第十二話 24
全てはリアルタイムに
アキバの公園から飛ばされ、アビィン 亜里沙は自分が海に面した場所に立っているのに気付く・・・?
ん、海、潮の香り・・・本当に異世界?
あー、マジ、いきなりなんですけど。
うーん、とりま、異世界きたーー!と叫んでみる。
で、実は日本だったりして・・えっと、私、痛い子?
慌てて周りを見渡す。が、誰も居ない。
亜里沙は異世界だよね?と逆に心配になる。
日本でこのトゲトゲ肩パッドやリストバンドとか、ヤバ過ぎて草生えるんですけどw
ありゃー、見事なくらい人が居ない。
チュアムちゃんもこっちにいるのかなぁー、さっきの人達はどこだろ、この世界、広いのかな?、マジで日本じゃ無いよね?とキョロキョロし、うろうろとしてみる。
暫くすると落ちついてきた。
で、ボーっと海を見ていると、朝日と浜風が気持ちいい、黒い肌が煌き、長めの黒髪が風に流される。
ん、朝日、朝なんだw、何か塩でストパー取れそうw、うわっ、アレって渦潮?スゴっwなどと現実逃避的になり笑えて来る。
ふと、海岸線に小さな手漕ぎ舟が目に入った。
人、いるんじゃない?と近付くと漁師っぽい男が二人いた!
ん、白人に見えるけど、背、ひくっ!
向こうも気が付いたようだ、一人はどっかに慌てて走っていく、もう一人は強張った顔でゆっくりと近付いて来る。
あちゃー、固い!顔固いよと思いつつも、まずは挨拶かな?白人ぽいし、取り敢えず元気に
「Hello!excuse me! Please tell me.」
っと、大きめのボディランゲージと明るい笑顔で話しかける。
近くまで来ていた男の顔はより一層、固くなる。
さらに喋りかける。
「What's wrong? Do you know English?」
と、にこやかに伝えつつ、内心、ヤバっ!言葉通じないじゃん。
英語喋れない外国人って対応出来ないんですけど・・もしやのフレンチやジャーマン、まさかロシアン?
向こうの男は、笑顔で話しかける亜里沙をフレンドリーに感じてか、少し、引き吊りつつ笑顔になってくれた。
そして、片膝を付き話しかけてきた。
「黒の女王様、あのー、失礼ながら、ヤポーネ語しか分からないので、何を仰っているのか、自分には分からないです。」と
亜里沙
ヤポーネ語?日本語じゃん!もう、早く言ってよ、OK、OK!と言いながら、握手を求めつつ、アビィン 亜里沙です。初めまして、よろしくです。と笑顔で手を握った。
男はヒーデキンと名乗った。さっき、走っていったのはタカショタと言います。
今、迎えを呼びに行かせてます。
間も無く迎えが来ますので歓待させて頂きます。と言う。
なんか、女王様扱いされて、そう言うモノなのかな?と納得しておく、実際、気分も良かったし。
そして、ヒーデキンは肌の色や背の高さやプロポーション等を褒め称える。
さらに気を良くした亜里沙はヒーデキンに黒い肌ってそんなに良い?と聞くとヒーデキンは初めて見たので、何と言って良いか・・ただ、綺麗です。と、言う。
初めてって大袈裟だなぁー!と、言うと、ヒーデキンから思いがけない言葉が出る。
黒の女王様、肌の黒い人はこの世には、いないのです。そして、この世では黒は正義であり、美の象徴、憧れです。と
えっ、マジっすか?と素で言うと、マジっすと返ってくる。
そして、この世界はヤポーネと言い、今いるのは「トークシーマンの地」でヒーデキンはナールトン国の人間だとわかった。
半時間位話し込むと、何やら騒がしい団体が小走りにやってきた。
口々におー、黒の女王様じゃー、素晴らしい、おお、生きてて良かった。とか言っている。
さっきの片方の男、タカショタがお待たせ致しました。と、言うと、漁師のリーダーでマサッカネンと言う男が挨拶に来た。
黒の女王様、お迎えに参りました。
是非、我らが国「ナールトン」へ、ご案内させてください。と言い、ささ、コチラへと、と、神輿みたいな物の上に椅子が付いたのに座らされる。
そして、何故か安全ベルト、両手、両足を固定されると、いきなりワッショイ、ワッショイと神輿祭りの様に揺すられ、運ばれる。
亜里沙は、ギャー、ちょっ、わぁー!アノっと、運ばれていく。
途中、あまりにもうるさいので、タカショタやマサッカネンがヒーデキンに大丈夫だろうか?と聞くとヒーデキンは黒の女王様、アビィン 亜里沙様はダイナミックなボディランゲージとオーバーアクションな方です。
大丈夫ですよ!と、ワッショイはさらにヒートアップしていく。
「ナールトン」に着いた頃には声はカスれハスキーボイスとなっていた。
神棚みたいな物が作られていて、そこに神輿はそのまま、ジョイントし、亜里沙は拘束を解かれ、ぐったりとしていた。
亜里沙を後ろにマサッカネンを真ん中、左右にヒーデキン、タカショタが立つとマサッカネンが代表して、人々に語る。
有史以来、初めて「黒の女王様」アビィン 亜里沙様が降りったった!
