第十一話 そして伝説へ
それって?
サワット チュアムは深夜まで続く神事に疲れ、近くにいるマサンヒトンにいつまで続くの?と聞くと昼夜問わずに一ヶ月続くと聞いて唖然とする。
あのー、お風呂とか寝たりとか出来ない感じですか?と聞くと、マサンヒトンがサワット チュアム様が禊をなされると言い風呂の準備が為された。
風呂場の脱衣所で「お世話します。」と女性が三人いたが、丁重にお断りをして、一人になる。
えっと、まずはオモリを外さないとね。一気に取れないかな?と思った瞬間、オモリパーツが全て消えた。
えっ、どこいったの?なくなった?元に戻るの?と思った瞬間、装着される。
ふーん、念じると消えたり、着いたりするんだ!と、面白くなって、何回もやってしまう。
あっ、お風呂入らなきゃと思い出し、入浴していると、トヨコーンの声が聞こえた。
服の替えを用意しておきますので、お着替えください。
「あっ、はーい」と、深く考えずに、お言葉に甘えておく事にした。
風呂から出ると巫女装束が置いてあった。
ただ、白と赤では無く、上は青で、下は緑色だった。それに、下着類は無かったのでノーパン、ノーブラで巫女装束を着た。
最初に着ていた服と肌着類は回収されたようだった。
えー、誰か知らない人に下着、見られるの何かイヤだなぁーと、脱いだ方の服が気になった。
そして、祭壇に戻り、寝てもいい?と聞くとご寝所にご案内を!と、いちいち大袈裟たが、もういいやと思うようになった。
そこで事件が起きる。
マサンヒトンとトヨコーンの顔が真っ青になっている。
何だろ?と、聞いていると、サワット チュアム様が、先程、身に着けていた装身具が脱衣所に無く、探したが見つかりません!と報告を受けたからである。
全員がザワザワとし、サワット チュアムの動向に注目した。
サワット チュアムはオモリを外したまま忘れたのに気付いて、皆を安心させようと、「あっ、大丈夫です。」と言って瞬時に装着してみせる。
村人達が今のは?それって?と、言いつつ、両膝を付いて、手を合わせて言う。
「奇跡をお見せになられた!」
サワット チュアムは、一歩、一歩、確実に「黒の女王様」を伝説通りに体現していくのであった。
手を合わせ、サワット チュアムは皆に言う。
えーっと、取り敢えず、寝ます、おやすみなさい。
そう言って瞬時にパージすると、おぉ!っと声が上がる。
ふわりふわりと、寝所に案内され寝床に着くと、色々有り過ぎて心身共に疲れたのか、すぐに夢の世界へ旅立とうとしていた。
低く、念じるように、ゆっくりと、エンドレスなアーベン、ソーランを子守唄の様に遠くに聞きながら・・
もう、知らん。と言って寝るサワット チュアムであった。
次の12話までが第一章です。




