第58話 開催
それから時間が経ち、メールズ祭が行われる日になった。
学院生の大会であるが、外は中々賑わっている。六学院が参加して行われる大会だけに、注目度も決して低くないようだ。ここで活躍したら、前世の魔法の知名度も必ず上がること間違いなしだろう。
競技開始の時間が近づいて来た。
一日に一競技ずつ行われる。
全七日で終わる計算である。
初日行われるのは、クリスタル探査である。
俺たち三人は誰も参加しない。
最初はメールズ祭の開会式が行われるから、それに参加して、そのあと競技に出る上級生たちを応援する。
応援といってもクリスタル探査は、森の中でやるので、やりがいがなさそうだ。
中がどうなっているのかも分からないだろうし、その間かなり暇なんじゃなかろうか。
メールズ祭が開催される場所は、パルノスの中心部にある闘技場である。
まずは、宿の前に生徒たちが集まって、それから全員一緒に闘技場へと向かった。
数分歩いて到着する。
闘技場付近に行くと、さらに人が増えた。
学院の生徒と思わしき者たちもいる。
参加者以上に数がいるので、応援に来ているのだろう。
アルバレスの場合は、メールズ祭では生徒たちの応援はないようだ。
たぶん大魔法大会になれば、応援もあると思う。
闘技場に到着する。
巨大な建物だ。
円形の闘技場で、多勢の観客が収容できるようになっている。
俺たちが現れると、
「アルバレスだ」
「今年も醜態を晒してくれるかな?」
「あいつらもう出なけりゃいいのにな」
と予想通りほかの学院の生徒から、馬鹿にする声が聞こえてくる。
この評価が開始前と開始後ではガラリと変わると思うと、逆に楽しみになって来た。
その後、俺たちは闘技場の待合室に案内された。
しばらくここで待機して、開会式が始まると入場する。
開会式では、退屈な話が続き、終わったら早速競技が始まる。
競技場に、クリスタル探査の様子を写す、遠映鏡が設置されている。これは別の場所で起こていることを、鏡に映すことができる魔道具である。
前世の時代では、結構あった物だったようだが、今の時代では作り方が分からなくなり、現存数は極めて少なく、貴重な品である。出回っているのは、遺跡などから発掘されたものばかりだ。
しかし、遠映鏡があったか。
クリスタル探査なんて競技を、どうやって面白く観客に見せるのか疑問だったが、遠映鏡があるなら、楽しめるだろう。
競技の展開も分かるし、俺も退屈せずに済みそうだ。
競技に出場する生徒たちが、パルノス付近にある森に、移動する時間、しばらく余興のようなものが行われる。
移動が終わると、余興が終わり遠映鏡に競技の様子が写し出された
遠映鏡は複数ある。遠映鏡の仕組みは、小さな虫くらいの大きさのものを操って、その目に映っているものを鏡に映し出すというものなので、鏡の中の映像は出場者を追いかけることが可能である。
俺は競技を観戦した。
クリスタル探査では、無詠唱魔法の長所はあまりない。ただ、俺は高度な探知魔法も何人かの生徒に教えており、今回出場する三年の生徒たちは、それを使いこなしているので、かなりあっさりと、クリスタルを集めて、結果首位で終わった。
予想を覆す結果に、観戦客は騒然としていた。
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