第百二十二話 海戦
音楽に国境は無い
ヨンコク大陸 エッヒメンズの地 マツカゼヤマ国
水崎 叡は、温泉に浸かり、蜜柑を食べて、港からヤーマングッチの地行きの船に乗り込む所だった。
ごく、僅かだがエルフを数人見かけた。
チューゴクゴク エリアはエルフが多いと聞いている割には少なかった。また、何やら、ヤーマングッチの地は内戦状態になっている影響が有り情報が入って来ないそうだ。
しかしながら、アビィン 亜里沙と林田 蒼楽と自分の協力連名書のお陰で、キューシンズ大陸を出てからは順調であった。
困った時は見せるだけで、便宜を図ってもらえた。
移動の先々では、高額な仕事を紹介して頂き、懐具合もHOTになり、依頼も付いて回る。
現在も、イマンバリー国からの隊商の護衛をマツンヤマ探共から引き受けていた。
寄港先のヤーマングッチの地 ヤナヤナイ探共までの護衛で、楽勝ムードだった。
水崎 叡
亜里沙教団とサツマアゲン連邦、様々(さまさま)だ、この調子で、ヤーマングッチの地も頼む!と、呟く。
コレがフラグになるとは露知らずに、海路を進む。
その日の夜、騒ぎが起きた!
船が嵐の様に揺れる、鐘の音が鳴り響く。
レプラコーンの男性船員が叫ぶ、「海賊だぁ!」
そして、隊商の者達が口々に言う。
「先生、お願いします!」や、「伝説者のパワー、見せつけてやってください!」、「水崎の旦那、頼みましたよ!」
水崎 叡
お、おう!任せな。
〔マジか、海戦って予想外なんだが・・やるしか無いな・・それっぽい事を言っとくか〕
乗船客達までもが、「用心棒の伝説者の先生がいるなら、安心だ!」とか、「まさに大船に乗った気持ちだ!」とか言い出す。
海賊から逃げる為に船が蛇行する。
水崎 叡
〔たく、ハードル上げんなよ〕
た、戦いは任されました。
揺れで荷崩れしない様に積荷のチェックを頼みます。
取り敢えず、甲板へ出ると、右後方から黒塗りの船が迫る。
火矢が緩やかに飛んで来るのをアキバの木の棒で叩き落として海に投げ込む。
重力が1/10の為か、人々の力が弱く、矢が山なりで遅く見える。
水崎 叡
ふー、ビバ1/10だな。
しかし、距離を徐々に詰められいるな、乗り込まれると、一人で全体のカバーは出来ないぞ。
30分くらい攻防が続き、ついに乗り込まれそうになった時、何か音楽が聴こえて来た。
海賊船が急遽、遠ざかる。
水崎 叡
何だ?ん、聞いた事有る曲だ!
「軍艦マーチ」で有った。
船員達が自警隊だ!海上自警隊が来てくれた!と、沸き上がる。
海賊船を追い払うと自警船が近付いて来ると、被害状況を聞いてきたが、船員が被害が無いと告げる。
話しを聞くには、海上自警隊クレクレ基地の音楽隊を輸送している船で、弱武装で有り、追撃戦を断念するとの事だった。
お互いに航海の無事を祈念し、船員や隊員が帽ふれを行う。
水崎も大きく手を振る。
夜間と言う事も有り、直ぐに見えなくなった。
水崎 叡
ふー、助かる!海上自警隊ナイス。
白兵戦にならなくて良かった。
〔しかし、自警隊も探共も良い仕事するなぁ〕
船員達に感謝を述べられ、船内に戻ると大歓声だった!
流石は伝説者の先生様だ、ウチの娘を愛人にとか、俺が愛人に?とか、訳がわからない盛り上がりだった。
そして、深夜も近付き、興奮さめやらない中、子供や年配者から眠りに付いて行くので有った。




