第百二十七話 スポーツマン
命令
マサンヒトンとトヨコーンにチュアム様が亜里沙様に会いたがっている。
その旨を伝えると、黒の女王様が、もう一人いる事に驚いていた。
チュアム様に泣きながら懇願された、と、伝えると、マサンヒトンやトヨコーンは反対出来なかった。
センガワは全面的に支援の約束をし、子細を伝えると、二人は了承する。
翌日、早速、動くセンガワ達は、まずは、センガワが共済組合本部に対して、基地業務拡大の予定が有り、その前に職員を増やし、教育したいと、あの手この手を使い、増員仕掛ける。
それとは別にテイトンの地に有る、自警隊の本部へ探りを入れつつ、本部や陸海空の各基地等の同階級の友人や知人、部下だった者、面識の有る者、自警官、事務官、技官、共済組合職員、OB、OG、退職者、外郭団体に面識の有る企業と使える縁故をフル活用する。
まさに総力戦である。
オチアインは、オチアインで中業隊 厚生科へ対して、センガワ海将のキモ入りでと、教団が経営する各施設(温泉、マッサージ、ドリトミー、宿泊地、食堂、売店までもが、共済組合支部契約を結ぶべく、契約書をチュアム教団へ送付させる。
コレにより、隊員は身分証を見せると、特典なり割引等が受けれる。
そして、ゆくゆくは、展示即売会や基地売店への納品、委託契約と進め、会計の部隊近郊業社として契約、給食の食材や建物の修繕、等等の参入を目指す。
オチアイン
よし、取り敢えず、出来る所まではやれた。
会計に顔を出しておくか!、後で広報も寄ろう。
調達、入札等の公告も把握しておくべきだな。
流石に性急に動き過ぎたか、色々と問い合わせ等が総監部へ来る。
総監部のブックシーマーン海将補は思案する。
センガワ海将は、定年前と言うのも有り、日頃、安全策=変化を求め無い。と、言った指揮が中心だったのだが?
動きが性急過ぎる、焦りすら感じさせる。
一体、何をしようとして居られるのか?
しかも、他にも動いている者もいるようだ。
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数日後、共済組合本部から、増員申請がオオミナトン支部へ降りた。
センガワは、どの様な問題が出るのか?合格ラインの点数、どう言った問題が何点なのか?と、のらり、くらりと、粘り強く聞き、手元にはあくまで例とした問題用紙が引き出しの中に入っていた。
オチアインは、厚生専門職から味方候補に一人の事務官に目星を付けていた。
ツカーンヤーマン事務官と言う年上の鬼の男性だった。
階級的には幹部になる彼は、事務方には珍しく走るのが得意で3km走を始め、フルマラソンまでこなすスポーツマンであった。
オチアインは若い頃に違う部隊で一緒になり、どちらかと言えば世話になった方だった。
オチアイン
兄貴体質のツカーンヤーマンさんなら、味方になってくれる筈、一度、海将に話してみよう。
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その日の夕方、各部課隊で持続走訓練が行われる中、自警官から一人外れ、基地の外周をストイックに走る鬼のツカーンヤーマンの姿があった。
既に二週目に入っていた。
前を走る者を抜こうとすると、声を掛けられる。
先輩!ツカーンヤーマンさんじゃ無いですか?
相変わらず早いですね!
ツカーンヤーマン
ん?あっ、お前、オチアインじゃ無いか?
久しぶりだな!そう言えば命令書が回ってきてたな、いつの間にか幹部になりやがって・・走るのはやっぱり苦手みたいだなぁw
オチアイン
いや、自分は普通ですよ、先輩が早過ぎるんですよ。
ツカーンヤーマン
何言ってんだ、喋るうちは余裕があるじゃ無いか?
まだ、行けるだろ!
オチアイン
まぁ、そう言わず、少し、お話しましょうよ。
前のランナーに近付き、抜こうとすると、話しかけられる。
センガワ
いやー、相変わらず早いですね。
感心しますな、事務官にしておくのが惜しい!
ツカーンヤーマン
お疲れ様です!センガワ海将も走られておられたのですか?
センガワ
久しぶりに汗を掻きながらツカーンヤーマン事務官殿と話しでもと思いましてな。
オチアイン
先輩、少し、ご相談が有りまして・・
そして、仲間が増えて行くのであった。




