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第29話 挑発

 班決めが、俺たち以外も終わる。全50組ほど班ができた。


 もうすぐ競技が開始される。

 そんな時――


「よう。アルバレスの連中に聞いて回ったが、お前がアルバレスの一年の中では、1番すごい生徒なんだって?」


 と、男子生徒が近づいて、そう話しかけてきた。

 制服から見て、ハルレーン魔法学院の生徒だ。


 金色の髪と、見るからに傲慢そうな顔が特徴の男子生徒だ。


「1番すごいと自称する気はないけど、まあ、優秀な方だとは思っているよ」


 俺はそう答えると、


「何言ってますの。ルドが1番実力のある生徒に決まってますわよ。謙遜する必要はないですわ」

「そうだねー。僕もルド以上に魔法が上手い生徒は見たことないな」


 アリスとクルツがそう言った。何だかむず痒い気分だ。


「へぇー本当だったんだ。お前がねー……くくくく」


 ハルレーンの男子生徒は突然ニヤニヤと笑い出した。


「ははは、お前みたいな黒髪が一番とは、傑作だな。アルバレスってどんだけレベル低いんだよ。落ちこぼれの中の落ちこぼれが集まるレベルの低い学院っていう評判は、間違っていなかったというわけだな」


 男子生徒は、完全に俺たちを侮蔑するような表情を浮かべながら、そう言った。


 少しイラっときたが、まあ、こういう輩はどこにでもいるよな。

 俺は無視しようとしたが、


「なんですって! ルドはかなり実力のある魔法使いですわ! あなたなんかとは、比較にならないですわ!」


 アリスはだいぶ頭にきたようで、顔を赤くして怒鳴る。


「ははは、面白い事を言う子だなぁ。君は彼の何なんだい?」

「私はルドとお付き合いしていますわ。なのでルドの凄さはよく知っていますの」

「へぇーこいつの女なんだ。黒髪に金髪の女がいるとは珍しいねぇ」しかし、きみは美しいな」


 男子生徒はアリスの顔を見てそう言う、そして少しアリスに近づき、


「そんな黒髪じゃなくて、俺の彼女にならない? 俺はレミエス・ブリエルシェ。ハルレーン1の魔法使いさ。将来は賢者になるのが確定している。そんな黒髪の男とは格の違う存在だよ」

「なっ……」


 アリスは怒りのあまり絶句している。

 俺も流石に頭にくる。


「誰があなたなんかと、付き合うもんですか!」


 アリスがそう怒鳴りながら、魔法をぶっ放そうとする。

 流石にそれはまずい、俺は慌てて止めに入る。


「アリスやめて」

「なんでですの! あれだけ馬鹿にされて、ルドは腹が立たないのですか!?」

「立つけどここでそれは駄目さ。これから競技がある。その時、自分が思い上がってたと、思い知らせればいい」

「俺が思い上がっている?」


 レミエスと名乗った、ハルレーンの男子生徒が、俺の言葉に眉をひそめる。


「俺が思い上がっていると言ったか? 今」

「ああ、お前は俺には勝てない」

「あっはははは! 思い上がっているのはどっちかな? そんな発言をして、後で恥を掻くことになるよ? その彼女にかっこ悪いところを見せて、振られるかもね」

「負けることはないから大丈夫さ」

「黒髪が随分調子に乗れる学院なんだねー、アルバレスは。分かった分かった本当に凄い魔法使いってやつを君に見せてやるよ。彼女さんにもね。俺の実力を見て、彼女さんが俺に惚れても恨むなよ?」


 そう捨てゼリフを残して、レミエスはこの場を去っていった。最後までムカつくやつだったな。


「負けれなくなったね」


 クルツがそう言ってきた。


「負ける事はないさ」

「そうですわ。ルドがあんな奴に負けるなんて、あり得ませんわ!」


 大丈夫だ。探知魔法はいい魔法を知っている。

 奴では絶対に使えない探知魔法だ。

 これがあれば負けることはないだろう。


「なんか知んないけど、ミョーちゃんは足を引っ張らないよう頑張る」


 ミョーちゃんは、やる気なさげな表情でそう言った。まあ常に目を半開きで、やる気なさげに見えるので、これでもやる気なのかもしれないが。


 そして、数分後、第1の競技クリスタル探索が開始された。













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