第5話 魔法学院探し
この国には多くの魔法学院がある。
ただそのうち、きちんとした魔法学院は15のみ。
それ以外のは、金持ちが道楽で、簡単な魔法を学ぶ為に作られたような魔法学院である。
ミルドレス魔法学院は、そのちゃんとした魔法学院のうち7番目くらいにレベルの高いとされている、魔法学院だ。
うーんと、黒髪でも入れるっていう魔法学院は……
俺の記憶ではミルドレス魔法学院を除いて5つだな。
とりあえず、その5つの中で1番レベルの高いとこに行くか。
こっからも近いしな。
俺は黒髪でも入れる学院の中で1番レベルの高い学院。
ハルレーン魔法学院に向かった。
○
「駄目だ」
学院の門の手前。
門番から門前払いされた。
「何でですか。ここ黒髪でもいいんですよね。編入は受け付けてないんですか? 金はありますよ」
「受け付けていないわけではないが、お前みたいな黒髪に貴重な時間を割くわけにはいかん」
「全員受けれないんですか?」
「黒髪は駄目だ。この学院では編入の試験は普通の試験より、敷居を高くしている」
「でも、試験受けるだけなら」
「駄目だ駄目。帰れ」
うーん駄目だった。
次はクーレン魔法学院に行くか。
ちょっと遠いが一応ここは今日中にいける。
「推薦はあるか?」
「無いです」
「じゃあ駄目だ」
クーレン魔法学院は、推薦がないと編入できないみたいだ。
他の2つの魔法学院にも行ったが断られた。
うーん駄目か?
来年まで待つか?
でも、1歳年下と同じクラスってのもなぁ……
試してない学院は残り1つ、アルバレス魔法学院。
できればここは避けたかった。
この学院のレベルはまともな魔法学院のうち1番低い。
昔は1番凄い時期があったが、現在は不祥事とかで落ちぶれた魔法学院だ。
まともな魔法学院と言ったが、もはや学院生のレベルはまともじゃない学院と大差ないとの話だ。
この学院ではよっぽどいい成績を残さないと、国に魔法使いとして仕えることはできないだろうが、まあでも前世の知識があるから大丈夫か。
つっても、アルバレス魔法学院も入れてくれるかは分からんけど、行ってみよう。
結構ここから遠い。
3日くらいかかる。
竜車でも探すかー。
俺はアルバレス魔法学院がある、ローライトへ行く竜車を町の中から探した。
無事見つかり、さっそく竜車を買い、ローライトへ向かった。
3日経ってローライトへ着いた。
金を払って、竜車から降りた後、アルバレス魔法学院を探す。
聞いたらすぐ見つかった。
この学院はローライトの象徴になっているらしく、誰でも知っていた。
学院の外見は、ものすごく歴史を感じさせる良い建物だ。
俺は門に近づき門番に話しかけた。
「あの、アルバレス魔法学院に編入したいんですけど」
「推薦状はありますか?」
げ、ここでも推薦状要るんか。
「無いです」
「そうですが、ではお引取り……」
「ちょ、ちょっと待ってください。どうしてもこの学院に通いたいんです! 何とかなりませんか!?」
ここが駄目なら、今年は行けなくなる。
何とか粘り強く交渉してみよう。
「しかし、規則ですので」
「お願いしますよー。そこを何とか! 俺ミルドレス魔法学院を退学になっていく場所がなくなったんです」
「ミルドレス魔法学院?」
お? 食いついた?
「ミルドレス魔法学院に在籍していたのですか?」
「ええ! 成績不振で退学になってしまいましたが」
「ふむ、そうですか。何か証拠となるものは?」
証拠……?
制服は一応あるよな。
返せっても言われなかったし、捨てようと思ったけど、買ったものなので勿体無かったから捨てれなかった、制服だ。
「ちょっと待ってくださいね」
俺はバッグから制服を取り出す。
「これです」
「これはまさしく、ミルドレス魔法学院の制服ですね。なるほど……」
門番の人は何か考え込む。
「ちょっとお待ちください」
そう言って、門を開け中に入っていった。
もしかして、試験を受けさせてくれるのかな?
そうだったら嬉しい。
その後、しばらくして門番の人が、ローブを着た男を連れて戻ってきた。