第32話 赤いクリスタル
「何だこの箱」
俺は箱を拾ってみる。
箱の外側には何も書いていない。開けれそうなので俺は箱を開けてみた。
中を確認してみると、紙が1枚入っていた。
俺はその紙を箱から出し、何が書いてあるか確認してみる。
『秘宝は地中深くに隠されている』
と書いてあった。
「これって、地面に赤いクリスタルが埋まっているってことか」
「地中にあるとは考えておりませんでしたわね」
「魔法で掘り出せってことなんだろうねー」
「私、土掘るの得意」
ミョーちゃんが、いきなり素手で土を掘り始めた。
「何十時間かかると思ってんの!? 手か汚くなるしやめて!」
「私の前世はもぐらだからだいじょーぶ」
「今は人間だから! やめよう!」
俺はミョーちゃんの奇行を止める。やっぱかなり変わった奴だミョーちゃんは。
「とにかく魔法を使おうか。俺がやろう」
土を掘る魔法はいくつかあるけど、どれにしようか。
穴をあける魔法がそれを使うか。
「大地を穿て!」
俺は探知魔法に書かれている場所をよく見ながら、魔法を使う。
俺の目の前の地面がゴリゴリと掘られていく。掘られた土は穴の横に溜まっていく。
数分補魔法で掘り続けると、
「お」
掘られる土に赤いクリスタルが混ざっているのを確認する。
それを手に取る。
「おしゲットー」
これで赤いクリスタルもゲット。全部で25点分のクリスタルが集まった。
「かなり深くまで掘りましたわね。これは私たちには無理ですわ」
「赤いクリスタルは普通じゃ取れないんだねー。ルドみたいにかなり魔法のできる生徒じゃないと、取れないようになっているんだ」
赤いクリスタルを収納する。ちなみに事前にクリスタルを入れる為に袋を貰っているので、クリスタルは全てその袋に入れていた。
「よし、じゃあ次だ」
その後も、順調に集めていく。
この競技では妨害がありで、ライバルたちのクリスタルを奪っていいらしいのだが、俺たちは普通に集めていた。
幸運な事にほかの班からの妨害行為は受けなかった。どうやらハルレーンはミルドレスをミルドレスはハルレーンを互いに脅威だと思っているらしく、落ちこぼれが揃い弱いと思われているアルバレスの生徒たちは無視されていたようだ。俺たちもクリスタルをいくつ持っているかはなるべく分からないよう、隠しながら歩いていた。
戦っているようすは何度か見かけたが、全部ミルドレスとハルレーンの争いだった。
こうして、何か戦うわけでもなく、何かこれ本来の競技の趣旨と違うんじゃないかなー、と思いながらも
ひたすら地道にクリスタルを集めていく俺たち。
そして、3時間が経過し、魔法を使って轟音が鳴り響く。競技終了の合図だ。
これがなったら速やかに戻らなければならない。音が鳴ってから取ったクリスタルは無効となる。
クリスタルは取った時点の時間が、記憶されているらしく、ごまかすことは不可能らしい。
そして、帰り道。
「お、落ちこぼれの黒髪だ」
いきなり後ろから話しかけられる。聞き覚えのある声だ。
競技開始前に俺を挑発してきた男子生徒だ。名前はレミエスだったか。
「いくつ集めたんだい? ま、聞くまでもなく俺の圧勝だろう。俺の班が稼いだポイントは28点だ。驚いたかい? 今までいくつかの班に聞いてきたけど、俺の班がダントツで多かったからね」
「28?」
「驚くのも無理はないさ。格の違いを思い知ったら今度からは俺に喧嘩を売るなんて、間違っても思うなよ落ちこぼれ君」
そう言ってレミエスは立ち去って行った。
いや、確かに驚いた。ポイントが多すぎるという事ではない、少なすぎたのだ。
俺達が稼いだポイントは全部で60ポイント。レミエスの班の倍以上はあった。
「あれは口だけの男だったみたいですわね」
「結果発表見たら驚くだろうなー」
その後、俺たちは森から出て、合宿所に帰った。