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第28話 競技説明

 エルネス先生が行った、クリスタル探索の説明は以下の通りだ。


 ・ここから西にあるルルーベルの森に、複数のクリスタルと呼ばれる宝石が隠されおり、クリスタル探索はそれを見つける競技。


 ・クリスタルは全部で300個。森にはいろんな罠が仕掛けられており、魔法を使って回避しなくてはならない。


 ・クリスタルのある場所は、探知魔法を使って捜索する。"マジック・プローブ"の魔法を使えば、クリスタルの場所が分かる。


 ・普通のクリスタルは透明だが、赤いクリスタルも存在する。赤いクリスタルは普通のクリスタルの5個分の価値がある。その分、入手するのは難しい。


 ・4人で班を作って行う。同じ学院の生徒同士で組む


 ・妨害行為はあり。ただし、使用していい魔法には制限はある。同じ学院の班に、クリスタルを渡す行為は禁止。奪い取ることは可能。


 ・制限時間は3時間。もしくは全てのクリスタルが発見されるまで。通常のクリスタルを1ポイント、赤いクリスタルを5ポイントと計算し、ポイント数を競う。


 ・1位の班が在籍している学院に100点入る。2が70点、3位が50点、4位が40点、5位が30点、6位が20点、7位が15点、8位10点、9位8点、10位5点。それ以下の順位はゼロ点といった具合に点数が入る。今回の合宿で行う4種の種目をすべて終え、1番点数が高かった学院の生徒達は、賞品がもらえる。


 こんなもんか。まあ、競技自体は元々知っていたので、説明される前から、一応知ってはいた。


 ただ、探知魔法を使うのか……

 授業で習いはした。俺は元々習う前から使えたので良かったのだが、ほかの生徒たちは使えていなかったような気がする。


 アルバレス以外に学院の生徒がどうなるか知らないけど、苦戦するかもなぁ。


「では、開始は今から1時間後、今から4人組の班を作ってください」


 エルネス先生の合図とともに班決めが始まった。


「ルドは当然、私と一緒の班ですよね」


 アリスが俺に近付いてきて、そう言った。

 俺もアリスとは、一緒の班になりたかった。

 まあ、俺とアリスは、アルバレスの1番手と2番手の実力者だから、分けた方がいいかもしれないけど。


 続いてクルツが近づいてきて、班に入る。

 あと1人だけど……誰にしようか。


 と悩んでいると、


「ミョーちゃんが、仲間になりたそうにそちらを見ている」


 背後から女の子の声が聞こえた。少し驚いて、振り向くと、アルバレス魔法学院の制服を着た、ボサボサの紫色の髪をした生徒が俺を見ていた。

 目は半開きで気怠げ。背は低く発育も余り良くないみたいだ。子供みたいな女の子だ。


 アルバレスの生徒みたいだが、初めて見た。別の組の生徒か? それにしても腑に落ちない。紫髪は、かなり珍しい髪色だ。違う組でも流石に目立つので、見覚えくらいはあるはずだ。


「知り合い?」


 小声でアリスに尋ねたが、アリスは首を横に振って否定した。クルツにも尋ねたが、同様の反応を返してきた。


「ミョーちゃんは、仲間になりたそうにそちらを見ている」

「……一緒の班になりたいの?」

「うん」


 ミョーちゃんと名乗る少女は、コクンと首を縦に振った。


「なんで俺たちと?」

「近くにいたから」


 そんな理由で!?


「……えーと……俺君を初めて見るんだけど……アルバレスの生徒だよね?」

「そうだよ」

「名前は?」

「ミョーリーンだよ。ミョーちゃんって呼んでね」

「えーと……じゃあ、ミョーリーンさんは……」

「ミョーちゃん」

「……ミョーリーンさんは」

「ミョーちゃん」

「……ミョーちゃんは、1年1組の生徒なの?」

「2組だよ」

「え? それはおかしいよ。同じ組なら見たことあるはずだよ」

「おかしくないよ」

「何で?」

「だって、ミョーちゃんは、一度も授業出たことないから。会ったことあるほうがおかしいよ」

「は? 一度もって入学以来?」

「うん」


 コクリと頷く。


 えー? 入学以来授業に出てないって……道理で見たことないけど、なぜ退学になってないし。

 その辺アレなのか、この学院は。


「何で来なかったの? 授業に」

「面倒だから、合宿は楽しそうだから来てみた」


 自由人かこいつは。


「ちなみにミョーちゃんが、退学にならないのは、親が学院の中でも権力を持っているから。ミョーちゃんの言う事を聞かないと、大変な事になるかもよ?」


 えー? いきなり脅してきた。


「というのは冗談。本当はただの平民。何で退学にならないのかは、自分でもよくわからない」


 嘘なのかい!


 なんだこいつ、凄く掴みどころのないやつだな。

 変人って奴だ。どうする? この子を班に入れるか?


 うーん、扱いきれるか……?


「ど、どうする?」


 俺は小声でアリスとクルツに尋ねてみる。


「変わった方に見えますが……そうですね。私はルドが入っていいというのなら、構いませんが」

「僕としては、入りたいっていうことを断るのは正直気がひけるから、入れてあげたいけど。決めるのはルドに任せるよ」


 えー俺が決めんのかよ。

 うーん……まあ、確かに断るのは悪いよな……明確に入れたいって人もほかにいないわけだし。


 変わっているけど、悪い子ではないと信じて、入れるか。


「分かった。よろしく。ミョーリーンさん」

「ミョーちゃん」

「……よろしく、ミョーちゃん」

「よろしくー」


 どんだけミョーちゃんって呼ばれたいんだよ。


 俺とミョーちゃんは握手をした。

 班に変わり者のミョーちゃんが加入した。








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