第27話 合宿所
アルバレスから多少遠い位置にある、町エルスール。
その町の外れに建っている合宿所で、合宿が行われる。
合宿当日、大型の竜車に乗り、3時間ほどしてその合宿所に到着した。
だいぶ早い時刻に出発したので、まだ朝だ。若干眠い。
合宿所には6つ宿舎があり、男女に分かれて、1つの宿舎を1つの学院で使うようになっている。
昔は魔法兵の練兵場として使われていた所らしいので、魔法の練習が出来そうな修練所があった。
竜車から降りる。
アルバレス魔法学院からは総勢100人ほどの生徒が来ている。全員1年生だ。
男女に分かれて、俺達はアルバレスの男子用の宿舎に案内された。
一つの部屋に2人入るらしく、部屋割りを言われる。
そこで偶然クルツと一緒になる。
その後、昼になるまでしばらく部屋で休んでいるようにと言われたので、俺とクルツは自室に行って休んでいた。
「あー疲れたー。竜車って結構揺れて苦手なんだよねー僕ー」
「俺もだ。でも同じ部屋になれてよかったな」
「そうだねー」
「あー眠いー。いつもより朝早かったから眠いー」
「そう? 僕はだいたいこの時間に起きるから平気だけど」
「クルツは起きるの早いんだな。俺、眠いから少し寝るー。昼になったら起こしてくれ」
「分かった分かった」
しばらく寝て、昼になり飯を食べる。
その後、中央の広場に集合するように言われたので、指示に従い向かった。
広場には全学院の全生徒が集まっており、かなり多い。
ミルドレスの制服を見てドキッとする。少し前まで自分も着ていた制服だ。
あの中にミナがいるのか……
人が多すぎる為、多少目で探したぐらいでは見つからないが、髪が黒いという特徴があるので、そのうち見つかるはず。
と思っていたが見つからない。いないのか?
何か事情があって、来れなかったとか?
それなら少し残念だ。
いや、友達だし会いたいという思いはあったからさ。
別に浮気心があったわけではないぞ?
ミナが見つからなくて残念だと思っていたら、
「ちゅうもーく!」
と大きな声が響いた。
生徒達の前に女の先生が出ている。
アルバレスの先生じゃない、ミルドレスにもいなかったと思うから、たぶんハルレーンの先生だと思う。
キリッとした眉の、かなり厳しそうな先生だ。
「私はハルレーン魔法学院のエルネス・オーヴァーです。今から合宿についての説明をします。えー、今回は合同合宿と言っても、交流目当てではありません。後にある大魔法大会への前哨戦として、本気でやってもらいます。今回の合宿では3種の競技を行って貰います。今回3つ学院の中で一番優秀な成績を残した学院の生徒にはご褒美があります。さらに個人として一番優秀成績を残した生徒にもご褒美がありますので、頑張ってください」
そう言った。
ご褒美って何だろうか? 今は秘密なのかな?
「それでは今日行なう競技、『クリスタル探索』の説明を行います」