初日
ここまでが一話という予定でしたが、長くなったので分けました。
藤崎シニアに入団して初めての練習が始まった。
上級生はアップを開始し、俺たち一年生のみ集められ、最初の挨拶が始まった。
50歳後半ほどでユニフォーム姿の男が言った
『監督の島田だ、これからよろしく』
次に若そうなユニフォーム姿の男が
『林圭だ、よろしくな』
最後に圭コーチと歳が変わらなそうな男が言った
『山崎真司だ、よろしく』
他に2人のコーチがいるが、首脳陣は主にこの3人なのがこの藤崎シニアだった。
『山里野球少年団出身!小島悠輝です!』
『春日リトル出身!浜田信彦です!』
自己紹介が始まり、そんな中
『佐藤拓哉です!サッカーをしていました!』
という完全に浮いた挨拶をした。
それでも俺は、俺ならいける!と強く思っていた。
同期の人数は12人で、少なくともこの中で最低でも3人はスターティングメンバーからは外れる。
残酷なスタメン争いが始まるのはまだ先の話。
初日の練習は一年生が別メニューでキャッチボールと軽いノック、数球フリーバッティングをさせてもらうという、とりあえず一年生達がどんなものか見るための練習メニューだった。
『あいつヤバくね?』
『シニアでやっていけるのかよ?』
『マジな素人じゃん』
聞こえてくる自分への言葉、それにより打ち砕かれる薄い根拠の自信。
初日の練習が終わった頃には俺が一番下手くそだと、このままだと3年間ベンチにいるだけで終わる、そう感じた。
ここから俺の死に物狂いの努力の日々がスタートするのだった。
一番好きな野球選手は小久保裕紀です。