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Grab《グラープ》  作者: たにゅめ
2/2

2:新世界前の壁


「はぁ........異能学校........」







「................異能学校なんてあるんですか!?」


机が揺れてコーヒーをこぼしかける。


「ある。正確に言えば異能力者の育成所みたいなものだけど」


「へえ........そうなんですか........」


でも昔インターネットで調べた時は、

異能力者の施設などなかった。


本当に実在するのだろうか。


詐欺かもしれない。

拉致されるかもしれない。


犯罪に巻き込まれるリスクの方が高い。




それでも........




「それって、どこにあるんですか?」



僕は新しい世界が見たい。



「いい顔してるねぇ。俺そういうの大好き」


ザックくんは目を伏せている。


「つれてってあげることもできるけど........なんなら今すぐ行く?」


まるで軽いことのように提案した。


「いいですけど........」


覚悟はできているからその辺のことは構わない。


しかし........


()()()()()があるんです。一回取りに帰ってもいいですか?」


僕はお金を取り出し立ち上がった。


「大切なもの?いいよ!俺も行く!」


「いいえ。すぐなので大丈夫です」


孤児院の皆にザックくんとつるんでるとこ見られたくないし........。


「........わかったぁ。つまんないの」


ザックくんはわかりやすく不服そうだ。


「じゃあさ、確か孤児院の裏に森があったよね?あそこの入り口集合にしよ!」


「わかりました」


僕は一度頷いて、そのままカフェを出た。





「ふぅ........」


空になったクリームソーダの容器を凝視する。


そこには歪な形の氷が所狭しと詰まっていた。


「嫌な感じがするねぇ........イライラする」


先程と打って変わって、声が低い。


「........まあ、まだいっか!」


そう言うなり勢いよく片手をあげる。


「お姉さ〜ん!いちごパフェください!」


そこには満面の笑みがある。



窓には赤い日が差し込む、暖かい夕方だった。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




孤児院に向かう途中には、近道のできる狭い路地がある。


そこは孤児院の子供たちの間で有名で、使わぬ者はいないほどだ。


もう十八になった僕も、

孤児院から見れば子供であり、

例外なくそこの道を使い続けている。




(日が傾いて来たから早く路地を抜けよう)



そう考えた矢先、




目の前に黒く硬い、







銃口が現れた。






「!!!!」



一瞬で血の気が引いた。


腰が抜けそうになる。



「ちょっと止まってくれよにィさん?」


僕に話しかけてきたのは、銃を持っているのとは違うやつだった。


金属バットを肩に担いでいる。


絵に書いたようなヤンキーだ。



「な........なんでしょうか........」


震える声でこたえると、


「なァに、大したことじゃあない」


また別の男がこたえた。


今こたえた男はスタンガンを持っている。


ここに居いるのは合計三人らしい。



「大した........こと、じゃ、ない........?」




「ああそうさ。

居場所が知りてえんだよ」




また違う方向。


真正面から声が降ってきた。


僕に銃口を向けている男だ。


高身長の男で、帽子で顔がよく見えない。




「だっ........誰のですか........」


度々声が裏返る。


すると、僕に銃口を向けている男がニヤリと笑った。




「知ってるんだろ?





()()()()()()()()()()()の居場所を」


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