表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/59

第51話 決意を固める

「ところで前世から知識を得たのは、分かりましたが、やっぱり何でそれを秘密にしておかなければならないのかは、よく分かりませんわ」

「ああ、それは」


 俺は前世の記憶を広めたら、世界を変えてしまい、どうなるか予想は付かなくなってしまうということを話した。


 アリスは、俺の話を聞いていて、釈然としないような表情を浮かべる。


「確かに世界は変わると思いますけど、ルドの持っている魔法知識は、間違いなくこの世界の魔法知識より進んでいるのですわよね。ならばきっと傷つく人より救われる人の方が多いと思いますわよ。それなら広めた方がいいじゃありませんか?」

「……確かにそれは尤もであると思うけど」


 単純に怖いのだ。世界を変えるという大それたことをするのが。

 例え最終的に救われた人間が多くなるとしても、それでも今幸せに生きている何人かの人間の生活を、壊してしまうことになるのは間違いない。


 それが俺にはたまらなく怖かった。


 ただそう伝えるのは、何だか恥ずかしかったのでどう伝えたものか迷っていると、


「私はルド君の気持ちが分からないでもないけど。世界を変えるのが怖いのでしょう」


 ミナには見破られていた。


「まあ、うん、そうだ。正直世界がどうなるか分からないから、やるのが怖いってのが一番の理由だ」


 少ししどろもどろになりながらも、説明する。


「でも、ルド君は賢者になりたいんだよね。賢者になりたいと思う人は、皆、世の中を変えるほどの活躍がしたいって思っているはず。ルド君もそうだったでしょ」

「……」

「ルドは難しく考えすぎだと思いますわ。知識を伝えることは決して悪いことじゃありません、それが原因で仮に誰かが傷ついたとしても、ルドのせいなんかじゃありまえんわ」


 アリスは毅然とした口調でそう言ってくる。


「やっぱり二人とも言った方がいいと思うか?」

「ええ、それでルドはこの時代に誰よりも偉大な賢者になると思いますわ。その知識を抱えたまま、広めないでおくのは、あまりにも勿体無いと思います」

「私もそう思う。どうしても怖いのなら私も広めるのを手伝うから。一緒にすれば怖くはないでしょ?」

「て、手伝うのは私ですわ! ルドの彼女ですから!」


 二人の言葉を聞き俺は徐々に心が動いてきた。


 一緒に広めるか。少し男としては情けない気がするけど、それでもやはり誰かがいれば確かに心強い。


 アリスの言う通り、この知識を抱えたまま死んでしまったらそれもどうかとも思う。俺がこの知識を得たのには、何か意味があるのかもしれない。

 退化してしまった魔法技術を取り戻すことこそが、俺の生まれてきた意味だったのかもしれない。


「分かった……起こそう魔法革命を!」


 俺は意を決して、そう宣言した。





【読書の皆様へのお願い】


下にスクロールすると、ポイント評価を付ける項目があります。

PC、iPad等でお読みの方は、黄色い枠で囲まれたところから、スマホでお読みの方は『ポイント評価』の項目をタップして評価に進めるようになっております。


作品を見て面白いと思われた方、続きが気になると思われた方、大変お手数をおかけしますが、評価をぜひよろしくお願いします。


次回更新は今月二十四日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