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武格者(ぶかくもの)   作者: 空銃(からづつ)
第九章 カルチャー
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第百六十四話 歌姫降臨

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前回からの続きです。


仕事帰りのカガーソが秋祭り実行委員会の歌唱大会係へチラシの下部の記入済みの出場依頼を出す。


カガーソ

歌唱大会の出場依頼をお願いします。


若い雀獣人女性の係員

はい、お預かりします。

チェックだけさせて頂きます。

オケール 107歳・・えっ!オケールさんって、あのオケールさんが出るんですか?


カガーソ

ええ、最近調子が良いみたいなので、家族総出で出場させて頂きます。

練習を聞く限りですが、皆さん、多分号泣モノですよ。


若い雀獣人女性の係員

本当ですか?私、伝説上の話ししか聞いた事が無くて。

楽しみです。


カガーソ

本当に伝説の1(ページ)になるでしょうね。

練習だけでも、家族や御近所さんが号泣ですからw


若い雀獣人女性の係員

〔伝説になると言い切った!マジっすか?〕

た、楽しみにさせて頂きます、伝説に立ち会う日を


カガーソ

身内ながら、私も楽しみだわ!歌の新たな歴史が刻まれるのですから。

あっ、私の娘も凄いわよ、要チェックよw

はっ、いけない、早く帰って二人の練習を聞かないと!では、失礼します。


若い雀獣人女性の係員

歌にそこまでの力があるの?だとしたら、本当に色々と楽しみね。


奥から秋祭り実行委員会役員のコボルト老女が出てくると、開口一番、オケールさんが出るって本当なの!と聞く


若い雀獣人女性の係員は出場依頼を見せる。


役員のコボルト老女

子供の頃に一度だけ聞いた事があるわ。

未だに忘れ得ない歌声だったわ、年齢的にはどこまで声が出るか、わからないけど大変なニュースよ。


若い雀獣人女性の係員

そ、そんなに凄いんですか?


役員のコボルト老女

ええ、単なる童謡だったけど、幼いながら魂が震えたのを今でも鮮明に思い出すわね。

至急、「伝説の歌姫 オケール 参加予定」のビラを作って各ポスターの上に貼るわよ!


若い雀獣人女性の係員

わかりました、ビラの木版画の作成依頼を出します。


役員のコボルト老女

ええ!

当日は凄い人の出になるわよ。

ニューガッタンの地、全てに!いえ、テイトーンの地を始め都会にもPRをするわよ!


若い雀獣人女性の係員

えっ、でも予算が・・


役員のコボルト老女

大丈夫よ、元以上の収益に繋がるわ!予算は私が分取って来るわ。


そして、各地に情報が飛んでいくのだった。


数時間遡る。

アパートの3Fではミクミンに新たなレッスンが行われていた。


久米(オケール)はバックからスマホを出していた。

録画してあった動画をミクミンに振り付けの為に見せようと決めた。


久米(オケール)

(さてと、バッテリーがどこまで保つかは、賭けだな。

ミクミンの覚えの良さに期待しよう。〕

ミクミン、今から神様の使いに顕現して頂き、踊りを教えて貰うよ。


ミクミン

えっ、神様の使い?どこどこ!


久米(オケール)

ミクミン!神様の使いの事は誰にも言っちゃダメ!コレは特別だからね。

約束出来るかい?


ミクミン

うん、わかった。


久米(オケール)

スマホの電源を入れる、立ち上がるとバッテリーは95%残っていた。

歌は少しだけ違うけど、しっかり踊りを覚えるだよ?


ミクミンは真剣な顔で頷く


久米(オケール)

では、いくよ?

神様の使い、電子の歌姫 初音ミク様のご降臨だよ!


ミクミン

電子の歌姫 初音ミク様・・よろしくお願いします!


画面を見せるとヨーロッパ公演の画像の一部が流れる。


ミクミンは喰い入るように画像をみながら、フリを踊る。

二回、三回、四回、五回、六回!


久米(オケール)

ミクミンどうだい?覚えられそうかい?


ミクミン

もう一回だけ、電子の歌姫 初音ミク様、お願いします!


久米(オケール)は画像をもう一回、回す。と、ミクミンが覚えた!と大きい声で言う。

電源は落とさずに。一回、通しでミクミンに踊らせる。

左右逆だが完コピに成功した様だった。


久米(オケール)は、電子の歌姫 初音ミク様、有難う御座いました。と、電源を落とすと、ミクミンは跪き手を合わせて有難う御座いました。と祈った。


ミクミンは、まさに神の啓示を受けたごとくに、一心不乱に歌いながら踊った。


久米(オケール)

〔これは優勝はミクミンだな〕

後は、踊りながらしっかりと声が出れば、初音ミク様もお喜びになるよ。


ミクミン

初音ミク様が教えてくれたから、頑張る!

何度も踊りながら歌い、汗だくになった。


久米(オケール)

一度、タオルで汗を拭いて、喉を潤しなさい。

ゆっくり、少しづつ飲むんだよ。


ミクミンが休憩に入ったので久米(オケール)は立ち上がると、課題の2曲を歌う。


ミクミンの目が憧れから、ライバルを見る目に変わっていた。

耳をすませて、ジッと歌う久米(オケール)を凝視している。

全てを吸収しようと貪欲に見つめる。


久米(オケール)

〔はっ、ミクミン、恐ろしい子!〕


もう一回づつ歌い終わると、また、ミクミンが踊りながら歌う。


歌い終わった頃にカガーソが帰宅する。


カガーソ

ただ今!歌唱大会の出場依頼、出して来ましたよ。


久米(オケール)&ミクミン

お帰りなさい。


カガーソはギョッとした、ミクミンの目がキリッとした大人の目になっていたのである。


カガーソ

〔やはり血は争えないのね、歌姫の血があの子にあんな目力(めぢから)を・・これが歌の力なの?〕


気付けば久米(オケール)の目にも力がこもっていた。


カガーソ

ふっふっ、互いに高めあえるのね、歳の差とか関係無く、羨ましいわ。


久米(オケール)

ミクミン、どうだい?お母さんに見せてあげては?


ミクミンは頷くと振り付きで歌いあげる。


カガーソ

す、凄いわ、凄過ぎるわ!

オケール婆さん、何を教えたの?

まるで我が子が妖精になってしまったみたい。


久米(オケール)

妖精では無く歌姫になるんだよ、ねえミクミン?


ミクミンは力強く頷く、既に決定事項の様に揺るぎない目でハッキリと言う。

私は歌姫になる、オケール婆ちゃんと同じ世界で歌う!


大観衆の中で歌う「電子の歌姫 初音ミク様」の映像がミクミンの瞳の中に熱い炎を燃え上がらせた!


久米(オケール)と見つめ合うミクミンの瞳は確かに萌えていた。


久米(オケール)

〔ミクミン、頼むから中二病とか拗らせてくれるなよ〕


違った心配をする久米(オケール)であった。

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