円になります、お切りしましょか?
エルフ兵
ああ、頼むよ。
包丁を持った水崎は沢庵をカットすると油紙に包み、パージメンに渡す。
足留め中の船乗り
その茄子と胡瓜のぬか漬けを1本づつ貰えないかい?
パージメン
毎度、1,200円になります、お切りしましょか?
足留め中の船乗り
いや、そのままで。
ミィードリは茄子と胡瓜の周りのぬかを取ると油紙に包み入れパージメンに渡す。
足留め中の商人
その高菜漬けは、お幾らだい?
パージメン
一掴み、1,500円や!気持ちサービスさせて貰いまっせ!
足留め中の商人
ほう?なら頂こう!刻んでくれ。
カオルーンが一掴みと少し多めに刻み、油紙に包みパージメンに渡す。
食糧不足が目に見えていたパージメンは、高騰する外食費を抑えるべく、自炊にまわる人々に先んじて野菜を買い、売り物で有る萩焼の大物を使い漬物を作り販売していた。
案の定、当たった。
量が多めなのもあり、購入者同士や持ち込み者で少しづつ交換したりする為、小さい漬物バザールが出来上がっていた。
ゴブリン探究者
誰か野沢菜漬けを持ってないかい?朝鮮漬け(キムチ)が有るんだか!カクテキも有るぞ!
エルフ住人
誰か、苦瓜の赤紫蘇漬けと交換しないか?
アラブ系の商人
おっ!蜂蜜漬けの梅干しでどうだい?
ノーム船乗り
ゴブリンさん!青菜漬けとどうだろうか?
エルフ兵
青菜漬けがあるのか!高級品の松前漬けと少しどうだい?
オーガ商人
辛子漬け持ってる方はいないかい?山葵漬けがあるんだか?
エルフ商人
誰か鉄砲漬けがあるんだ、奈良漬けか千枚漬けを持ってる方は居ないかい?
東洋系の女性探究者
鉄砲漬けがあるの?少しでいいから、福神漬けと柴漬けとで、交換出来ない?
チワワ獣人探究者
白菜、胡瓜、人参の浅漬けがあるんだか、誰か交換しないか?
トロール商人
チワワ獣人さん!桜漬けとどうだい?
クノールン商会が販売して無い漬物交換もあり、中々の賑わいを見せていた。
パージメン曰く、活気が有れば人が集まるからええんちゃう?との事だった。
漬物を大量に作って、売れ残ったらキューシンズ大陸で売ればええ!あっちも戦乱で高騰してる筈やろ?
だ、そうで有る。
因みに壺は洗って売るか、そのままセットで売るそうだ。
とにかく、ジッと待っているのがパージメンには我慢ならない様で、時は金なり(タイム イズ マネー)を地で行くので有った。
一方、離れた海域のキューシンズ大陸沖では艦隊戦が繰り広げられていた。
対するドワーフ達は二大国家の連合軍であった。
フクンオカン国とキタンキュウシン国である、この二つの大国が有る為、キューシンズ大陸ではフクンオカンの地が一番、経済、軍事等のパワーが集まっており、エルフ諸国連合の最終目標であった。
エルフ諸国連合も果敢に攻めるが上陸戦までは持って行くことが出来ずに艦上投石機でキューシンズ大陸を何度か狙うだけだった。
しかし、この戦争が水崎や久米達を血で血を洗う様な地獄のドン底に落とされる、きっかけになるとは本人や周り人々には予想だにしなかった。
夕暮れ近くに撤収作業に入ると、パージメンが交換会に入って行く。
様々な漬物を交換してきたようだった。
パージメンが沖の船に手を振るとエイッチャーが杓文字で振り返す。
パージメン
ヨッシャ!夕食の準備が出来てるようや。
みんな、お開きや、帰るで。
沖の停泊船に小舟で着くとケイジーン、エイッチャーとツートン、船頭さんが出迎えてくれた。
パージメン
今日の収穫や!辛子蓮根、辛子茄子、松前漬け、山葵漬け、鉄砲漬け、カクテキに千枚漬けや!
水崎 叡
これはご飯が進みそうだ!
船頭さん
まったくですね。
戦地の船頭だから外れ仕事と思いきや、ヤポーネ中の見た事ない漬物が毎日食べれるとは、大当たりだ。
ホカホカご飯とアオサの味噌汁が渡される。
全員、手を合わせて頂きます。と食べ出した。
皆、無言でぽりぽりと食べる。
パージメン
まだ、出航許可は出んようやし、兄さん、エイッチャーとツートンとで漬物用の野菜、仕入れに行って貰えへん?
ケイジーン
そうか、まだまだ足留めくらいそうなんや?
わかった、周辺の町や村を巡ってみるわ。
ついでに何か売るか?
パージメン
兄さん、時間掛かるし、仕入れだけにしとこ。
漬物に出来そうな物は買えるだけ頼んます。
念の為、探共には顔出しとってな?
ケイジーン
うん、わかった、ええ依頼あったらやっとくさかい。明日、朝食事に出るわ。
二人共それでええか?
エイッチャーとツートンは頷いた。
パージメン
コッチの守りは水崎はん、一人で行けるやろ?
様々な漬物に満足し食後のお茶が染み入る程に上手く感じる水崎はコクコクと頷くのだった。
次話は久々にチーギューンです。




