第7話 クラスメイト
編入が決まってから、俺は色々な手続きを済ませた。
制服は予備の物があり、サイズが合っていたので、それを使わせて貰う事にした。
「授業は明日からだ。君には寮に入ってもらう。寮に入るのにも色々手続きが必要だから、今日は町の宿に泊まってくれ」
俺はその後、町で宿を取り1泊した。
1泊した後、制服を着てアルバレス魔法学院に向かった。
魔法学院の門に着いたら、ウルベルトじゃなくて、違う人がお出迎えしてくれた。
「初めましてー。ルド・アーネスト君だね。私は、君が配属されたクラスの担任、ミローネ・ルナシー。これから一緒に勉強していきましょうねー」
ローブを来た女の教師だ。
髪の色は青。まだ結構若い。
「よろしくお願いします」
「いやー、君は黒髪なのにすごい記録を残したんだって?」
「えーと、それほどでも」
「黒髪にも、賢者になっている人がいるし、すごい人はすごいんだねー」
この先生は黒髪に対して、強い差別意識はないみたいだ。
まあ、ナチュラルに下に見ている感はあるが、それはほとんどの者たちがそうだろう。
学院内に入り、教室まで歩いた。
「ここが、君が所属することになる、1年2組よ。みんな良い子達だから仲良くしてね」
そう言って、ミローネは教室に入っていった。俺も後に続いた。
「みんなー、今日は新しいお友達を紹介するわー。ルド君、自己紹介してー」
「ルド・アーネストです。よろしく」
俺は簡潔に自己紹介をした。
新しいクラスメイト達からの反応は、あまり良くなかった。
興味なさげに窓の方を向いている奴や、俺をにらみつけている奴。
笑いながら「黒髪だ」とか言って、明らかに俺を侮蔑している奴。
これのどこがいい子達ばかりなんだよ。
俺は内心そう思った。
「ルド君は……あの席。クルツ君とアリスちゃんの間の席が空いてるから、そこに座ってね。あ、これじゃ分からないか。あそこの席よ」
ミローネは指をさして、俺の席の場所を教えた。
俺はその席に座った。
右隣に男子、左隣に女子が座っていた。
俺は挨拶をしようとすると、
「やあ」
右の席の男子から先に声をかけられた。
俺は少し意外に思う。
ここでも黒髪は、馬鹿にされてるっぽかったからな。
「僕はクルツ・モール。よろしくアーネスト君」
クルツは微笑みながら握手を求めてきた。
眼鏡をかけた優しそうな顔の男だ。髪の色は緑。
緑髪は詠唱魔法、無詠唱魔法どちらも苦手でも得意でもなく、オールラウンダーな感じだ。
現代では、微妙な髪色扱いされていた。
「よろしく、モール君」
俺は握手に応じる。
3秒くらい握手をしたら、離した。
「隣だし仲良くしようよ。僕の事はクルツって呼んでいいよ。君の事もルドって呼んでいいかい?」
「いいよ」
クルツは結構友好的みたいだ。
俺が黒髪だからと、はぶったり見下してくる事もない。
いい奴かもしれない。
左隣に女子がいるので、俺はそっちにも挨拶する。
「よろしくな」
「……」
こっちをチラッと見ただけで、無視された。
青い髪の女子生徒だ。
見られた時、美人過ぎて驚く程、整った顔をしていた。
いくら美人でも、無視を決め込んで来る奴はどうかと思うが。
ミローネが、アリスちゃん、と言ってたから、この女の名はアリスなのだろう。
まあこいつとは、仲良くはできなさそうだな。
座学が始まるが、正直半分以上が遅れた魔法技術の説明で、間違っている所が結構ある。合っている所もすでに知っているので、退屈だったが、何とか耐えた。
「あー終わったー」
「お疲れー」
授業が終わって背伸びをしていた俺に、クルツが話しかけて来た。
「ルドはミルドレス魔法学院から来たんだよね。ここの座学なんて退屈でしょ」
「そうでもないよ」
本音を言ったら感じ悪そうなので、嘘をついた。
「うそだー。だって退屈そうにしてたじゃん」
「バレてたか」
「やっぱ退屈だったか。まあここはミルドレス魔法学院に比べるとレベル低いだろうからなぁ」
まあ俺にとっては、どこも同じくらいなもんだが。
「昼から実技の授業があるから、そこでは退屈しないと思うよ」
「それは良かった」
実技の授業なら、少しは退屈せずに済みそうだな。
「お腹減った来たし、一緒にご飯食べようよ。この学院には学食があるから、そこで食べよう」
「わかった」
俺はクルツと一緒に学食を食べに行く。
その途中、
「よう、黒髪。どこに行くんだ?」
「ははは、何で黒髪がこの学院にいるんだろうな。ぷぷ」
と言いながら、侮蔑するような目で俺を見る、3人の男子生徒に囲まれた。