ここ、トークシーマンの地はナールトンを中心に栄えるだろう!
アビィン 亜里沙様を称えよ!、崇めよ!
祭りの用意だぁ!
他人事の様に亜里沙は、ボーっと聞いていた。
暫くして、和食を中心にした豪華な食事が運ばれてくると、空腹に気付く、そう言えば、タコ焼きしか食べてなかった。
三人に勧められるまま、箸をつけていく、鯛や鰤やタコの刺身ウマ〜、え、上からスダチを搾りかけるの?
うん、酸味が相まってウマ〜、ほうほう、わかめも一緒にうん、ウマ〜
えっ、茄子や玉ねぎ、蓮根の天婦羅ウマ〜、竹輪の磯辺揚げ、フィシュカツ?の炙りもウマウマ、えっ、コレらもスダチ?うん、ウマ〜
うどんにも?うん、ウマ〜、えっ?この太さで素麺なの?
えっ、うどんはタライに入ってるコレ?つけ汁にスダチの刻み?うん、ウマー
刺身コンニャクもスダチ?ウマ〜
鮎の塩焼きにスダチが良い!
えっ、この地鶏のオリーブオイル焼きにもスダチ?
うん、うん、と、ウマウマと食べていく。
ひゃー、ご飯、止まんないよー
海産物、農産物の味や鮮度で農林水産業が盛んな場所だと実感する。
しかし、何でもスダチかけるなぁー、美味しいから良いけど!と満腹になり、スダチジュースをストローでチュー、チューと飲みながら、三人に聞く。
あっ、そうそう、気になってたんだけど「黒の女王様」って何ー?と聞くと、三者三様に慎重な顔になる。
遂に来ましたねと、タカショタが言うとヒーデキンがお願いしますと、マサッカネンを見る。
そして、周りは静寂に包まれ、マサッカネンは語りだす。
遥か神代の時より伝わりし話しである。
偉大なる神は繁栄を約束する時、「黒の女王様」を降臨させるだろう!
最初に「黒の女王様」は正しき話しか、試されるだろう!
誤りし時、「黒の女王様」は無言で天界へ帰るだろう!
許されし時、奇跡を「黒の女王様」はお見せになるだろう!
そして、会った者達を繁栄に導くだろう!
最初は小さく、次第に大きくなるだろう!
最後に世界は「黒の女王様」の元、繁栄に包まれるだろう!
踊るアーベン、見るアーベン、同じアーベン、踊らにゃ損、損!はぁ〜、あ、エラやっちゃ、エラやっちゃ、よいよい、よいよいー
そして、静寂に包まれる。
アビィン 亜里沙は危うくスダチジュースを吹き出しそうになる。
あっぶなぁー!何ですか?コレ、ギャグかなんか?
取り敢えず、亜里沙は、うん、良いんじゃない?いい話だよね。と言うや、いやな、全員から歓声が上がる。
やった、クリアーだ!、大丈夫だ!と皆が言う。
ん・・・何が?、まぁ、いいや、と見てると、カーニバルの様に皆が一心不乱に踊りだした。
踊るアーベン、見るアーベン、同じアーベン、踊らにゃ損、損!はぁ〜、あ、エラやっちゃ、エラやっちゃ、よいよい、よいよいー
と言いながら、笛や太鼓、三味線や鐘の音と共に
わー、うるさっと思いつつも、賑やかで良いやって思える亜里沙だった。
この後、自分を中心に一か月間、連日連夜に行われるとは、つゆとも知らずに・・・
ここまでが第一章になります。
次回から第二章です。
参照
徳島県
https://www.pref.tokushima.lg.jp/
鳴門市
https://www.city.naruto.tokushima.jp/
阿波おどり 徳島実行委員会
https://www.awaodori.tokushima.jp/




