第36話 決闘
次の競技は決闘か。
ミナの事が気になって仕方ないが、それでもここは切り替えないといけない。
違うことを考えて競技に望めば、ほかのアルバレスの生徒の迷惑になるからな。
「それでは決闘の説明を致します」
その後、競技説明がされる。
・1対1での決闘。ルールはまず決闘者の背後に大きい特殊な球を置く。この球は通常青色だが、攻撃魔法を受けると徐々に赤色に変色していく。それぞれの背後にある球を守りながら戦い、先に敵の球を赤くしたほうが勝ちである。
・球にはどんな攻撃魔法でも使っていいが、決闘者には怪我をさせない妨害する魔法しか使ってはいけない。仮に攻撃魔法を使って相手に怪我を負わせた場合、失格になる事もある。1発で失格になるほどでもないが、ラフな行動を取ったと判断された場合、注意1が付き、2回累計するとこれまた失格になる。
・決闘の制限時間は5分。その間までにどちらかの球が赤色になってなかった場合、その時点でどちらの球が赤色に近いのかで勝敗は決まる。まったく同じ色の場合、サドンデスになる。先に敵の球に攻撃を当てたほうの勝ちだ。
・トーナメント式。対戦表は各学院の先生達と話し合って決まっている。
・ベスト8に入った生徒が所属している学院に点数が入る。点数表は1位120、2位90、3位70、4位50、5位30、6位20、7位15、8位10である。
1度に3試合行われる。全決闘が終わるまで、今日と明日2日かかるらしい。
対戦表を見てみる。俺の最初の相手は、ハルレーンの生徒みたいだ。
「対戦表を見るに、順調にベスト4まで進んだら、私とルドが決闘する事になりますわね」
「そうみたいだね」
なるべく同じ学院同士の生徒が当たらないよう分けられているが、それでもトーナメントの性質上当たる事もある。ベスト4になるまで戦う事がないのは結構離れていて悪くはない。
アルバレスでは俺の次にアリスが強い。あんまり早い段階で当たるのは困る。
「ルドには勝てないまでも、前の対戦のようにあっさりやられないよう頑張って戦いますわ。なので、絶対手加減はしないでください」
「分かった。全力で行くよ」
アリスはだいぶ魔力が増えて、かなり成長している。以前と比べてどのくらいになったのか分かるのは、楽しみであった。
さっそく決闘が始まる。俺の決闘は最初のほうで、アリスはかなり後のほうだ。
決闘場は3つあり、最初は同時に3回決闘を行う。勝負がつき次第、次の決闘が行われる。
「ルド……僕、1番最初になってたみたい……」
憂鬱そうな表情でクルツが言ってきた。一番最初になってしまってかなり憂鬱そうである。
まあ、ほかの決闘を見てからどんな感じになるか掴んでみてやりたいんだろう。
でも、相手もよく分からない感じでやることになるのは同じなので、条件は同じである。
「頑張って来いよ。応援してるからさ」
「う、うん」
ほかのアルバレスの生徒達もクルツに声援を送る。最初に決闘する6人の中に、アルバレスの生徒は2人選ばれている。ミルドレス、ハルレーンも共に2人ずつだ。
そして、決闘が開始される。
最初に決着がついたのはクルツの決闘だ。
憂鬱そうだったが、試合が始まると割りとクルツは動けていた。本番に強いタイプなのか。
相手の方は逆にいまいち戦い方が分かっておらず、かなり早い段階で後ろの球に攻撃魔法を当てられ、赤くなった。
クルツは1回戦を突破する事ができた。
「やったー」
「おめでと。クルツ本当に緊張してた?」
「うん。でも何か始まったら思ったより動けたね」
勝利したあと満足顔で帰ってきた。
その後、しばらく決闘が続く。決闘が終わったあと、球の色を元の青色に戻すのは少し時間がかかるみたいだ。俺の番になるまで思ったより時間がかかったが、とりあえず俺の番が巡ってきた。
相手はハルレーンの女生徒だ。女子だと少しやりにくいなぁ。まあ、手加減はしないけど。
決闘場に立つ。俺の後ろに台座に置かれた青い球がある。結構大きい。球だけで俺の身長くらいの大きさがある。台座も加わると俺の身長より全然高い。
「それでは決闘を開始します。準備はいいですか」
俺と対戦相手の女生徒は頷く。そして、審判をやっている先生が、合図の音を鳴らす魔法を使う。
「ダァン!」となった瞬間、決闘が始まった。