第52話 魔法革命の第一歩
「でも魔法革命起こすってどうすればいいんだ?」
俺は単純すぎる疑問を口にした。
「そう……ですわね……」
アリスもすぐに思いつかなかったのか、考え込んでいる。
「そうだねー……色んな人に知ってもらう必要があるからねー」
無詠唱魔法やその他、前世から得た有用な魔法を広めるには、魔法使いたちからの注目度が高い場所で、使ってみるのが一番手っ取り早い方法だろう。
アルバレス魔法学院という、最底辺扱いされている学園で、そこまでの注目度を集めるためには、どうしたらいいか。機会は限られている。
「大魔法大会……大魔法大会で目立てば、いいかもしれない」
この前の合宿で行ったような、複数の魔法競技を行って、どの学院が一番優秀かを競う大魔法大会。
注目度は非常に高く、この国では一大イベントとして、魔法使いのみならず、一般人も多数見にくる人気行事だ。
ここで色んな新魔法を使って優勝すれば、注目度は一気に高まり、多数の魔法使いが、進んだ魔法の存在を認知するかもしれない。
「そうですわね……それが一番早そうですわ。普通にルドが出世して、そこから広めるという手もありますけど、それですと卒業までは待たなければならないですからね」
まあ、多少遅くなっても問題はないけどね。
より早い方法があるなら、そっちでやるべきだとは思うけど。
「大魔法大会で目立つには、私だけが使うってだけだと、インパクトが薄いと思うから、この学院の生徒が、みんな進んだ魔法を知っているってのが、一番いいと思うんだけど」
ミナが提案する。
「確かにそうかもな……うん、よし、じゃあまずは一年生、皆に教えてみようか」
「そうですわね。それから上の学年の人達にも教えていければいいと思いますわ」
上の学年の人達か。
歳下に教わるというのは、抵抗があるだろうし、素直に聞いてくれればいいんだけどな。
とにかく最初は一年生に教えよう。
今日はもう遅いので、教えるのは明日だな。
実技の練習が終わったあとくらいに、クラスメイトの皆を集めて話をしよう。
○
翌日。
予定通り、実技の練習が終了した後、俺は一年生の皆を集めた。
全員は集まらなかったが、俺の評価は結構高まっていたので、多くの生徒が
「何、ルド、話って」
クルツが尋ねてくる。
前世から知識を得たということは、アリスとミナ以外の者たちのは話さないようにしよう。
とにかく最初は無詠唱魔法というものがあるという事を説明するだけでいいか。
「この前、フィジカルアップの存在を皆には、教えただろ?」
「ああ」「あれは凄い魔法だったよな」
「今度はもっと凄いことを教えたいんだけど、いいかな?」
生徒たちはざわつく、あれより凄いことがあるのかと思っているような表情を浮かべる。
「呪文を詠唱せずに、魔法を使う無詠唱魔法なんだけど……」
「「「は!?」」」
俺の話を聞いた生徒たちが、目を丸くして驚く。
「さすがにそれは嘘……だよな」「無詠唱魔法って……」「もしかして本当なのか……」
冗談だと思う生徒と、半信半疑な生徒がいる。完全に信じたという生徒はいないようだ。
ここは見せてやるのが手っ取り早い。
俺は無詠唱で魔法を使って見せた。
生徒たちは、唖然とした表情でその様子を見ていた。声を出すことすら出来ないほど、驚いているようだ。
「これを皆にも使えるようになってもらいたい」